閉幕からまもなく1年となる大阪・関西万博。

そのシンボル「大屋根リング」などの工事を担当した大手ゼネコン竹中工務店の現場責任者が、19日、工事代金の水増し請求で会社におよそ1300万円の損害を与えた疑いで逮捕されました。

万博工事をめぐり一体、何があったのでしょうか。

■現場責任者である「総括作業所長」を担当していた河井容疑者

日本を代表する大手ゼネコン「竹中工務店」の社員河井辰巳容疑者(61)。

背任の疑いで19日逮捕された河井容疑者が担っていたのは、大阪・関西万博「大屋根リング」などの関連工事です。

河井容疑者は大阪・関西万博の大屋根リングなどの関連工事を現場責任者である総括作業所長として担当していました。

■下請け業者に対し、自宅などのリフォーム代金を万博関連工事の名目で請求するよう指示か

その立場を悪用したとみられる手口はこうです。

河井容疑者は万博関連工事の下請け業者に対し、自宅や親族が経営するカフェなどのリフォーム代金を万博関連工事の名目で竹中工務店側に請求するよう指示し、架空の作業費用や材料の単価や数量の水増しで、あわせておよそ1369万円を不正に振り込ませた疑いがもたれています。

19日、警察は、河井容疑者の自宅や、竹中工務店の本社ビルなど一斉に関係先の捜索に入りました。

警察は河井容疑者の認否を明らかにしていません。万博の裏側で一体何が起きていたのでしょうか?

■当初予定の1.9倍の2350億円にまで膨れ上がった万博の会場建設費

去年4月に開幕し、半年間でのべ2900万人以上が訪れた大阪・関西万博。

一方、会場建設費は、資材高騰などで上振れを繰り返し、当初予定した1.9倍の2350億円にまで膨れ上がりました。

その万博会場のシンボルとして多くの人に親しまれてきた「大屋根リング」などを含む西工区と呼ばれるエリアの工事を担っていたのが竹中工務店です。

河井容疑者は、万博工事全般における現場責任者で、発注や見積もりの査定なども行い、下請け業者を選ぶ事実上の権限を持っていたということです。

「大屋根リング」が最大の木造建築物としてギネス世界記録に認定された際のセレモニーにも出席するなど、メディアの前にも度々、姿を見せていた河井容疑者。

■“働きやすい環境づくり”にも熱心だった様子の河井容疑者

開幕前のおととし、建設現場に移動式のコンビニエンスストアが導入された際には、その狙いをこう説明していました。

【竹中工務店 統括作業所長(当時)河井辰巳容疑者】「夢洲内にはコンビニが1店舗しかない。歩いていくなら3キロぐらい歩かないとコンビニにたどり着けない。

だとしたらこういう施設が現場内にあったら絶対、喜ばれるだろうなと。働く人の声を聴いてから段取りするのではなくて、我々が過去経験したことから推定して」

働きやすい環境づくりにも熱心だった様子の河井容疑者。

一体なぜ工事代金を水増しした疑いが持たれることになったのでしょうか。

■水増しされた金を使ったか リフォームされた河井容疑者の自宅は…

水増しされた金を使い改修されたとみられる河井容疑者の自宅。

インターネット上に残された6年前の写真と今の自宅を比較しました。

■6年前から大きく変わった自宅

現在の河井容疑者の自宅は、6年前と比べて、壁面に木材をふんだんに使用したリフォームが施されているとみられます。

自宅改修の費用までを竹中工務店が請け負う万博工事の一環としていた疑いがもたれている河井容疑者。

竹中工務店はことし4月に河井容疑者らを刑事告訴していて、ホームページ上で、「この事態を厳粛に受け止め、会社として厳正に対処する」とコメントを発表しています。

■吉村知事「非常に残念。厳正に対処してもらいたい」

万博工事の現場で重要な役割を担った人物が逮捕されたことに大阪府の吉村知事は…

【大阪府・吉村洋文知事】「本当に残念に思います。万博工事に関連してということになるわけですし、そういった意味では非常に残念。厳正に対処してもらいたい」

(Q:今後の開発、夢洲2期のプロジェクトなどへの影響は?)
【大阪府・吉村洋文知事】「入札に参加するかどうか、できるかどうかという条件が、ルールで決まっていますので、そこに該当するかどうか、この判断になってくると思います。現時点で何か影響が生じてると、あるいは影響が見込まれるというものではない」

警察は河井容疑者の認否を明らかにしていませんが、詳しい資金の流れを調べています。

■河井容疑者は実質的に万博工事の業者を選定できる立場だったか

大阪府警記者クラブから岩橋記者の報告です。

【岩橋裕介記者】「今回の事件についてですが、ことし2月に府警に情報提供があり、捜査が始まりました。警察はおよそ半年かけて河井容疑者の周辺や、竹中工務店の万博工事に関連する膨大な数の下請け業者を慎重に調べたところ、不正な資金の流れがあったとして、逮捕にこぎつけたということです。

また、河井容疑者は実質的に万博工事の業者を選定できる立場だったということもポイントです。

今回、事件に関与したとみられる奈良県内の土木建築業者についても警察は任意で事情を聴いていますが、なんらかの便宜を図っていなかったかなどについても調べるものとみられています」

(Q:今後の捜査はどうなりますか?)
【岩橋裕介記者】「警察は河井容疑者の認否は明らかにしていません。警察によると、河井容疑者の自宅などの改修工事は2023年の6月ごろから始まり、総額6000万円以上に上るということです。

河合容疑者が一体どのようにして水増し請求をさせたとみられるのかはまだ詳しくはわかっていません。

きょう=19日の家宅捜索では竹中工務店の本社にも及んだということで、警察は今後、押収した資料を分析するとともに、決裁の流れやチェック体制などを調べるものとみられます」

(関西テレビ「newsランナー」 2026年8月19日放送)

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