最大震度7を観測した「熊本地震」からきょう=28日で1カ月です。
地震発生から2日後、多くの住宅が倒壊した氷川町で、酷暑の中、小屋に横たわっていた女性・緒方タツ子さん(74)は、地震で屋根が崩落し、胸や背中を骨折する大けがをしました。
病院はひっ迫状態で、コルセットと痛み止めの薬だけを処方された状態で帰されました。避難所での生活は難しいと判断し、家族とともに小屋での療養を選んでいました。
1カ月が経ち、緒方さんはどう過ごしているのでしょうか。関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」では、その後の様子を取材しました。
■ 「扇風機は1日つけていられない」酷暑の中での療養
酷暑の中、小屋での生活はどれほど過酷なものだったのでしょうか。
地震発生から2日目の先月30日、タツ子さんの息子・忍さんは、こう話していました。
【緒方忍さん】「幸いちょっと発電機が小さいのがあるので、扇風機を夜はあてる。燃料を考えると、1日つけていられない。ガソリンスタンドとかも、まだあんまり開いていないので」
骨折した母親のそばで、燃料の残量を気にしながら夜を過ごす日々でした。
■ ようやく入院「やっとお風呂に入れた」
あれから1カ月。タツ子さんに会いに行くと、彼女は八代市内の病院に入院していました。
病院への問い合わせを続け、数日後にようやく再検査が実現し、「全治3か月」と診断されました。
【緒方タツ子さん】「やっとお風呂も入れてよかったです。ここに来るまで10日間ほど、お風呂に入れなかったんでね」
少しずつリハビリを始めているといいます。
しかし、一番の心配事を尋ねると、返ってきたのは自分の体のことではありませんでした。
■ 「夜とか『メキメキッ』って」不安を抱えながら住み続ける
病院のベッドに横たわりながら、タツ子さんが案じているのは、残してきた夫と息子のことでした。
【緒方タツ子さん】「家もお父さんと息子の二人だからね。どうやって食べ物を食べているのか心配です」
夫と息子はいまなお、あの小屋での生活を続けています。
自宅は倒壊したままで、家の再建などの予定は、まったく立てられていません。
「倒壊した自宅のがれきが小屋に押し寄せてきている」と、息子の忍さんは不安を感じながら過ごしています。
【緒方忍さん】「だいぶこっちに来たよ。夜とか『メキメキッ』って。早く解体してほしい。みんなも思っている」
多くの住民が忍さんと同じような状況です。「ことし中に(解体)できればいいけど」とつぶやきました。
■ 「1階か2階か分からない状態のところを手探りで…」消防士たちが探す思い出の品
地震から1カ月、思い出の品を探し続ける人たちがいます。
全国各地から集まった消防士たちが、休日や夜勤明けにもかかわらずボランティアとして被災地を訪れ、がれきの中から住民の”思い出の品”を探す活動を続けています。
【鹿児島・薩摩川内市消防局・岡本翔さん】「仏壇の部屋の奥側に現金の封筒などがあるので、救出があります。2階にランドセルとテレビ、ぬいぐるみ。では、行きましょう」
思い出の品だけでなく、貴重品も探します。
しかし、崩れた家の中での捜索は一筋縄ではいきません。
【薩摩川内市消防局・岡本翔さん】「1階の部分に2階の廊下が乗って、その上に屋根が乗って…。1階か2階か分からない状態のところを手探りで探しています」
■ 「遺骨が一番うれしかった」
近くのみなし仮設のアパートへの引っ越しが決まった山下さん一家にとって、この日は特別な一日になりました。
少しでも日常が戻ればと、探していたテレビは画面が割れていない状態で見つかりました。
息子の自転車のカギも見つかりました。これで夏休みも自転車で遊べます。
山下さんにとって何より大事なものも見つかりました。「母親の遺骨」です。
震災の2日後が四十九日でした。
【山下誠さん】「遺骨が一番うれしかった。出てこないです、言葉が…。勇気が湧くし、前を向ける」
国の公費解体は10月以降になると言われている中、「本当に感謝でいっぱいです」と話しました。
■ 「熊本に元気を届ける」くまモン、県外活動を再開
一方、地震が発生してお休みしていた”あのキャラクター”が活動を始めました。
益城町の保育園にやってきたのは、熊本県PRマスコットキャラクター「くまモン」。子供たちは大喜びです!
くまモンは先週、熊本県外での活動を再開しましたが、それと並行して、「熊本に元気を届ける活動」も大切にしています。
益城町の保育園に通う子供たちは、園の中で震度6強の揺れを経験しました。
【ひろやす保育園・秋口仁美園長】「保育園にいる時に地震を経験しているので、怖いイメージ。朝泣いちゃったり、言葉にはできない子供たちも、やっぱり職員のそばから離れない。ここで地震があったというのは、心の中にはあると思います」
■ くまモンが来た日、子供たちは地震以来「一番の笑顔」を見せた
そんないまだからこそ、笑わせたい。楽しませたい。
くまモンは元気いっぱいに子供たちと触れ合いました。
【ひろやす保育園・蓑田愛美先生】「地震以来、一番いい笑顔を見せてくれました。きょう、本当に来てくれてよかったなと思います」
やっと入院できた人、不安を抱えながら過ごす家族、がれきの中を手探りで探し続ける人、保育園で怖い記憶と向き合う子供たち。
熊本地震から1カ月、復旧・復興への道のりは始まったばかりです。
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2026年8月28日放送)
