8月9日、新潟県の実川で沢登り中に記録された、鉄砲水に遭遇した際の映像。
急な増水による鉄砲水が発生し、穏やかだった川が短時間で一変したといいます。

一方、群馬・みなかみ町では、沢登り中に56歳の女性が遭難し、17日、8日ぶりに救助されました。

女性が遭難する原因となったのも鉄砲水でした。
救助された際に女性は足を骨折する大けがをしていたということです。

助け出されるまでの8日間をどのように乗り越えたのでしょうか。

美しい景色が広がる渓流。
遭難事故はこの付近で起きました。

ボートなどのウォータースポーツが楽しめ、近くにはキャンプ場もある群馬・みなかみ町の奈良俣ダム。
女性が発見されたのは、ここから3kmほど離れた場所です。
辺りに住宅や民家は一切ありません。

1週間以上行方不明だった女性。
発見されるまでの間、どのように過ごしていたのでしょうか。

「知人が沢登り中に鉄砲水で流され行方がわからない」と110番通報があったのは8月9日午後4時過ぎ。

遭難した56歳の女性は、同行した友人3人とともに楢俣川とヘイズル沢が合流する辺りで沢登りを開始。
その道中、鉄砲水に巻き込まれ、女性だけが行方不明となっていました。

女性は流されたあと、岸に流れ着いてからは持っていた食料を食べていたと話していて、さらに沢の水を飲むなどしていたとみられています。

しかし、女性の安否が分からないまま8日が経過した17日午前7時ごろ、釣りに来ていた男女が林道で座り込む女性の姿を発見。
女性は右足のかかとを折る重傷で、衰弱していたものの命に別条はなく、病院に搬送されました。

周辺に住む人は「(周辺は)真っ暗だから街灯も人もいないし、いろんな獣もいるはずだから、そこを生きていたのは奇跡に近いですよ」と話します。

今回、女性が遭難する原因となった「鉄砲水」とはどういったものなのでしょうか。

「イット!」は8月9日に新潟県を走る実川で鉄砲水に遭遇した際の映像を入手しました。

撮影したのは沢登り歴7年の男性。
雨が降り出したため中断し、木陰で雨宿りをしていました。
すると20分後、水かさが急激に増加。

高さのある場所に避難し、そこから見えたのは、ごう音とともに勢いよく流れる茶色い水。
鉄砲水が発生し、わずか数分で景色が一変しました。

映像の音声:
さっきいたところまでしぶきが来てる。やばいやばいやばい。

撮影者は当時を「水が増えたのは一瞬でした。(鉄砲水の)危険性は知識で知っていたし、これより小規模な鉄砲水も経験していたが、この規模・勢いはなかなかない経験だったので、沢に近づくのも怖いくらいだった」と振り返ります。

みなかみ町で鉄砲水に巻き込まれながら奇跡の生還を果たした56歳の女性。
行方不明になった日は強い雨が降っていた可能性があるといいます。

利根川上流総合管理所・木下貴博管理課長:
楢俣川の流域では雷雨の予報が出ていて、レーダーでは(上流で)雨が確認できた。結構強い雨域が発生していた。雨雲が急に湧いたような形になっていると思います。

ダムの管理事務所によりますと、この雨の影響で山間部を流れる楢俣川でも鉄砲水が発生した可能性があるといいます。

さらに、女性が行方不明となってから2日後、台風15号が茨城県南部に上陸。
女性が避難していたみなかみ町の山中はどのような状況だったのでしょうか。

矢澤剛気象予報士:
弱い雨が降りやすい状況は2、3日にわたり続いていました。標高が高いので気温は周囲に比べかなり低かったと思われます。

近くのキャンプ場によりますと、夜間の気温は12度くらいまで下がるといいます。

遭難した女性は、岸に打ち上げられたあと山中をさまよい、持参していた食料を食べつなぎながら、林道に座り込んでいたところを釣り人に発見されました。

右足のかかとを骨折していたという女性。
8日もの間、いかにして乗り越えたのでしょうか。

現地に詳しい山岳ガイドの豊野則夫さんは、奇跡の生還につながった背景に、周到な備えと知識があったのではないかと推測します。

山岳ガイド・豊野則夫さん:
エスケープルートというんですが、いざというときはここに逃げよう、そういうのは研究してますよね。沢登りを長年やっていれば、沢の遡行図(地形などのルート図)とか大体周知していると思う。山中で迷うのと違うので、沢なので、下流に行けば林道に出ると分かっていたと思う。あの辺は釣り人が多いんです。誰か来てくれないかなとか、そういうのを期待していたのでは。

18日午後、女性の夫が取材に応じ、「皆様にご迷惑とご心配をおかけしました。帰ってきましたことに感謝しています。本当にありがとうございました」と話しました。

山崎夕貴キャスター:
8日ぶりの救助だったということで、ご無事で本当に良かったです。

榎並大二郎キャスター:
恐ろしい鉄砲水ですが、河川防災に詳しいリバーフロント研究所の土屋信行さんによりますと、近年の気象変化の影響によって鉄砲水が発生しやすくなっているということなんです。

身近に起こり得る鉄砲水の予兆を聞きました。
モクモクした雲や雷の音を確認したら注意が必要です。
鉄砲水は突然、一気に押し寄せることが多いので、すぐに川から離れたほうがいいということでした。

そして、水位の変化。
今まで見えていた石などが見えなくなるといった水位上昇の場合もそうですが、さらに、水位が下がることにも注意が必要だということです。
上流で土砂崩れなどが起きて水がせき止められると、下流で水位が低下する場合もあり、その後、せき止められた水が一気に流れてくることが考えられます。
わずかな水位の変化を見逃さないでください。

遠藤玲子キャスター:
先ほどの鉄砲水の映像でも濁った水が一気に流れていましたし、川幅も広がったように見えているので、そういったわずかな予兆も見逃さないようにしなければいけないですね。

榎並大二郎キャスター:
残暑、涼を求めて沢登りは本当に魅力的ですが、特に山あいは天気が急変することが多いですから、十分に注意が必要です。