2025年の熊本市の観光消費額1280億円、そして入込数・観光客などを計人数が654万7000人でした。そしてのべ宿泊者数は418万人と、いずれも2年連続で過去最多を記録しました。こうした中、熊本市が7月1日に導入したのが『宿泊税』です。『宿泊税』の導入は熊本県内では初めて。まずは導入初日の宿泊施設の様子からお伝えします。
熊本市内7月1日から1人1泊一律200円
7月1日に熊本市で導入された宿泊税。市内のホテルや旅館、民泊施設などに宿泊する人に対し市内市外に関わらず1人1泊につき200円の課税がスタートしました。

名古屋からの宿泊客は「私は全国いろんな所に行くんですけど、よそでは始まっている所があって、200円は他もやってることだから、別に驚かないです」と話し、別の宿泊客も「妥当な値段というか、そんなに高くないし、いいんじゃないですか」と話します。

一人一泊200円、他都市では宿泊料金に応じて税率を定めるなどさまざまですが、熊本市は一律の金額としました。決定までにはどんな議論があったのでしょうか。熊本市の宿泊税検討委員会で、会長を務めた小林寛子東海大学客員教授に聞きました。

小林東海大学客員教授は「率で換算することを全部フロントに任せるのはとても難しいと(事業者の声)。一般の人に分かりやすくすること、(事業者の)業務を簡易化することが最初の目的だった」と話します。
他自治体では『一律』ではないところも
では、他の宿泊税を導入している自治体が金額をどうしているのか。一部を紹介すると、一律ではなく宿泊料金に応じて定めているところも多く、長崎市では100円から500円です。

京都市では200円から1万円。ちなみに宿泊税1万円となるのは1泊10万円以上の宿泊料金に対してです。また、北海道の倶知安町は宿泊料金の3%としていて、町とは別に課税する北海道の宿泊税を差し引いた残額となっています。

熊本市は宿泊事業者の負担を考えて一律200円としましたが、もう一つ宿泊税導入に当たって熊本市が行った事業者負担軽減の取り組みがあります。
熊本市は宿泊税導入開始の補助制度も
熊本市宿泊税検討委員会で会長を務めた小林東海大学客員教授は「会社の中で負担するのは非常に難しいという意見もあったので、システムを変えるのに当たり必要な投資、最初の負担を少しでも減らしてなるべくスムーズにスタートできるようにと、配慮した結果です」と話します。

導入を前に熊本市は宿泊税の徴収業務を担う事業者の負担軽減策として補助制度を設けました。宿泊税徴収に当たり、レジシステムの改修が必要な場合100万円を上限に、事業者へ市が補助するというものです。

熊本ホテルキャッスル宿泊課の中野胡桃さんは「この支援のおかげで実質的な負担が発生せず、必要なシステム投資を行うことができました。制度開始に向けた準備を円滑に進めることができ、大変ありがたく感じております」と話します。

熊本ホテルキャッスルでは、市の補助制度を活用してレジシステムを改修、明細書には宿泊税の欄が新たに加わりました。6月末現在、126施設が市の補助を利用し、レジシステムを改修しています。
税収約5億3600万円の使い道は
一方、熊本市の宿泊税は何に使われるのでしょうか。こちらは北区にある植木温泉の旅館です。温泉施設ではこれまで1人一律150円の入湯税を徴収してきました。7月からはこれに宿泊税の徴収も加わることになったわけですが、事業者側から聞かれたのは負担よりも期待の声でした。

旅館いろはの古田敏浩取締役(植木温泉観光旅館組合代表理事)は「環境整備とか、ぜいたくを言えば道路を石畳にするとか、植木温泉が熊本市唯一の温泉地として発展していくような形に使ってもらえれば、一番ありがたい」と話します。

また、熊本ホテルキャッスル・宿泊課の田上翔舞さんも「熊本の魅力をさらに発信していただければ、いいなと思います。そしてお客様の滞在環境を整えていただき、公共交通機関の発展や観光サービスの発展につながることを、期待しています」と話しました。

熊本市は宿泊税で得る財源を今ある観光資源の魅力や旅行者の満足度向上へ向けた取り組みに活用する予定です。小林東海大学客員教授は「熊本に潜在的にある文化や歴史など宝がたくさんあるが、残念ながらお金が十分になかったために掘り出しができなかったり、丁寧に説明できなかったり、例えばエキスパートのガイドを育てることを通じて、よりよい説明ができることによって、観光全体の基本的なインフラを整えていくことなど、これからの観光振興のためには、宿泊税はなくてはならない存在になると考えている」と話します。

熊本市では2026年度の宿泊税の税収を5億3600万円と見込んでいます。実はその使い道はすでに示されていて、ごく一部を挙げてみると、コンベンション開催への助成制度の拡充など、国内外への情報発信、『手ぶら』で移動できる環境整備、観光案内サインの充実、植木温泉の認知度向上などがある。
(テレビ熊本)

