大阪・心斎橋のランドマークとして20年以上親しまれてきたTSUTAYAが、来年閉店することが明らかになりました。さらに「TSUTAYAあべの橋店」もことし10月に閉店する予定です。
動画配信サービスが当たり前となった時代に、レンタルビデオ店はどこへ向かうのか。
関西テレビ「newsランナー」が徹底取材しました。
■相次ぐ閉店 “ランドマーク”が消える
大阪・ミナミの中心地、戎橋のほど近くにあるTSUTAYA心斎橋店。来年の閉店が発表されると、利用者からは惜しむ声が上がりました。
枚方市で創業し、大阪にゆかりがあるTSUTAYAの相次ぐ閉店は、単なる一店舗の終わりではなく、ひとつの時代の変わり目を象徴しているようにも映ります。
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■全盛期から衰退へ レンタルビデオ店の歴史
レンタルビデオ店が全国に広がったのは1980年代後半のことです。
ビデオテープやDVDを1週間(7泊8日)など決まった期間借りられるスタイルが人気を集め、店舗数は1990年代半ばにピークを迎えました。
1989年の取材映像では、店員が「ほとんど良い作品は残っていない」と話すほど棚が空になるほどの盛況ぶりだったことが伝わります。
しかしその後、動画配信サービスの登場により、ビデオを「店で借りる」時代から「家で選ぶ」時代へと移行していきました。
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手軽さと豊富なラインナップを誇る配信サービスは、年々その影響力を拡大しています。
2026年8月20日には、国と動画配信会社がスポーツの視聴機会について意見交換を行うなど、社会的な存在感はますます大きくなっています。
■「サブスクにないが、うちにはある」
そんな状況のなか、今もレンタルビデオ店として地域に根ざしているお店があります。
京都市にある「ビデオインアメリカ京都西七条店」は、この地で25年間営業を続ける店です。棚に並ぶレンタルDVDはおよそ10万枚。その強みは、配信サービスでは見られない古い作品の充実ぶりにあります。
「サブスク(動画配信)は最近のラインナップはすごいんですけど、昔のは見れないのが多いので、そこを売りにしている。
昔の作品って丁寧に作ってたり、キャストの方が豪華だったり、裏表紙見るだけでも楽しいです」
こう語るのは、土師恭司エリアマネージャーです。3000本以上の映画を見てきた土師さんが帯にコメントを添えておすすめするのは、フランス映画「奇人たちの晩餐会」(1998年)。「ウザくてしつこいのに腹抱えて笑っちゃいます」という一文が目を引きます。
「当店にしか置いてないと思います」と土師さんは笑顔で話します。
アルバイト時代を含め20年勤めるスタッフの片野麻美さんは、香港アクション映画への愛が高じてプライベートでも香港まで映画を見に行くほど。
棚には「瞬きするのも惜しい!ジャッキーアクションを彷彿とさせる」という熱のこもった帯が並んでいます。
■店員との会話がまた来たくなる理由
このお店を支えているのは品揃えだけではありません。
毎週木曜に通う70代の常連客は、「ちょっとの間やけどしゃべるの。それも楽しみのひとつやし、(店員さんの)笑顔もすてきやし、『おじちゃんのアイドルや』言うて」と話します。
別の70代の利用者は「前に見たものを間違えて借りにいったら『これ半年前に見てますよ』と言うてくれる」と、スタッフの気づかいに感謝します。
「アニメがいっぱいある」と目を輝かせる9歳の孫と一緒に訪れた40代の祖父の姿もありました。店に来るとどんな気持ちになるか聞かれた孫は、一言「うれしい」と答えました。
レンタル料金は旧作7泊8日が1本250円。5枚以上のレンタルや月曜日は150円、60歳以上は毎月15日が半額になるなど、割引サービスも充実させています。
【ビデオインアメリカ 土師恭司エリアマネージャー】「今まで大手のTSUTAYAさんとか、GEOさんって本当にライバルで、もう嫌やなと思っていたんですけど、閉店していくとすごく寂しいです。
でも、僕はこの店を、日本で一番最後に閉店したい」
土師さんの言葉には、レンタルビデオ文化への強い愛着がにじみます。
■世界でも“棚の前の感覚”が求められている
レンタルビデオ愛は、日本だけにとどまりません。
2026年7月、イギリスで「Binge Browse」という新サービスが公開されました。バーチャルなビデオショップの空間で動画配信サービスの作品を選ぶと、その視聴ページに移行するというしくみです。
実際に使ってみると、いろんな作品が棚に並び、「スタッフオススメ」コーナーもあるなど、昔ながらのレンタルビデオ店の雰囲気が再現されています。
すでに2万人以上のユーザーを獲得し、現在は日本語を含む10カ国の言語に対応しています。
開発会社のスタッフ・ソフィー・エヴァンズさんはこう説明します。
【Binge Browse ソフィー・エヴァンズさん】「配信サービスでは、検索結果にかなりフィルターがかかってしまい、特定の新作映画ばかりがおすすめされるようになります。
このサービスでは、見たいビデオを完全に自由に選ぶことができます。配信サービスのおすすめだけでは、見られなかった作品に出会えるかもしれません」
将来的にはスマートフォン版のアプリ開発も検討しているといいます。
■文化的インフラとして残り続けるか
世界的にも惜しまれる「ビデオを手に取って選ぶ」という感覚。
その声に反して、レンタルビデオ店はこのまま無くなってしまうのでしょうか。
【立命館大学産業社会学部 近藤和都准教授】「定額制動画配信サービスをうまく利用できない・アクセスできない人にとっては、過去の映像にアクセスする重要な文化的インフラとして、残り続けていく可能性はある。
レンタルビデオ店の価値を社会の中で再発見し、利用する回路がうまく作り出せれば、残り続ける可能性もあるのではないか」
「小さい頃アニメとかをレンタルした」「週1回、月に10本は借りる」…そんな声がある一方で、配信サービスの利便性に押され、街からレンタルビデオ店は確実に減り続けています。
それでも、棚の前に立ち、タイトルに惹かれて手を伸ばすあの感覚を求める人がいる限り、レンタルビデオ文化はかたちを変えながら生き続けるのかもしれません。
(関西テレビ「newsランナー」2026年8月20日放送)
