高知県外からやってきた若手教師たちが、県の教育長と語り合った。緑豊かな自然や温かな人々、そして赴任先での驚きや生活のリアル。現場で奮闘する若者たちの言葉からは、高知の教育が抱える課題と、地域と共に生きる教師たちの姿が浮かび上がってくる。
四万十の小規模校で知った「一人ひとりが見える」喜び
会場に集まったのは、県外出身の若手教師4人。高知県内で教員生活を始めて数年が経つ彼らは、この土地のどのような点にひかれているのだろうか。
最初の赴任地である四万十町の学校について、兵庫県出身の教師は次のように振り返る。
「最初、四万十町の学校だったんですけど周りに何にもなくて、小規模なので1クラス8人とかで本当にびっくりして、体育どうするんやろみたいな感じだったんですけど、逆に私はそれが良くて、小規模だからこそ一人一人がちゃんと見えるところがすごくいいなと思った」
何もない環境と少人数教育。それは都会の学校では味わえない、子どもたちと深く向き合える贅沢な時間だった。
教員採用の壁と、県教委が進める新たな挑戦
しかし、現場が魅力的である一方で、高知県の教育現場は大きな課題を抱えている。
ここ数年行われた小学校教師の試験では、合格者の約半数が辞退してしまっているのだ。
こうした現状に対し、県教委は県外からも広く人材を確保しようと、大阪にも試験会場を設け、日程も他の自治体より早く設定するなど様々な工夫を凝らしている。
地方暮らしのリアル:車のない生活と赴任先の驚き
採用のハードルを越えて高知にやってきた若手教師たちだが、赴任後には生活面でのリアルな苦労も待ち受けていた。
大阪府出身の教師は、地方特有の交通事情に戸惑った経験を語る。
「一番困ったことが車がなかったことで、免許は持っていたんですが採用されて1カ月ほどで、雨がすごくてこれは耐えられないと思って、ようやく車を購入しました」
さらに、赴任先の決定についても戸惑いは少なくなかった。広島県出身の教師はこう打ち明ける。
「高知県って東西に長いから(最初の赴任先は)どこになるか分からなかったが、県外からだし勝手にまずは高知市かな中心のほうかなと考えていたら、箱開けたら安芸市で。赴任先とか難しいですけど少しでも高知県のここはこんな所という情報が分かったら」
広大な県土を持つ高知県では、赴任先によってライフスタイルが大きく変わる。事前の情報が不足しているがゆえの戸惑いは、移住して教師を志す若者共通の悩みと言える。
教育長が受け止めた「暮らしの課題」とこれから
若手教師たちの生々しい声を受け、今城純子県教育長はこう語った。
「自分たちでは気付かないようなことを教えていただきました。教員として働くことももちろんなんですけど、どうやって高知で暮らしていくのかという課題も教えてもらったので(いろいろと情報を)伝えていかないといけないなと思いました」
県教委では今回の意見も参考にしながら、県外出身者への情報発信をしていきたいとしている。
