いまや聞かない日はないといっても過言ではない言葉「物価高」。街では「ずっと上がり続けてるなという感じがしますね」という声も上がっています。
今回、「newsランナー」が注目したのは朝食です。卵やバターなど、食材の値上げで、定番の朝食メニューがいまピンチを迎えています。
喫茶店主は材料費の高騰に悩みながらも価格を据え置き、家庭では子供にバターの使いすぎを注意する人も。
ランナーはこの苦境に勝つべく、人気料理家「まるみキッチン」さんにリーズナブルな食材で美味しい朝食レシピを考えてもらいました。
■1万8000品目以上が値上げ 朝食の定番が直撃される
ことし1月から11月にかけて値上げとなる品目は、1万8000を超える見通しです。
その品目を細かく見ると、パン、ハム、ソーセージ、コーヒーといった、まさに朝食の定番食材が並びます。
さらに雪印メグミルクは9月にバターなどの価格改定を発表しており、値上げの波は止まる気配を見せていません。
農林水産省の調査では、この5年間で食パンはおよそ30%、バターはおよそ40%、卵はおよそ50%の値上がりが確認されています。
大阪市内のスーパーマーケットを訪れた買い物客からは「野菜も上がってますし、バターも上がってます。だいぶ朝食は高いです」「ベーコンエッグにベーコンがつきません。笑うわ、なんやねん」という切実な声が聞かれました。
■大型連休前には価格がさらに跳ね上がるリスクも
問題は、通常時の値上がりだけではありません。
フレッシュマーケットアオイの内田寿仁社長は、お盆やシルバーウィークなどの大型連休前には価格がさらに上がりやすいと説明します。
【フレッシュマーケットアオイ内田寿仁社長】「市場が休みになると、休んでいる間の分の在庫も前もって買っておかないと駄目なので、供給を超える需要がバーッと生まれ、お盆とかお正月前の大型連休の前は、値段がはね上がります」
消費者にとって、より厳しい局面が周期的に訪れるという構図です。
■老舗喫茶店の苦悩 据え置きか、値上げか
物価高の影響は、長年地域に根ざしてきた喫茶店にも及んでいます。
天神橋筋商店街でおよそ50年続く「珈琲館 潤」では、コーヒーにパンと卵がついたモーニングを550円で提供しています。店主の菅信子さんは「もう2年ほど(値段を)変えてないかな。材料費35%ぐらい上がっている、豆自体。冷静に考えたらとてもやっていけません」と明かします。
同じ商店街の「珈琲倶楽部かるがも」でも、モーニングセットは500円を維持しています。オーナーの新居真由美さんは「土地柄もありますね。この辺、物価が安いので」と語りました。
取材班が商店街の喫茶店を調査したところ、直近1年以内に「据え置き」と答えた店舗は11店舗にのぼり、「値上げ」をしたのは1店舗にとどまりました。
その1店舗が「喫茶・モーデン」です。
商店街で50年以上続く老舗で、モーニングを「450円から」提供していましたが、数カ月前、他店と同程度の「500円から」に値上げしました。
真木清貴マスターは「ちょびちょび上げてもな、今、世の中の現状を見てたら、もうパーンと上げたほうがな。うちは一番後で値上げした方。我慢しててん、ずっと」と苦渋の決断を語ります。
それでも客への気持ちは変わらず、「Cセットが目玉焼きとハム1枚だけやったけど、ハムを2枚にした」と話す真木マスター。その理由を聞かれると「俺のやさしい心」と笑って答えました。
■家庭でも広がる節約の葛藤 バターをめぐる攻防
物価高の波は、もちろん家庭の食卓にも及んでいます。
5歳、8歳、10歳の3人の子を持つ伊藤真衣さんは、日曜日の朝食準備で末っ子がバターを大量に使おうとするたびに「バター多いんちゃうん?半分でいいんちゃう?この真ん中いらんやろ」と声をかけます。
「『バター食べ過ぎだよ』とか、口うるさく言ってしまうことはあります。いっぱい食べてほしいですけど、しょうがない」と苦笑いします。
1カ月でバターを使いきってしまうそうで、マーガリンに替えたところ、子供たちから「おいしくない」と言われ、ジャムに切り替えてもすぐに飽きられてバターに戻ってしまうと話します。
節約したい気持ちもある一方、子供たちの好きなものを食べさせたいと悩む日々。
時には、子供たちが大好きな、バターをたっぷり使ったフレンチトーストを「ちょっとケチってたんやけど、あしたは(フレンチトースト)しよか」と提案することもあります。
「できることからコツコツと」…メリハリをつけた食卓で物価高を乗り切ろうとしています。
■”供給量”が価格を左右 今がお得な食材とは
では、厳しい状況の中でどうすれば賢く朝食の食材を選べるのか。
スーパー「フレッシュマーケットアオイ」の内田社長が示したキーワードは”供給量”です。
【フレッシュマーケットアオイ内田寿仁社長】「産地でたくさんとれて供給量が増えると、値段が下がります」
実際、現在、天候に恵まれた北海道でニンジンが豊作となっており、価格は平年比でおよそ3割安くなっているといいます。同じく長ネギもおよそ2割安い水準です。
■人気料理家が伝授 お得食材で作る朝食レシピ
こうしたお得な食材を活用した朝食メニューを紹介してくれたのが、総フォロワー数365万人の料理家「まるみキッチン」さんです。
用意したのはニンジンとネギ、そして牛や豚に比べるとリーズナブルな鶏もも肉です。
1品目は「鶏もも肉をまるごと使った炊き込みご飯」。
お米(2合)に鶏がらスープの素(大さじ1)、醤油(大さじ1)、おろしにんにく(2センチ)と水(2合の線まで)を加えてよく混ぜます。
【料理家まるみキッチンさん】「こちら(鶏もも肉1枚350グラム)をこのまま炊飯釜の中にドーンと加えていきます」
(Q.こんなに大胆にいれちゃって大丈夫ですか?)
【料理家まるみキッチンさん】「このまま大胆に加えてあげてください」
そして、長ネギ(1/2本)を加えて…炊飯スタートです。
炊き上がったら長ネギを取り出し、ごま油を加えてしゃもじで具をほぐせば完成です。
2品目は「ひらひらニンジンと長ネギのレンチンスープ」。
ニンジン(1/2本)の皮を剥き、ピーラーで薄く削ります。
(Q.まな板と包丁は使わない?)
【料理家まるみキッチンさん】「洗い物をできるだけ減らしたいのと、手間なくっていう」
そこに長ネギ(1/2本)を加えて…。
水(400ミリ)、鶏ガラスープの素(大さじ1)などを合わせて、電子レンジに入れ500ワットで9分加熱したら完成です。
3品目は「ニンジンだけの即席コールスロー」。
にんじん(1本)をピーラーで薄く削り、レンジで(500ワットで2分)加熱します。
マヨネーズ(大さじ1)、酢小さじ1、砂糖小さじ1/2、塩コショウ少々をあえたら、(好みで黒コショウを振って)完成です。
【料理家まるみキッチンさん】「ニンジンをいっぱい駆使したりとか、長ネギ駆使してあげることで、これだけボリューム満点で、しかも簡単に作れるので、めちゃくちゃいいと思います」
■共同通信・太田氏「農業や水産業などへの補助金なども」
一方、政府の物価高対策について、共同通信社の太田昌克解説委員は「消費税減税のほかにも、農業や水産業などへの補助金などを給付するなどの措置も必要だ」と訴えました。
【太田氏】「この物価高は、構造的要因が深いと思います。バブル経済後、日本はデフレ状態に入って、政府がそれを主導して物価2%目標っていうことで、さらにその2%を超える賃上げってやってきました。
だからどうしてもインフレ基調であった。そこへ来て、円安が進み、輸入品目の肥料や飼料が高騰しました。
高市内閣のそれらへの『処方せん』は、今のところ消費税減税です。ただ8%から1%に引き下げても、これまで値上げを我慢してこられた方がいるので、7%分が本当に引き下げられるかというと、必ずしもそうではない。
農業・水産業・畜産業、私たちの生活に直結するセクターにもう少し補助金とか給付金とかですね、即効性のある財政措置を打って欲しいと思います」
(関西テレビ「newsランナー」2026年8月17日放送)
