「x3d(クロスサード)」は、人材育成から組織開発までを一貫して支援するAIスタートアップとして2023年に創業しました。代表取締役社長の武石幸之助さんに、日本全国で展開するAI教育事業の現状と、AIを「育てる」という独自の視点、そして経営者として大切にしている熱い思いについて聞きました。

起業家一家のルーツとインターネットへの情熱

――今、会社で行われている事業というのはどういったものですか。
 「日本全国各地で『AIの先生』をしています。ChatGPTやClaude、GeminiといったAIの使い方や、AIと共に会社がどのような未来を描くのかを、法人向けに教育する事業を行っています」

――子供の頃はどのように過ごしましたか。
 「北海道釧路出身で、1980年生まれです。祖父は食品の卸問屋を営んでいましたが、私が5歳の時に亡くなり、家業が他の方の資本に移る経験をしました。私自身は北海道で育つ中で、開拓者精神のようなものを感じていました。何かやりたいという思いを持って、東京の大学に進学したのです」

――大学ではどのような学びをしましたか。
 「慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパスへ進みました。インターネットの黎明期からコンピューターサイエンスを教育する環境で、水を得た魚のように新しい技術を学びました。もともとオタク気質だったので、自分をその環境に身を投じて勉強したいという思いがありました」

――卒業後はどのようなキャリアを歩みましたか。
 「さらに勉強したくなり東大の大学院に進みましたが、3年間はほとんど勉強せず、大学の横にあるパチンコ店に入り浸る生活でした。その後、改めて仕事をしようと決心し、将来的に起業を目指せる環境としてサイバーエージェントに入社しました」

――サイバーエージェントではどのような仕事を担当しましたか。
 「アメーバブログの立ち上げメンバーを新卒で経験しました。その後もメディア事業に携わり、アバターサービス「アメーバピグ」の事業部長も務めました。新しいものを作り、ユーザーに広めていく流れが当時から好きで、それが今の仕事に活きています」


ゼロからの創業とAIとの運命的な出会い

――独立を考えたきっかけは何ですか。
 「素晴らしい会社でしたが、事業が立ち上がり、組織が大きくなっていく様を見る中で、自分でもやりたくなってしまいました。会社作りもある種のクリエイティビティだと感じ、サイバーエージェントに5年いた後、2011年に自分の会社を作りました」

――起業当初はどういった事業を行いましたか。
 「試行錯誤の末、モバイルコンテンツやゲーム事業の途中から事業転換し、ベトナムのハノイに組織を作りました。当時、国策としてITに力を入れていたベトナムのエネルギーを借り、現地のメンバーと共にシステム開発チームを構築しました」

――そこから今のクロスサードを創業する段階を教えてください。
 「実は10年前からAIの開発はやっていました。ただ当時は機械学習などシンプルなものでした。転機となったのが、2023年頃のChatGPTの台頭です。あの瞬間を見た時にしびれ、これこそが人生のテーマだと確信しました。2023年にAI専用の会社、クロスサードを設立したのです」


粘り強い対話が鍵。AIを「育てる」という視点

――AIでビジネスをするにあたり、どのような戦略を考えましたか。
 「大事なのは技術教育そのものよりも、文化を受け入れるための土台作りだと考えました。だからこそ、一番最初に目をつけたのが教育事業でした」

――教育というのは、AIの使い方を教えるということですか。
 「使い方もそうですが、AIとの付き合い方や心得が重要です。どうすればより良く対話できるか、その先にどのような価値が生まれるのかという考え方を整理し、現場に浸透させる手伝いをしています」

――具体的な成果が出た事例はありますか。
 「半年前にコーチングを始めた運送会社の社長さんの事例があります。当時は使い方が分からないと言っていたのですが、最近ではとてつもない業務改善システムを次々と構築されています。一つのロックが外れると、凄まじい勢いで進化し始めます。最近のAIは経営者のクリエイティビティを伴走して実現するパートナーになっています」

――経営者に伴走する際、どのようなメソッドを使っているのですか。
 「AIと話すことは英語教育に似ています。型にはまって自分の意図を伝えられない人が多すぎるので、『プロンプトの例』といった決まった型を捨ててくださいと伝えています。素直な言葉で、粘り強く対話することが大切です。何度もコラボレーションを繰り返すと、答えが100点から120点へと近づいていきます。AIは人間が育てていくものです。関係性を構築していくと、自分以上の答えが出てくるようになります」

――これからの未来、AIとどう向き合っていくべきでしょうか。
 「AIのない世界は、もはや不可逆です。これからはAIを取り込み、新しいライフスタイルを作っていく時代です。AIが人間の思考を代替することで、人間が思考を失ったり、暴走によってデータが消えたりするリスクもあります。正しい知識を持ち、付き合い方を理解しながら、豊かな人生や会社を作っていくことが重要だと考えています」


楽しむことが鍵。応援される経営者のあり方

――最後に、ボスとして大切にしていることを教えてください。
 「経営者として悩む時期もありましたが、このAI事業に出会えたことに感謝しています。やはりボスが、事業のあり方を心から楽しんでいるかが大事です。私は今、AIが大好きで、教えることも大好きです。AIによって変わっていく経営者や会社の姿を見るのが本当に楽しいのです。その姿をメンバーやステークホルダーが見てくれると、自然と応援団が増えていきます。これからも、AI教育者として、この熱を日本中に伝えていきたいと思っています」
 
 北海道の活性化を目指すボス達と北海道の未来と経営を楽しく真剣に語り合うUHB「#BOSSTALK」(ボストーク)。廣岡俊光キャスターがBOSSの本音に迫ります。

北海道文化放送
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