「おてつたび」についてです。旅先の宿などで「お手伝い」しながら、「旅」も楽しむという新しい旅行の形で、人気を集めています。夏休みを利用して参加する人も多く、その仕組みと人気の理由を探りました。
■旅好き大学生が選んだワケ
客室の掃除に、食事の準備も。
長野県白馬村にある宿泊施設でお手伝いをしているのは、東京都に住む大学1年生、鈴木実優さん(18)です。
なぜここで働いているのかというと―。
鈴木実優さん:
「もともと旅行が好きで、いろんなところに行ったりするけど、“おてつたび”で旅行しながらお給料ももらえるというので、すごく楽しそうだな」
■登録者11万人「お手伝い×旅」
「おてつたび」は、「お手伝い」と「旅」をかけ合わせた造語で、東京の企業が2018年に始めた「人材マッチングサービス」です。
人手がほしい「宿泊施設や農家」と、働きながら旅を楽しみたいという「旅行者」をつなぐ仕組みで、登録者は年々増加。登録ユーザー数は2021年は約6000人だったのが、今では約11万人に。
特に学生が夏休みになる夏の期間が多く、長野は避暑地でもあることから、人気の場所だということです。
また近年の物価高も増加に大きく影響しているといいます。
おてつたび代表・永岡里菜さん:
「物価高の影響は大きかなと思います。長期滞在となると宿泊費が高くなってしまう。おてつたびの場合は、基本的に寝床はご用意いただけている所も多い。そういったところで旅費を気にせず、行きたかった地域に行ける。行ったことのなかった地域に行けるというのは支持いただいているポイントの一つ」
■午前5時半から朝食の準備
鈴木さんは8月1日から11日までの滞在です。
この日のスタートは午前5時半。まずは朝食の準備です。
合宿で宿泊している中学生のサッカーチーム約20人分の用意です。
鈴木さんと一緒に働いているのは、大学生の加藤さらさん。同じ「おてつたび」の仲間です。
おてつたびを利用・加藤さらさん:
「きのう、から揚げ出したんですけど、大人気でした。争奪戦になってて」
2人を受け入れた施設のオーナー・高橋健さん。
Sama Sama Lodge Hakuba オーナー・高橋健さん:
「スポットで、このタイミングに人が欲しいとか、そういうのもあったりするので、純粋な人手不足というのがメインで採用させてもらっている」
■無料まかない、旅先での交流も魅力
午前7時―。
クラブの中学生:
「手を合わせてください。いただきます」
クラブの子どもたちの朝ごはんの時間です。
同じ時間に施設のスタッフたちも朝食を済ませます。こちらの施設では、宿泊客と同じメニューがまかないとして無料で食べられます。
Sama Sama Lodge Hakuba オーナー・高橋健さん:
「高校生、2万(の出費)って引け目ある?」
おてつたびを利用・加藤さらさん:
「大学生も」
旅先で出会った人たちと同じ時間を過ごすのも「おてつたび」ならではの魅力です。
鈴木実優さん:
「めったにない機会、すごく和気あいあいとしていて楽しいです」
■次は掃除「こんなに大変だとは…」
合宿最終日ということでチームの子どもたちを見送ります。
見送りを済ませたら客室へ。今度は清掃の仕事です。
Sama Sama Lodge Hakuba オーナー・高橋健さん:
「まず最初にカーテンとロールスクリーンを上げてもらって」
手順や注意点などを教わり、1部屋1部屋、きれいに掃除していきます。
鈴木実優さん:
「大変です。こんなに大変だと思っていなかった。今まで旅行行っていたけど、ホテルとか大変なんだなとやってみて実感します」
Sama Sama Lodge Hakuba オーナー・高橋健さん:
「すごく一生懸命やってくれてますし、物とかも動かして(掃除して)細かい所も気が利く。(来てもらえて)本当によかった、感謝しています」
■仕事の後は白馬の絶景を満喫
開始から1時間半後の午前10時半。
Sama Sama Lodge Hakuba オーナー・高橋健さん:
「じゃあ、終了かな。以上、お疲れさまでした」
午前中のお手伝いを終えた鈴木さんは―。
お楽しみの白馬観光です。
鈴木実優さん:
「(白馬は)自然も多くて、観光場所も多くて、行ってみたいところも何個かあったので、いいなと思って」
「おてつたび」では仕事の空き時間は自由な時間で地域を巡るなど、観光を楽しむこともできます。
鈴木実優さん:
「もう最高です。風も気持ちいいし」
一緒に働く仲間たちとジェラート店にも行きました。
「お手伝い」と「旅」、どちらも満喫していました。
鈴木実優さん:
「いつも旅行行くときは知っている人ですけど、初めて会う人と観光とか一緒に生活するのが自分としては新鮮で、楽しく仕事できたりするので、すごく(おてつたびを)見つけてよかった」
■50代、60代も…広がる登録者
「おてつたび」では、受け入れ先が寝床を用意し、滞在期間中の宿泊費は原則、無料。働いた分の給料も支払われます。
鈴木実優さん:
「大学生のお金のない私からしたら、すごくありがたい」
Sama Sama Lodge Hakuba オーナー・高橋健さん:
「地域のことを知りたいとか、そういったモチベーションで来てくださる方がすごく多く、滞在自体も楽しんでくれてるというところもあったりして、人手確保できるという意味でもすごくいい」
以前は10代から20代の登録者が多かったものの、最近では50、60代も増え、定年退職後の人や子育てを終えた女性、新たな移住先を探すための準備として登録する人も増えているということです。
■「地域を好きになって帰る」循環を
「旅行者」と「地域事業者」。お互いのメリットを取り入れた「おてつたび」は、新たな旅のスタイルとして広がりを見せています。
おてつたび代表・永岡里菜さん:
「いろんな方が地域に赴いて地域のことを好きになって帰っていただく循環をつくっていくことが必要。“おてつたび”という旅のあり方が皆さんの日常に根付くくらいのカルチャーになって、日本各地のいろんな地域に当たり前のように人が訪れる未来をつくっていきたい」
