早くも新米の便りだ。
北海道芦別市では、すでに収穫が始まっている。
稲作農家の中村寛郎さんは19ヘクタールの水田で、ブランド米の「えみまる」と「ゆめぴりか」を生産している。
「去年より5パーセントくらい増産できている感じ。品質は割れたものもなく、非常に良い作柄」(稲作農家 中村 寛郎さん)

芦別市内の道の駅では、店頭に新米が並んだ。

中村さんが出荷した「えみまる」は、5キロで3300円の値が付いた。
2025年の同じ時期、「えみまる」の新米は5キロ4200円で売られていた。
2割以上も安くなっている。このような価格になった理由は。
「概算金に合わせ値段を決めているが、まだ全て値段が出そろっていない。もう少し下がる可能性は十分ある」(稲作農家 中村 寛郎さん)
概算金とは、農協がコメを集荷する際に農家に前もって支払うお金のこと。
2026年は2025年に比べ、おおむね4割程度引き下げられている。
農家にとっては大打撃である。

中村さんは農協を通して出荷はしていないが、この概算金の動向を参考にしている。
新米の価格は2割以上安くなったが、生産にかかる経費は逆に上昇している。
「肥料が去年より24パーセント上がっていて、機械も春から5~10パーセント上がっている。1000万円のものが、1100万円になっている」(稲作農家 中村 寛郎さん)
経費は平均して20パーセントほど上昇しているという。
2025年のコメ不足の際に政府がコメ増産にかじを切ったこともあり、中村さんは2026年から水田を3ヘクタール拡大した。

設備投資が重くのしかかる。
「20年近く使っているトラクターで、買い替えなければいけない時期だった。頭金ができたので買い替えたが、コメ価格がこんなに下がったので来年からの支払いができなくなる」(稲作農家 中村 寛郎さん)
直売所では前日まで3300円で売られていた2025年産の「えみまる」が、新米が出たことに伴い2800円に値下げされた。
コメ価格上昇から、一転して下落へ。この値動きが農家を翻弄している。

「大きい農家は経費があまりかからないのでまだやっていけると思うが、小さい農家は確実に赤字になると思う。補助金のような助成があるとうれしい」(稲作農家 中村 寛郎さん)
消費者にとっては、安いにこしたことはないコメの価格。
しかし、持続可能なコメ作りを考えると農家の経営の安定は欠かせない。
コメの価格は、この後どうなっていくのだろうか。

コメの価格下落は消費者にとって歓迎すべき動きである一方、生産現場の農家にとっては深刻な打撃となっている。
その実態について、今回取材したコメ農家・中村さんのケースでは…

中村さんは農協を通さず直接販売を行っているが、概算金の下落に伴いコメ全体の値段が下がる見通しのため、ブランド米「えみまる」の値下げに踏み切った。
販売価格を2025年の4,200円から2026年は3,300円へと2割以上引き下げたことで、減収による大きな打撃を受けている。
一方で、生産にかかるコストは膨らむばかりだ。農業機械や米袋、肥料などの経費は2025年比で約2割増加しており、全体での収入は1,000万円ほど落ち込む見通しだという。
消費者にとって値下がりは朗報である反面、農家の経営安定をどう確保していくのか、重要な局面に直面している。
