仙台で100年以上続く伝統の影絵劇の公演が、8月6日、仙台市青葉区で行われました。団体の高齢化は進んでいますが、高校1年生のメンバーを中心に表現される物語は、子供たちも含め、見る人を魅了しています。
光と影で物語を描く影絵劇。その幻想的な情景は見る人を夢中にさせる魅力があります。
「うんとこしょ、どっこいしょ」
この影絵劇を大正時代から受け継いできたのが、「おてんとさんの会」です。
仙台出身で童謡や童話の愛好家だった天江富弥と、仙台で詩人として活躍したスズキヘキを中心に、今から100年以上も前、1921年に日本で初めて童謡専門誌を創刊した「おてんとさん社」をルーツに持ちます。
ゲームもスマートフォンも無いこの時代。子供たちは影絵劇に夢中になり、また、それを演じるヘキたちは表現方法の研究を重ね、仙台に豊かな児童文化を育んでいきました。
7月26日。2週間後の本番に向けた練習会が開かれました。
メンバーの高齢化が進む中、「期待の星」となっているのが高校1年生の加藤光太朗さんです。
会のメンバーである父親の影響で、小さい時から影絵劇を見て育ち、小学6年生からは活動に加わるようになりました。
はじめは教えてもらうことばかりでしたが、今ではすっかり中心的な存在になっています。
高校1年生 加藤光太朗さん
「100年前の時の招待券とか反省会の資料を見せてもらったが、その時の情熱をすごく感じたので、それを絶やさないようにしたいです」
思いと技術を受け継ぐ光太朗さん。今年は長く途絶えていた、ある演目の復活に挑戦したいと考えていました。
「タンポポヤマデ キツネガ ユメヲ ミテタトサ~♪」
春、タンポポが咲き誇る暖かな陽気の中、2匹のキツネが夢見心地な様子を歌った「たんぽぽやま」。ヘキの代表作の一つです。
高校1年生 加藤光太朗さん
「小さい時に見た影絵の記憶で一番残っているのが『たんぽぽやま』。今年はそれをちゃんとできるようにしたい」
光太朗さん「なんかひっかかる」
理さん「もうちょっとこっち…」
こくり、こくり。 眠そうなキツネの首をどう表現するか…本番まで試行錯誤を重ねます。
6日、いよいよ本番を迎えました。
舞台はみんなでイチから組み上げ、光の当て方や人形の動かし方など調整を繰り返します。
高校1年生 加藤光太朗さん
「大正時代から受け継がれている作品ということを感じてほしい。興味を持ってくれる子どもがいてほしい」
「おてんとさん~♪」
この日、披露するのは全部で8つの演目。そしてついに「たんぽぽやま」です。
「たんぽぽやまで きつねが おひんね(お昼寝)してたとさ」
デジタル機器にあふれた令和の時代。そのなかでも大正から続く伝統の影絵には、今も人をひきつける変わらぬ魅力があります。
50代女性
「ほっこりした優しい感じの影絵で楽しかったです」
外国人カップル
「とても素晴らしくてきれいでした。前から影絵劇については聞いたことはありましたが、実際に見ることができて良い経験になりました」
小学3年生の女の子
「面白かった。やってみたい」
影絵劇の魅力を多くの人に知ってもらって、その輪を広げたい…。
光太朗さんは、そう考えています。
高校1年生 加藤光太朗さん
「小さい子が見て入りたいって感じてくれればいいと思う。自分の記憶にあるたんぽぽやまに近づいていきたい」
仙台で100年前から続く伝統の影絵。
そのともしびを守る人たちがいます。
