海水浴シーズンを迎え、水難事故が全国で相次いでいる。ライフジャケットの正しい着用方法や、目の前で人が海に落ちたときに取るべき行動など、加藤雅也アナウンサーが実際に体験しながら命を守るポイントを学んだ。

7月・8月に集中する海の事故

海上保安庁によると、瀬戸内海など第六管区内で過去5年間に起きたマリンレジャーでの事故は、7月・8月だけで121人に上る。最も多いのは遊泳中の事故で63人。SUP中が19人、トーイング遊具中が11人、釣り中が9人、磯遊び中が8人と続く。
遊泳中の事故は20歳未満が4割以上を占めている。また、「溺水」が34人と最も多く、このうち16人が死亡または行方不明となるなど、命に関わる深刻な事故も少なくない。

海の事故の事例を紹介する石田指導官
海の事故の事例を紹介する石田指導官
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第六管区海上保安本部安全対策課の石田夏希マリンレジャー海難防止指導官は、「海はプールみたいに底が平坦ではなく、安全設定された施設ではない自然のもの」と注意を呼びかける。海水浴場でも急に深くなっている場所や流れの速い場所がある。さらに、友人同士で海に飛び込む遊びをして大けがを負い、亡くなった事例も紹介した。

ライフジャケットの落とし穴

事故を防ぐために欠かせないのがライフジャケット。しかし、「着てさえいれば大丈夫」というものではない。加藤雅也アナウンサーが実際に着用方法を体験した。
「基本的にはライフジャケットを羽織って、前を閉めるのかなという気がするんですけど…」
すると、広島海上保安部交通課の上村剛マリンレジャー海難防止指導官から最初に指摘されたのが、股下のベルトだった。
股下のベルトがない状態で水の中に飛び込むと…
「ライフジャケットがすっぽりと脱げてしまいましたね。かろうじて私の肘に引っかかっている状態です」

ベルトが緩い状態で水の中に入った加藤アナウンサー
ベルトが緩い状態で水の中に入った加藤アナウンサー

また、ベルトが緩いなど中途半端な着用では、浮力でライフジャケットが顔の一部を覆った。
「私の鼻と口をライフジャケットが覆ってしまっているので、呼吸のしづらさがあります」

ライフジャケットはサイズ選びが重要
ライフジャケットはサイズ選びが重要

まずは着る人に合ったサイズを選ぶことが重要。上村指導官は、脇のベルトを「ほんの少し圧迫感を感じる程度」に締めることや、見落としがちな固定用バックルまで確実に留めることを指摘する。

上村指導官から正しい着用方法を学ぶ
上村指導官から正しい着用方法を学ぶ

正しく着用し、ライフジャケットが体にフィットした状態で再び水の中へ。すると、加藤アナはその違いに驚いた。
「あ!全然違います!力を入れなくても勝手に全身が浮いてくれる。耳も出ているので音がしっかり聞こえます」

さらに、服を着たまま海に落ちてしまうケースも体験。
「かなり浮きにくく、徐々に沈んでくる感じがあります」
そんなときに備えて、釣り人などが好む膨張式の救命胴衣もある。加藤アナがひもを引いて作動させると、一瞬で膨らんだ。
「首から上が水面に出るように支えてくれるので、自然に浮いていられます」

身近なペットボトルも命綱に

もし目の前で人が海に転落したり、川で流されているのを見つけたら、どう救助すればいいのか。実は、救命用の浮き輪がなくても身近な物で代用できる。
その一つがペットボトルだ。

より遠くへ正確に投げるために水を入れる森田計画係長
より遠くへ正確に投げるために水を入れる森田計画係長

ペットボトルを救命に使う場合は、ビニールひもなどでつないでおくことが重要。つないでいないと、投げたい場所から外れた場合に回収できないほか、溺れた人を引き寄せることができない。さらに、より遠くへ正確に投げるためには、水を入れることもポイント。
第六管区海上保安本部救難課の森田知尊計画係長は、「水をあまり入れすぎても浮力が損なわれるので、2Lのペットボトルであれば10分の1程度入れていただければ」と話す。
救助される人は、楽な姿勢でペットボトルを首元や胸元で抱え、顔を上に向けることで呼吸を確保しやすくなるという。

クーラーボックスの浮力に驚く加藤アナウンサー
クーラーボックスの浮力に驚く加藤アナウンサー

続いて試したのはクーラーボックス。
「あ!すごいこれ!バッチリ浮いています。お腹のあたりに抱えるだけで全身が浮きますね」

ランドセルは逆さにして抱えることがポイント
ランドセルは逆さにして抱えることがポイント

さらに、ランドセルもいざというときには活用できる。森田計画係長が「逆さに持ってください」とアドバイス。
「しっかり浮きますね!」
ランドセルは逆さにして持つことがポイント。救助する際は、こんな身近な物も役に立つことを実感した。

絶対、飛び込んで助けに行かないで!

最も大切なのは、絶対に飛び込んで助けに行かないことだ。救助に向かった人が溺れてしまい二次災害になることもある。
まずは笛を吹いたり大声で周囲に支援を求めたりする。そのうえで、ペットボトルなど浮くものを投げたり、近くにある棒を差し出してつかまってもらうことも有効だ。

水難事故を防ぐために大切なこと
水難事故を防ぐために大切なこと

陸へ引き上げる際は、相手の体重や波で引き込まれる危険があるため、二次災害防止のためにも必ず2人以上で行うこと。3人以上いる場合は、扇形を組むように手をつないで引き上げる方法も有効だという。

海上保安庁は、海へ出かけるときは必ずライフジャケットを着用し、事前に家族や友人に行き先と帰宅時間を伝えておくよう呼びかけている。万が一、助けを求めるときは「118番」へ通報。そのためにスマートフォンを防水ケースに入れて携帯しておくと安心だ。

楽しい夏休み。悲しい事故を防ぐためにも、子どもから目を離さず見守ること、遊泳禁止区域には近づかないこと、そして事前の備えを怠らないことが、自分や大切な人の命を守ることにつながる。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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