今月29日、庄川流域の農業用水・工業用水が必要量のわずか4割に絞られる見通しとなった。上流の御母衣ダムで7月からほとんど雨が降らず、補給を担う2つのダムの貯水率も底をつきかけている。富山県南砺市でコメを作る農家は「あと1週間、2週間、がんばってもらえたら」と空を見上げる。

上流の御母衣ダムがほぼ空に

庄川水系の最も上流に位置する岐阜県の御母衣ダムでは、7月からほとんど雨が降らず、放流できる貯水量がほぼ底をついている。
これを受け、庄川流域では今月7日以降、利水者などが自主的に取水量を2割減らす取水制限を実施。その一方で、関西電力が管理する祖山ダムと小牧ダムからの放流によって水を補ってきた。
しかし、その補給源も厳しい状況だ。祖山ダムの貯水率は31%、小牧ダムは53%まで低下しており、このまま推移すれば今月29日には2つのダムからの補給が完全にできなくなるという。
農業用水・工業用水は必要量の4割へ

国土交通省富山河川国道事務所は26日、2つのダムからの補給が途絶えた場合の対応を正式に発表した。農業用水や工業用水については取水調整を行い、使用できる量を必要量の4割程度に抑える見通しを示した。
同事務所の河村陽一副所長は「28日に徐々に貯留水がなくなって、29日にはない状況を想定している。上水道以外の水が利用したい水量の4割くらいになる」と説明した。
一方、生活のライフラインに直結する上水道については2割減の制限を維持する方針だ。同事務所はこの2割減を「市民生活に大きな影響がないギリギリのライン」と位置づけている。
川の流量も4割減、アユや地下水にも影響

取水制限に加え、庄川の流量についても今月29日から4割程度に減らす予定だという。
中谷洋明所長は「瀬切れ、河口部の塩水遡上、市街地側での地下水位、この3点を想定している。モニタリングを継続しながら関係する方にお伝えしていくようにしたい」と述べた。
具体的には、アユなどの川に住む魚への影響、市街地の井戸水への影響、そして河口部で海水が川をさかのぼる「塩水遡上」が起きる可能性がある。渇水の影響は農業や工業にとどまらず、生態系や地域の水環境全体に及ぶおそれがある。
「30センチも水面が下がっている。今まではない」
先の見えない取水制限に、農家の不安は日に日に大きくなっている。


南砺市で約30ヘクタールにわたってコメを生産する高堀集落営農組合の大川繁樹代表理事は、田んぼの異変をこう語る。「30センチほど(例年より)水面が下がっている。今まではない。30数年前に1度あったという話だが」。


コメ作りにとって水は命だ。大川さんは高温障害を防ぐため、田んぼの水深を5センチに保つことを目標に、朝から夕方まで庄川合口ダムからの水を引き続けている。現在は庄川合口ダムへの取水制限が2割減にとどまっているため、管理する田んぼに直接の影響は出ていないという。
しかし、稲刈りは3週間ほど先の来月20日ごろを予定しており、それまで水が確保できるかどうかが最大の不安だ。
「登熟(コメの成熟)が進まないので未熟粒になったり、胴割れ米(ひびが入ったコメ)になったり。あと1週間、2週間、がんばってもらえたら。(水が)ないものはないということになればちょっと深刻」と大川さんは表情を曇らせた。
稲刈りまでの3週間が正念場

29日以降、農業用水が必要量の4割にまで絞られれば、収穫直前のコメへのダメージは避けられない可能性がある。富山河川国道事務所は引き続きモニタリングを行いながら、関係者への情報提供を続けるとしている。
稲穂が実りを迎えるまでの約3週間——庄川流域の農家にとって、雨を待つ日々が続いている。
(富山テレビ放送)

