日本三大松原の一つ、福井・敦賀市の「気比の松原海水浴場」が存続の危機となっている。かつては年間50万人が訪れた夏の名所も、2025年には6万4000人にまで落ち込んだ。収入の7倍にも及ぶ運営費も課題となっている。長年、夏場の観光を支えてきた海水浴場を維持し続けるのかどうか、難しい選択を迫られている。
かつては人があふれた1キロに及ぶビーチ
日本三大松原の一つに数えられる景勝地・敦賀の気比の松原。白い砂浜が1キロにわたって続き、観光資源として地域に根差してきた。
1990年前後の映像を見ると、ビーチには人がごった返し、水着姿の若者たちが所狭しと集まっている。ピーク時には年間約50万人が訪れていた。
現在、海水浴場の運営を担う第三セクター「港都つるが観光協会」が管理を引き継いだ2012年時点で、来場者数はすでに13万人まで減少していた。さらに、2020年以降のコロナ禍が追い打ちとなり、2025年には6万4000人と、ピーク時の実に8分の1にまで減少した。
「運営状況は大変厳しい」と語るのは同協会の池田祐太郎事業本部長。「最近は夏が暑すぎるし、遊びの多様化で泳ぎに来る客が減ってしまった」という。
記録的な猛暑が続く近年、炎天下のビーチに長時間滞在することを敬遠する人が増えている。加えて、余暇の過ごし方も多様化。海水浴にかわってテーマパーク、アウトドアスポーツ、インドアの娯楽など選択肢が広がり、「夏は海水浴」という行動様式が薄れつつあるのだ。
福井県全体でもの海水浴客は、2019年の約70万人から2025年には48万人まで減少している。
かつては砂浜に所狭しと軒を連ねた浜茶屋も、今シーズン営業するのはわずか1軒のみ。
海水浴客が減ったことに加え、コンビニなどで飲食物を購入してから訪れる人が増え、現地での消費そのものが落ち込んでいる。
年間3500万円の運営費に対し収入は500万円あまり
さらに、多額の運営費も課題となっている。
海水浴場の運営には救護所や照明の設置、駐車場の警備、そしてライフセーバーの人件費など、シーズン中に約3500万円が必要となる。
対して収入はというと、駐車料金の500万円あまり。差し引き3000万円近い赤字は市の補助金、すなわち税金で賄われている状況だ。
来場者が激減する中でも、安全を確保するための固定費は大きく削れない。財政的な重荷はますます深刻になっている。
今年の海開きは7月18日に予定されており、砂浜では救護所や遊具の設置など、着々と準備が進められている。しかし池田さんは「来年については検討中」と明かす。
来年以降の開設は市が関係団体と協議
敦賀市の米澤光治市長は7月の定例会見で「すごく心配しています。我々にとっては大事な海水浴場なので、なんとか維持したい」と述べた。
市は観光協会や関係団体と委員会を設置し、来年以降の海水浴場開設について検討を進めている。
夏の観光を支えてきた海水浴場を、これまで通り続けるのか、それとも形を変えていくのか。厳しい選択を迫られている。

