熊本地震の発生から、8月28日で1か月です。さらに、千葉県や北陸でも記録的な豪雨が発生するなど、各地で災害が頻発しています。こうした災害時に、私たちだけでなく、大切な家族であるペットの命をどのように守ればよいのか、「ペット防災」の啓発活動を行う団体に、現状と、日ごろからできる備えを聞きました。
突然やってくる災害。そんな時に、私たち人間だけでなく、ペットたちも守るためには備えが必要です。
しかし、今年3月、ペット保険専門の保険会社が飼い主1000人を対象に「ペットに関する防災対策をしているか」調査したところ、「している」と答えたのは、全体の2割に留まりました。
実際に飼い主のみなさんに聞いてみると…
「今回千葉の雨とか地震以外にも、避難しなきゃいけないときも来るかもしれない。備えたほうがいいのかなとは思う」
「自分たちも経験しているのに何十年も経っちゃうと前のこと忘れて備えがおろそかになっちゃったりする。意識高めて備えなきゃいけないのかなって思う」
ペットとともに災害を乗り越えていくために。ペット防災について啓発を行う団体があります。
NPO法人エーキューブ 後藤美佐理事長
「ペットの飼い主はペットを置いて自分だけ逃げることはできません」
2002年に仙台で発足した「NPO法人エーキューブ」です。
2011年に発生した東日本大震災では、各地の避難所を回ってペットフードやシーツを配布するなど支援を行いました。
この日は、ペット防災についての自治体向けの講座。こうした場で必ず呼びかけることがあります。
NPO法人エーキューブ 後藤美佐理事長
「ペット同行避難は、ペットの命を守ることは、飼い主の命を守ることにもなる」
「ペットの同行避難」。災害時にペットを連れて避難する行動のことです。
環境省によりますと、東日本大震災では、一度避難した飼い主が、ペットを避難させるために自宅に戻り、津波に巻き込まれた事例や、放浪状態となった動物の救護活動が行われるなど、様々な問題が浮き彫りとなりました。
これを受け、県内でも、2017年に地域防災計画が修正され、避難所は、可能な限りペット同行避難をした人を受け入れる体制を整備するよう記されました。
しかし、課題も…。
NPO法人エーキューブ 後藤美佐理事長
「ペットを連れて避難された方が安心して避難できる状況をもっとちゃんと確立していかないといけないということは強く感じている」
後藤さんによりますと、これまでの災害では、ペット同行避難をしても、受け入れを拒否されたり、動物アレルギーの人や動物が苦手な人と同じ空間にいることが難しくなり、猛暑の中、飼い主とペットが屋外のテントで避難することもあったそうです。
参加者たちは、こうした現状を知り、避難所運営について意識を新たにしていました。
参加者
「うちの町内会でも防災訓練をやっているが、どうしても人命ばかり考えていて自分もペットを飼っていなくて意識が全くなかった」
一方で、避難所では、人への支援物資が優先されるため、ペットの生活用品はまず、飼い主が準備する必要があります。
東日本大震災の時に実際にペット同行避難をした経験のある人は…
岩井美和子さん(石巻で被災)
「2~3時間すればおうちに帰れるだろうと感覚で本当に犬だけ連れて、リードも持たずに抱っこだけで…」
津波が迫っている場合は一刻も早い避難が最優先です。だからこそ、「即座に何を持ち出すか」普段から考えることも大切な備えです。後藤さんに、ペットと避難する際に備えて、用意しておきたいグッズを教えてもらいました。
まずは、ペットフードです。
NPO法人エーキューブ 後藤美佐理事長
「ローリングストックをおすすめしています。開けたら次の新品を一つ買っておいて準備しておく。そうするといざ災害が起きた時に1か月くらいは持つと思う」
二つ目は、衛生用品。小分けにしたトイレシーツや、排泄物を処理する袋など、家が危険で入れない時のために車に入れて取り出せるようにすることも有効だそうです。
さらに…
NPO法人エーキューブ 後藤美佐理事長
「こういう風になるものも。これだったら持って行けますよね。連れて逃げた時に少しでもストレスから回避してあげるために目隠しのような形で」
慣れない環境でペットの安心できる居場所を確保し、脱走などを防ぐため、コンパクトに持ち運びできる折り畳み式ケージもあるとさらに安心です。
そのほか、ペットの名前や既往歴、ワクチン接種日などをまとめたペット情報カードなどを一緒に防災グッズに入れておくことも重要です。
大切な家族の一員であるペット。悲しむ飼い主が1人もいなくなるように、後藤さんは、普段からの備えを呼びかけ続けます。
NPO法人エーキューブ 後藤美佐理事長
「東日本大震災の時などでも(家にペットを)置いて行かざるを得なかった方たちもいらっしゃる。本当に辛い・悲しい思いをされたと思います。命が危ないと思ったら躊躇なくペットを連れて避難する。自分のペットを守れるのは飼い主しかいないのでそこをしっかり考えて準備していただければ」
後藤さんは、ほかにも、日頃からできるペットの防災対策について、マイクロチップをペットに入れて飼い主に繋がる情報を読み取れるようにしておくことも大切だと話していました。
そして、自分の近隣の避難所が災害時に「ペット同行避難」の受け入れをしているか事前に確認することが重要です。
仙台市のようにペット同行避難を原則とする自治体でも、避難所ごとにルールが定められているため、それに従って行動する必要があります。
また、県内の自治体の中にはペット同行避難の受け入れをしていない所もあります。
いざという時に慌てないためにも、災害が発生する前から備えておくことが大切です。
