プレスリリース配信元:文化庁
国立科学博物館(館長:真鍋 真)は、5月30日に第20回日本科学史学会賞において「特別賞」を受賞しました。
本賞は、日本科学史学会の活動や我が国の科学史および技術史の研究の進歩と普及に対して多大の功績があったと認められる個人または団体を顕彰するもので、当館の歴史的資料保存と科学史の研究・普及等への貢献が評価されました。
団体としては2例目、博物館を含む研究機関としては初めての受賞となります。
当館は、1877年の創立以来、自然史のみならず、科学・技術関連の歴史的資料保存および、科学史の研究・普及に関する活動を継続してきました。所蔵資料は科学技術史関連資料(理工学資料)だけでも約3万点に上り、重要文化財に指定されている資料や学術団体認定資料も含む、科学史研究の貴重な基礎資料となっています。当館所属の研究者は資料の収集・保全とともに実証的な科学史研究を展開しており、近年では「技術の系統化」調査や「未来技術遺産」制度によっても広く重要資料の発見・調査に努めています。
また、日本科学史学会と協力した「科学史講座」などの開催や、歴史的資料を用いた科学・技術関連の展示などを通じて、科学史の普及活動にも取り組んでまいりました。
このような実績を評価いただき、このたび受賞の運びとなりました。

贈呈された盾
当館の最近の科学史関連トピックとしては、本年4月に実施した日本館1階南翼展示室の改修があげられます。この展示室では、日本の四季や多様な自然に対する日本人の知的関心が自然科学へとつながることで生み出された、独創性の高い様々な道具や装置を展示しています。約20年ぶりとなる改修によって、日本人の科学と技術に関する活動の軌跡を辿る展示の充実を図りました。
また当館は、2027年に開館150周年を迎えます。記念事業のテーマである「過去とつながる、未来へつなげる」のとおり、これまで蓄積された研究基盤と成果を継承し、今後とも自然史および科学(技術)史研究のさらなる発展に寄与すべく、尽力してまいります。
報道関係の皆様におかれましては、今後とも当館の取り組みに広くご関心をお寄せいただき、ご報道賜りますようお願い申し上げます。
【日本科学史学会について】
「科学史および技術史の研究の進歩と普及をはかる」ことを目的とし、科学史・技術史に関連する研究成果を広く発表し、その研究を発展させるためのさまざまの事業を行っている、およそ80年の歴史を持つ学会。また科学史・技術史のおもしろさを広く伝えるための公開普及講座「科学史学校」などを開催しているほか、日本学術会議の科学史研究連絡委員会とも連携し、国内外の科学史・技術史の研究とその成果の普及に取り組んでいる。
【日本科学史学会賞について】
日本科学史学会では2006年に日本科学史学会賞として以下の各賞を設けている。
学術賞 我が国の科学史および技術史の研究に多大の功績があったと認められる公刊物の顕彰
論文賞 科学史および技術史に関わる優秀な雑誌論文の顕彰
学術奨励賞 研究歴の短い研究者の顕彰
特別賞 日本科学史学会の活動や我が国の科学史および技術史の研究の進歩と普及に対して多大
の功績があったと認められる個人または団体の顕彰
【日本科学史学会による当館の受賞理由】
2023年度に国立科学博物館(以下科博)のコレクションを守り、保管体制を充実させる目的で実施したクラウドファンディングで9億円を超える支援を得たことは、科博に対する大きな期待の表れである。科博は1877年の創立以来、科学技術史及び自然史の中核的研究機関であり主導的な博物館として、調査・研究、標本・資料の収集・保管・活用、展示・学習支援活動を通じ、科学史研究に多大な貢献をしてきた。科博は、科学技術史関連資料(理工学資料)だけでも約3万点を保存しており、その中には1697年に渋川春海により作製された紙張子製天球儀等、重要文化財に指定されている資料や学術団体認定資料も含まれている。これらの貴重な科博所蔵資料を活用することにより多数の科学史研究が行われてきた。また、例えば『長岡半太郎伝』の著者の一人である木村東作ら科博所属の研究者は優れた科学史研究を発表しており、現在も実証的な基盤研究に加え「技術の系統化」調査や「未来技術遺産」制度によって広く重要資料の発見・調査に努めている。
科博は科学史の普及に関しても同会に協力してきた。同会は1975年前後より科博を会場として「科学史入門講座」、「普及講座」を定期的に開催するようになり、前者に関しては、元同会会長の湯浅光朝が担当した資料も保存されている。後者に関しては、1988年以降「科学史学校」として引き継がれ、コロナ禍を経て現在はオンラインで開催されている。2023年度からは科博と同会の共催で「科学史講座」が科博を会場として開催されるようになった。また科博では、科学史関連の企画展・特別展を数多く実施しており、近年では歴史的資料を重視した2018年の『日本を変えた千の技術博』、2025年の『気象業務150周年企画展地球を測る』等が記憶に新しい。これらの企画は、科博の高い認知度と相まって科学史の普及に大きく寄与している。
以上のように、科博は1877年の創立以来、科学・技術関連の歴史的資料保存と科学史の研究・普及等に関する活動を長きに亘って行い、科学史の研究の進歩と普及に大きく貢献された。よって、日本科学史学会特別賞の授与にふさわしいと判断できる。
【関連情報】
日本科学史学会 https://historyofscience.jp/
国立科学博物館産業技術史資料情報センター https://sts.kahaku.go.jp/
国立科学博物館開館150周年記念事業 https://www.kahaku.go.jp/kahaku150/
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