熊本地震から1週間が経過し、地元が誇る農業への影響も明らかになってきました。
豊かな自然と豊富な水資源に恵まれ、全国的にもさまざまな農産物などの生産が盛んな熊本県。
トマトやスイカ、デコポンの生産量は全国1位です。
生乳が3位、肉用牛も飼育頭数が4位と生活に身近なものが多く、熊本県ではこうした豊富な食文化を「食のみやこ熊本県」としてアピールしてきました。
そんな食のみやこの根幹を支える農業の被害状況はどうなっているんでしょうか。
被害が大きかった地域では復旧作業を進める一方で、いかに生業(なりわい)を守っていくのか難しい状況に直面しています。
都内にあるスーパーで5日から店頭に並び始めたのは、くまモンがパッケージに描かれたオクラです。
普段は輸送コストが低い関東圏の野菜を仕入れることが多いといいますが、スーパーアキダイ・秋葉弘道社長は「(産地が)八代と聞いて、被害の大きかった産地のオクラだったので。(オクラは)どんどん出さないとだめになる。大変な中でも出荷してるっていうことなので、少しでも応援できればと思って」と話します。
店頭に並ぶ「くまもと」の文字に手を伸ばす人の姿も。
50代:
何も東京だとできづらいので、ささいなところから。熊本県産きたら優先して買うとか、やっぱこういうので力になれればと思います。
地震発生から9日目。
被災地では、農業への影響が深刻化しています。
ミニトマト農家:
液状化というか、水が湧いてるから耕すことができない。
農林水産省によりますと、今回の地震で熊本県内の畑や水路、農業関連の施設など約2300カ所が被害を受けたということです。
震度7を観測した氷川町でイチゴを育てている松村さんは、地震のあとには約2万株のイチゴの苗が倒れたといいます。
幸い、苗自体に被害はなかったものの、農家の命綱ともいえる水に問題が起きていました。
イチゴ農家・松村幸治さん:
本当だったら電気で、モーターで(水やり)できるんですけど、電気が来てないので。よそから(軽トラで)くんできて、エンジンで(水を)やっているんですけど、30分くらいで終わる作業なんですけど3時間ほどかけて水やりを毎日やってます。
復旧作業に追われる傍ら、生業をいかに守っていけるのか厳しい状況が続いています。
イチゴ農家・松村幸治さん:
苗ができないと来年、再来年までイチゴの出荷ができなくなる状態。とりあえず枯れないように水を一生懸命かけてはいるんですけど、この暑さですし、水の調達が難しくなればそれも考えなければいけない。
八代市では5日、畑に水を引くための復旧工事が急ピッチで行われていました。
被害の大きかった地域では、生活用水が8月中に復旧する見通しですが、農業用水の復旧については見通しが立っていません。
榎並大二郎キャスター:
震度7を観測した氷川町では、収穫直前のナシが9割以上落ちてしまったという被害もありました。収穫の最盛期だったこともあり、こちらの農家では1年間、収入がなくなるので厳しいと肩を落としていました。
山崎夕貴キャスター:
収穫目前でって本当にショックだと思います。榎並さんは取材を続ける中で何か感じたことはありますか。
榎並大二郎キャスター:
田んぼに、折れた電柱がそのまま倒れ込んでいる場所もあったんです。断水の被害もありますし、農業が盛んな場所だけに今回の被害が与える影響は大きいなと感じています。
そして熊本県は農家などに対して、沿岸に近い八代市や宇城市などでは、井戸などからくみ上げた地下水について水質や水量に変化が生じる可能性があるという呼びかけや、水田や農地では海水が侵入することで塩害の恐れがあるとの注意喚起とともに調査を行っています。
実際、10年前の地震では水田に引いていた水に温泉が湧いた例があるそうです。
こうした中、被災地の一部では少しずつですが再開の動きも出始めています。
5日に取材したのは、氷川町で地域に親しまれているスーパー、ファミリーフードありさ宮原店です。
こちらは、地震発生から6日間は停電と断水で多くの商品を破棄せざるを得なかったそうです。
一部在庫が残っていたカップ麺や飲み物などを販売していたそうです。
4日、1週間ぶりに電気が復旧したということで、卵を無料配布するなど一歩、本格営業に近づいたといいます。
さらに電気の復旧に合わせて新鮮な野菜も入荷して、中には熊本県産の果物や野菜の段ボールもありました。
客の多くはこうした新鮮な野菜を求めているということで、スーパーのヨシダ社長は「これで少しでも喜んでもらえればうれしい」と話していました。
では、市場の状況はどうなっているでしょうか。
スーパーの青果担当者の話では、県内の農家からの入荷が少なりつつあるということで、震災の影響で市場に卸せないところがあるということです。
農家の稼働に合わせてもう少し時間が経てば、活気が戻ってくるかもしれないと話していました。
そして、5日取材した都内のスーパーではこんな声も聞かれました。
アキダイの秋葉社長によりますと、熊本産で有名な野菜はトマトやレタスだということで、秋ごろから全国に流通するということです。
特に八代市のトマトは有名で、熊本のトマトが流通しなくなったら冬場の日本のトマトがなくなるに等しいと懸念していました。
山崎夕貴キャスター:
これからの流通も気になりますし、私の夫が熊本出身ということもあって普段からスーパーで熊本県産の野菜を気にして見ていますが、先週末も、いつもより少ないなという気がしましたね。
榎並大二郎キャスター:
そうした影響は、すでに出始めているかもしれません。現地での取材で田畑だけではなく倉庫や小屋といった関連する施設の被害も目立っていました。被災地の生業をいかに守っていくのか、現地の生活再建策も大きな課題となっています。
