化学物質過敏症。誰でも突然発症する可能性があり、その原因は日常生活のどこにもある化学物質。当たり前だったはずの生活が送れない患者の現実に迫る。

ごく少量の化学物質に接しただけで…

「息が吸えなくなって、動悸と心臓がバクバクします」(40代・女性)

「くしゃみと鼻水は日常的に出ていて、酷くなると鬱っぽい症状が出ます」(40代・女性)

「頭がぼんやりして、家の玄関の暗証番号が思い出せず、家に入れないことがありました」(40代・女性)

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頭痛やめまい、喉の痛み、吐き気に倦怠感などと訴える化学物質過敏症に苦しむ患者。化学物質過敏症は、誰でも突然発症する可能性があり、その原因は日常生活に溢れる化学物質にある。

症状が酷くなると、それまで当たり前にできていたことが難しくなったり、日常生活に大きな支障を来たしたりする。

北九州市に住む高柳美彩子さん(50)。化学物質過敏症を患っている。

「この間、患者会で譲り受けた、みやこ町の土地へ行きます。近隣の新築工事で危ない資材を使うので、一時的に避難します」と話す高柳さん。

この日は、自宅の近くで塗装工事が行われるため一時的に避難をするという。自宅と工事現場の距離は、約50メートルだが、風向きによっては化学物質が流れて来る恐れがあり、高柳さんの身体に危害を及ぼす可能性があるのだ。

化学物質過敏症は、特定の物質に身体が反応し、さまざまな症状が出る病で、洗剤や柔軟剤、香料、建材などに含まれる、ごく少量の化学物質に接しただけで体調不良を引き起こす。

国内の成人13人に1人が発症の可能性

自宅から1時間半。到着したのは、みやこ町の山あいで自然に囲まれ、化学物質の影響を受ける心配がない場所。この場所は、同じ病気で悩む患者会で共有し、自宅での生活が困難になった時の避難場所として利用している場所だ。

この日、ここで一泊するという高柳さん。車中泊をするために改装した車には、化学物質を吸収する素材を張り巡らせている。

入浴やトイレも容易ではない。高柳さんは「簡易トイレを組み立てて、お風呂は一日だけだから入りません。何日か避難する場合は、この山の上にキャンプ場のシャワーを借ります。年に4~5回は避難します。長くて4ヵ月避難しました」と話す。

実家がある北九州市に生活の拠点を置く高柳さん。「深く息が吸えた。肺の奥の奥まで酸素が入っていくのが分かった」。普段は、さまざまな化学物質を気にしながら暮らしているが、ここでは何も気にせず身体と心を休ませることができるという。

化学物質過敏症は、国内の成人で13人に1人が発症する可能性があるともいわれている。その一方で、病気に対する認知度は低く、多くの自治体で患者への理解と配慮が呼びかけられているのも実情だ。

「会いたい人に会えない。食べたい物が食べられない」

北九州市の実家の隣にある小さな小屋が、高柳さんの居住スペースだ。高柳さんは、化学物質過敏症を発症し家族と離れた生活を4年半ほど続けている。

「洗濯機だけないので、洗濯のために実家に行きます。週に2~3回は、湯舟を借ります」とままならない日常生活にやりきれない表情だ。

化学物質過敏症の治療法について、国立病院機構高知病院の小倉英郎・医師は「治療法は基本的にはありません。化学物質の曝露を避けることが基本です」と話す。

患者たちは、さまざまな化学物質による影響について公衆衛生の問題として社会全体で考えてほしいと訴えている。

「会いたい人に会えない。食べたい物が食べられない。映画やコンサートも行けない。人の集まるところに行けない。こういう人があなたの近く、隣にいるよ。病気について一緒に考えていただけませんか?柔軟剤や化学物質をできればやめて欲しい。本音は」

化学物質過敏症。見えにくい病と向き合いながら暮らす人たちの声に耳を傾けることが、人間の日常のなかで求められている。

(テレビ西日本)

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