ロイター通信は4日、アメリカ軍がイランとの戦闘で、高精度の長距離ミサイルの備蓄の大半を消費し、将来の有事への即応能力に懸念が高まっていると報じました。
ロイター通信によりますと、複数の関係者は、アメリカ軍が地対地ミサイルの「ATACMS(陸軍戦術ミサイルシステム)」や、その後継となる「PrSM(精密打撃ミサイル)」を「事実上すべて」使用したと話しているということです。
また、通常は艦艇から発射される巡航ミサイル「トマホーク」についても、世界全体の備蓄の約半分を消費したとしています。
ATACMSやPrSMは、安全な距離から標的を正確に攻撃できる長距離兵器で、1発あたり100万ドル以上、日本円で約1億5000万円以上とされています。
アメリカがウクライナに供与したATACMSは、ウクライナ軍によるロシア国内の標的への攻撃にも使用されました。
軍事専門家は、こうした長距離兵器は中国との有事でも重要な戦力になると指摘しています。
ロイター通信は、複数の関係者が、長距離ミサイルの備蓄の減少によって、ロシアや中国などに対するアメリカの抑止力が低下し、将来の有事への即応能力が損なわれる恐れがあると懸念を示していると伝えています。
さらに、防空システムで使用される迎撃ミサイルの備蓄も減少しているとみられています。
戦略国際問題研究所(CSIS)は先週、2月から7月までにパトリオット迎撃ミサイルの約65%が消費され、THAAD(高高度防衛ミサイル)の迎撃ミサイルの備蓄も、開戦時と比べて少なくとも38%減少したとの推計を公表しました。
複数のアメリカメディアは先週、トランプ大統領がイランへの大規模な追加攻撃を見送った背景の一つに、兵器の備蓄減少をめぐる軍側の警告があったと報じています。
一方、ホワイトハウスはトランプ大統領の声明として、「アメリカは世界のどの国よりも多くの弾薬を保有しており、必要量を大きく上回っている」と発表し、兵器の備蓄をめぐる懸念を否定しています。
