参議院本会議で可決・成立した改正皇室典範を巡って、宮内庁の元長官がFNNの取材に応じ、「大きな課題は残されている」「皇室の方々の思いをくみ取る努力が必要」との認識を示しました。
羽毛田信吾・元宮内庁長官:
(皇室典範に)構造的な欠陥があるということは繰り返し申し上げてきた通りですし、今までの問題に手がついたということ自体は喜ばしいことだろうなと。
2012年まで7年間、宮内庁長官を務めた羽毛田信吾さんがFNNの取材に応じ、現行の皇室典範は皇位継承を男系男子に限るという1条、女性皇族が結婚により皇室を離れる12条の規定について「構造的な欠陥がある」と指摘し、改正皇室典範の可決成立を「喜ばしいこと」とする一方、「皇位継承が途絶えるという危機感、大きな課題は残されている」との見解を示しました。
羽毛田信吾・元宮内庁長官:
(皇位継承資格は)悠仁さまだけという一筋の道になっており、その先について今は何も見通せず安定的な道ではない状況。複数の選択肢が可能な間に検討しより良い選択をするのは非常に大事なこと。
側室から生まれた非嫡出子が皇位を継ぐことができる仕組みの中で男系が続いてきたことはやはり重い。今後側室制度を考えないなら、皇位継承の安定性や実現可能性に重きを置いて検討し、国民の理解がなければならない。
むしろ大きな課題は今後に向けて残されているとしっかり意識することは必要ではないか。
また、2008年、在位中の上皇さまが、皇統を巡る問題のストレスなどによる胃と十二指腸の炎症で一時公務を休まれた際の状況を明かしました。
羽毛田信吾・元宮内庁長官:
上皇さまは、皇位が今後とも安定的に続いていく道筋が付いていないことを心配されるお気持ちは非常に強くていらっしゃった。
象徴天皇の在り方が今後とも安定的に続いていってほしいという通底するお考えだったのではないか。
その上で、「引き継いでいくべきものが何であるかの議論が必要ではないか」と指摘しました。
羽毛田信吾・元宮内庁長官:
ひたすらに国民に心を寄せ、平和を希求され、それを自身の活動によって実践されてきた。
そういう『象徴天皇』を引き継いでいくんだということを、この問題を考えるときに常に念頭に置いて考えていかなければならないことではなかろうかと。
血統としての天皇であると同時に、平成の天皇陛下が一生懸命確立され、今の陛下が一生懸命実践されている『象徴天皇の道』をどう繋いでいくかが問題の本質。
天皇陛下は6月、外国訪問前の記者会見で制度についての言及は控えると前置きした上で、「国民の皆さんの理解が得られることを望んでいます」と発言されました。
このことについては「憲法の規定からしても、民主主義のもとでの天皇制からしても当然のご発言だろう」との見解を示しました。
羽毛田信吾・元宮内庁長官:
富士山でも国旗でもない、生身の方を象徴として戴いている意味、国民の大多数による信頼と共感の上に成り立っている天皇制のもとで、象徴天皇像を皆で考えなければならない。
また、改正により影響を受ける皇室の方々の思いをくみ取る努力が必要との認識も示しました。
羽毛田信吾・元宮内庁長官:
皇室典範は天皇制を律する国の制度であると同時に、皇室という『ひとつの家族』を律する制度でもある。改正により影響を受ける方達がどのようなお気持ちでいらっしゃるのか、くみ取る努力、念頭に置く努力は大事だと思う。
