夏の甲子園を目指す高校野球・熊本大会。球児たちの熱戦が行われています。菊池高校野球部では去年、プロ野球の世界で活躍した経験を持つOBが監督に就任。選手たちとともに母校を盛り上げようと日々奮闘する姿を取材しました。

【菊池高校 野球部 坂口 千仙 監督】
「(打球と)同じスピードで来るから(ボールと)衝突するったい。そこは自分で分からないかん」

菊池高校野球部監督、坂口千仙(さかぐち・ちせん)さん。プロ・アマ通じて50年、野球とともに生きてきました。

菊池高校から九州産業大学に進み、1984年のドラフトで南海ホークスに入団。以降、ダイエー・日本ハム・ヤクルトで内野手として活躍しました。

【坂口 監督】
「(ボールに対して)入っていかな」
「(足を動かして)体重移動したら軽く投げても素直な送球が行く」

生徒数減少や野球離れに危機感を抱いた菊池高校OBからの熱心な誘いに応え、去年、福岡からふるさとに戻りました。

監督に就任後は、身振り手振りを交えながら選手に向き合い、指導する毎日です。

【坂口 監督】
「いいスローイングをするためにはいい捕球から始まらないかん。自分の懐(の深さ)を作るように努力して。強弱つけて、忍者になったつもりで」

午前6時からの朝練を終えた坂口さん。その姿は学校からほど近い場所にありました。菊池市内で養鶏と卵の販売を行うコッコファーム。ここが坂口さんの職場です。

清潔な仕事着に身を包み、卵の成分を使った健康食品の検品を担当します。積み込みと配送も坂口さんの仕事。トラックのハンドルを握り、一路、熊本市内を目指します。

額に汗を浮かべながら、黙々とコンテナから商品を降ろしていきます。得意先への納品が終了するとようやくホッと一息です。

【坂口 監督】
「簡単な仕事ですけど、けっこう腹筋・背筋と一緒で(きつい)」

仕事が終わると、また菊池高校のグラウンドに戻り、野球と向き合います。

この日はあいにく雨交じりの練習。夏の大会が近いというのに、選手たちもどこか集中力を欠いていました。ミーティングで、すかさず坂口さんの厳しい声が飛びます。

【坂口 監督】
「いつも言ってるよね、1年でスタメンで出るんだから『人よりボール拾い、グラウンド整備、しっかりやりなさい』と言うとるよね。俺が見とる時はしっかりしようけど、見てない時はテレッと。俺、陰に隠れてちゃんと見とうよ。そういうことじゃつまらんよ。上手い選手じゃダメなんだ。『良い選手』にならないと」

【原武 瑛太 主将】
「(監督は)厳しいところもあるんですけど、雰囲気良く、自分たちがテンション下がっている時も上がるような声かけをしてくださって、チームの雰囲気は良くなったと思います。怒られた後のフォローとかもしてくださって、そこはやりやすいと思います。ドキドキもするんですけど、練習から楽しんで、夏の大会に向けて頑張っていこうという気持ちです」

野球と向き合うのはグラウンドだけではありません。福岡から菊池高校の門をたたいた2人の選手を預かり、下宿となっている一軒家で生活を共にしています。

【1年 阿部 来音 選手】
「中学の時のクラブチームの監督が(坂口監督率いる)菊池高校を勧めてくれて。それで来ました」

【1年 福浦 桜太 選手】
「街とかは福岡に比べたら田舎な感じだけど、みんな優しくて面白い人がいっぱいいるので楽しいです」

野球部の後援会が準備してくれた夕食を囲みながら、人生論を選手たちに語りかけます。

【坂口 監督】
「野球のプレーだけじゃなくて、普通の私生活でキチッとしておけば、プレーもキチッとなるんです」西(好きな教科は?)「『好きな人』はいますよ」西(苦い顔になったね。彼女できた?)

【1年 福浦 桜太 選手】
「はい」ことし63歳、夏の大会に向けて特別な思いを抱いています。

【坂口 監督】
「縁あって菊池に帰ってきて周りの人にたくさん支えられている、助けられているんですよ。だから、ちょっとでも関わってくれた人たちに恩返し。それともう一つ『菊池高校、素晴らしいね』ってなってくれたらいいなと思っています」

いつか母校を甲子園へと導く日を夢見て。愛する野球人生の締めくくりに、情熱を燃やす声がきょうも菊池のグラウンドにこだまします。

【坂口 監督】
「そうそうそう、OK!」

菊池高校は10日(金)の初戦で済々黌高校と対戦します。

テレビ熊本
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