12時間以上飲酒したあと車を運転し、対向車線にはみ出して大学院生を死亡させた罪に問われた34歳の男に、札幌地裁小樽支部は7月29日、懲役4年6か月の実刑判決を言い渡しました。判決を受け遺族は、「息子は2回殺されたかのような思い」とコメントを発表し、飲酒運転に対する刑罰の軽さを訴えました。
男は2024年9月、北海道小樽市の国道で約12時間にわたり酒を飲んだ状態で車を運転し、対向車線にはみ出して、当時24歳の大学院生の男性が運転する車と正面衝突、男性を死亡させた危険運転致死の罪に問われていました。
裁判で検察側は懲役5年6か月を求刑し、29日に開かれた判決公判で、藪田貴史裁判官は「運転可能との無謀な意思決定は厳しい非難に値する」と指摘した一方、反省の態度や前科がないことなどを考慮したとして、懲役4年6か月の実刑判決を言い渡しました。
判決直後、亡くなった男性の父親は「人ひとり死んでます。車でぶつかって行って4年6か月で済むんか」「量刑が軽い。これが判断の基準になっていくことが感情的には許しがたい」と怒りをあらわにしました。母親も「死んでしまったら裁判にとっては負けなんだなと。本人は訴えられないので」と気悔しさをにじませていました。
遺族は8月18日、記者クラブを通じて改めてコメントを発表。男が札幌の中心街から小樽まで長距離を飲酒運転していたこと、警察の取り締まりを逃れようとしていたことなどを挙げ「初めから飲酒運転をする気であり、極めて悪質。私共にとっては殺人です」と訴えました。
さらに「量刑判断を聞き、息子は2回殺されたかのような思いに苛まれます」「この判決では飲酒運転の悪質さの本質が理解されず、死ぬ必要のなかった息子の尊厳が守られたとは言えません」と厳しい言葉を並べました。
その上で飲酒運転による悲劇を繰り返さないためにも、刑事罰が抑止力を担えるような司法判断をして欲しいと訴えました。
■遺族が怒りと悲しみのコメント
判決は裁判官の裁量の範囲内との判断で、検察側からの控訴はありませんでした。この件には被害者側は物申せぬものだそうです。刑は懲役4年6か月で確定しました。
12時間余りの飲酒後に札幌の中心街から小樽までの長距離を飲酒運転していて休もうとしなかったこと、わざわざ中島公園の近くの駐車場を選んでいて警察の取り締まりを逃れようとしていること、初めから車で飲みに行っていることから、被告人は飲酒運転をはじめからする気であり、極めて悪質なものだったと思います。しかも、常習性を強く感じます。
私共にとっては殺人です。
検察官の求刑も短いなと感じました。裁判では被告人のその自己判断は厳しく指摘されていましたが、反省を示している、任意保険による賠償が見込める、前科がないといった理由で、検察官が同じことを指摘して求刑しているにもかかわらず、さらに同じ理由で減刑されてしまったな、という理解に至ると、これだけの事件を起こしても、そんなものなのかと思います。量刑判断を聞き、息子は2回殺されたかのような思いに苛まれます。
最近法改正も行なわれたようで、自動車運転死傷処罰法第2条で息子のような案件もより重く処罰されるようになるかもしれません。飲酒運転を量刑のみでなくそうとする考えは正しくないと思います。しかし、今回の事故がトンネルの中で起こって多重事故、火災などに至っていたとしたらと思うと、ぞっとします。今回の判決では、飲酒運転の悪質さの本質が理解されず、あまり強く罰せられなかったように感じます。この判決では、厳罰化の傾向のあった飲酒運転の処罰に水を差し、死ぬ必要のなかった息子の尊厳が守られたとは言えません。
繰り返される飲酒事故に対し、刑事罰が抑止力を担ってもらえるならば、より厳しい判断を裁く側にお願いしたいです。同じような悲劇が繰り返されることが何とかなくなってほしいというのが、今私共が申しあげられる唯一の願い、唯一の祈りです。
以上
