熊本地震で工場の煙突が倒壊し、従業員ら9人が死亡した日本製紙が5日午後、記者会見を開きました。

会見では、社長が「深くおわびします」と謝罪。
死者9人のうち6人がデスクワーク中に被災したことを明らかにしました。

「亡くなられた方々に深く哀悼の意を表しますとともに、ご遺族の皆さまに心よりお悔やみを申し上げます」と話し、頭を下げたのは日本製紙の瀬邊明社長と2人の幹部です。

地震発生後、初めて会見を開き、従業員9人が死亡した八代工場の被害などについて説明を行いました。

日本製紙代表取締役・瀬邊明社長:
被害の全容および原因に関わる調査については、外部の学識経験者、専門家を含めた調査体制の構築を進めているところであります。

10年前の地震では大きな被害の報告がなかった八代工場。
なぜ今回、大きな被害が出たのでしょうか。

地震発生の翌日、カメラが捉えた日本製紙八代工場の被害。
最大震度6強を観測した八代市にある工場内で煙突3本が倒壊し、一部が建物に落下したのです。

地震発生から8日が経過した5日、日本製紙が初めて行った会見で明らかになったのは地震発生当時の八代工場の詳しい状況です。

当時、工場内には日本製紙の社員186人の他、協力会社の社員など228人の合計414人が勤務していたといいます。

このうち、日本製紙の社員6人と協力会社の社員3人の9人が死亡したということです。

尊い命が失われたことについての受け止めについて、瀬邊社長は「本当にこれ以上ない、悲しくつらい出来事でございます。心から被害に遭われた方に哀悼の意をささげたいと思っております」と述べました。

日本製紙の社員6人が死亡した際の状況について、八代工場長を務める山邉常務執行役員は「従業員6人亡くなっていますが、デスクワーク中でそのまま被災したということで、同じ机の並びで座っていた場所で2人は救出された」と説明しました。

また、協力会社の3人が死亡した状況については詳細が分かっていないということです。

10年前の地震では大きな被害の報告がなかった八代工場で、なぜ今回、煙突が倒壊したのでしょうか。

その原因の1つとみられているのが、ゆっくりと大きく揺れる長周期地震動です。

高く細い建物を大きく長時間揺らす長周期地震動では、震源から遠く離れた場所でも被害が出ることがあります。

先週の地震発生時、八代市では長周期地震動の階級最大のレベル4が観測されていました。

専門家は、煙突倒壊と長周期の関係を以下のように指摘します。

東北大学災害科学国際研究所・遠田晋次教授:
なぜこういう長周期の揺れが起きたかというと、八代平野特有の非常に軟弱な地盤が厚いということ。そういう影響でゆっさゆっさした揺れが増幅強調された。それが日本製紙の八代工場の煙突破壊につながったともいえる。これは長周期の波と煙突の(揺れの)周期が同期した、共鳴した可能性が十分にある。

それぞれ70メートル、80メートル、110メートルの高さがあったという3本の煙突。
倒壊した原因について日本製紙側は「非常に難しいところではあると思う。今回の地震によって煙突が倒壊した。このメカニズム、これは地震といってもその場所場所でかなり揺れ方が違うんじゃないかと。ここは専門家に入っていただいていろいろと調査をすべきであるということで、調査委員会を立ち上げてきっちり検証してまいりたい」と述べました。

会見では、工場内の鉄筋コンクリートについても質問が及びました。

日本製紙・山邉義貞八代工場長:
(Q. 交換の時期が近かったみたいな?)直近の測定データはございません。鉄筋コンクリートの硬さは測ってないが、老朽化してたかどうかは事故調査委員会の方で調べないと、私どもも今、現任も近づけない状態なので。現時点では分かりません。

国交省は4日、煙突が倒壊した原因究明に向け調査に乗り出すとしています。