長野市篠ノ井に駄菓子店がオープンしました。誰でも気軽に立ち寄れる「憩いの場」になればと、75歳の女性保育士が長年の経験を生かして開いた店です。
■計算しながらお菓子選び
小学生:
「これ、学校で出るよ」
「135+15?…150!」
手にした商品の値段を足し算しながら、全部でいくらになるのか計算。子どもたちが選んでいたのは「駄菓子」です。
小学生:
「ほとんど2個ずつ買ってる。好きなお菓子だらけだから」
長野市篠ノ井にオープンした駄菓子店「Yummy(ヤミー)」。駄菓子はひとつ10円から70円ぐらいの値段です。
日曜日だったこの日は、近所の家族連れが訪れ、「駄菓子選び」を楽しんでいました。
5年生:
「(買ったのは)『ゼリー』と『いかせん』と。すごく安くていいなと思いました」
「(駄菓子店は)初めてです。見たことないお菓子たくさんあって、楽しかったです」
■75歳現役保育士の挑戦
Yummy・高橋市子さん:
「もう1個おまけしてあげるからゼリー持っておいで、好きなもの」
店を営むのは、長野市の高橋市子さん(75)。元々カフェだった建物を購入し、駄菓子店に改装。6月6日にオープンしたばかりです。
Yummy・高橋市子さん:
「駄菓子は居場所をつくるため。子どもと大人みんな来てもらえるきっかけとして、駄菓子を置けばいいかなと。私は営利目的は一切考えていませんので」
75歳の高橋さんは、現役の保育士でもあります。近くの保育園で週4日、午後4時から7時まで働いています。
■子どもに寄り添い続けた経験
高橋さんは、長年、保育園や児童養護施設で働き、66歳の時に仲間とともに、市内に自立援助ホームを開設。施設長として8年間、家庭の事情などで家にいられなくなった、15歳から22歳の女性の就労支援や生活のサポートに力を尽くしました。
そして2年前に退任。さまざまな背景の子どもたちと関わってきた経験から、必要だと感じたのが、「子どもたちの居場所づくり」でした。
高橋市子さん:
「私も小さい頃、おばあちゃんが遊びに来てくれると、一瞬、息を抜く時があった。ささいなことをちょっと吐き出す場所としても、こういう所で私との関係が少しずつ重ねてくれればいいという思いで居場所を(つくりたかった)」
■あだ名は「いっちゃん」
店の周辺は住宅街。近くに大きな公園はあるものの、駄菓子店や商店などはなく、子どもたちが集まれる場所は多くありません。
小学生:
「引き分け!やった!引き分けだからもう一個もらうね」
店の評判は口コミで広がり、オープン1週間で店の中は子どもたちの楽しげな声が響くようになりました。
高橋市子さん:
「私の名前何?と言うから高橋市子ですって言ったら“いっちゃん”でいいって(笑)。こんなおばあちゃんのこと“いっちゃん”だって」
すでに「あだ名」もつけられ、子どもたちとも仲良くなっています。
6年生:
「おまけしてくれたり優しいし、面白いです。友達とたまり場になれるし、お茶ができて楽しい」
「駄菓子とかがおいしくて、暑い時も遊べるのがうれしい」
■大人も懐かしむ憩いの場
店の真ん中にはテーブルと椅子を置き、宿題をやったりゲームで遊んだりするスペースにしました。子どもにとっては、友達と楽しむ場所に―。
大人は、小さい頃を懐かしむ場になっています。
保護者:
「私も小さい頃は小学校の近くに駄菓子屋あって行ったりしたので、こういう所があると、ゆとりになるというか、大変いいと思う」
「すぐなじめそうな感じのお店で、店のお母さんもとても温かい感じで常連になりそう」
「これだけウェルカムな感じで子どもたちを迎えてくれるので、そこにいるならという安心感は、親として持てるかなと思います」
■店は自身の「生きがい」に
2年前に夫に先立たれた高橋さん。店は「生きがい」につながっています。
高橋市子さん:
「さみしいですよね。1人で夜になり天井見たりすると、話す人もいないし、そんな私の癒やしの場でもあります。かっこいいことは言えない、自分のためです」
お茶を飲むのは無料。保育士の経験を生かし、子育ての悩み相談などにも応じます。運営資金は利用者の善意の寄付に頼っていて、寄付が集まれば、子ども向けのイベントなども企画したいとしています。
大人も子どもも、誰でも気軽に立ち寄れる憩いの場に―。営業は当面、水曜日と土日の週3日。午前10時から午後6時まで、オープンしています。
Yummy・高橋市子さん:
「よその家に行ってお茶を飲むというと気遣いもするだろうから、そういう場所にしていただければ、ここを。気楽に利用してもらって、みんなが喜ぶ顔を見られたらいいかなと思っています」
