公園で見かけるピンクや白、赤などの色とりどりの花。夏にかけて見ごろを迎えるその花の名は「キョウチクトウ」です。

街路樹や公園の植栽として各地に植えられており、歩いていれば簡単に目に入る、私たちにとって非常に身近な存在です。

ところが、この美しい花には、多くの人が知らない「ある秘密」があります。

■「青酸カリより強い毒性がある」

取材に応じた樹木医の上尾正美さんは、「青酸カリって分かります?それより強い毒性がある。非常に猛毒ですね。触りたくもない、見たくもない」と話します。

青酸カリ(シアン化カリウム)は、猛毒の代名詞として広く知られています。キョウチクトウの毒性は、その青酸カリと比較した場合(LD50値mg/kgによる比較)、30倍近くになることもあるといいます。

公園で市民にこの事実を伝えると、驚きの声が相次ぎました。「それは知らない!毒あるの!?やっぱり美しいものには毒があるのよ~」と話す人もいれば、「そんなん僕ら全然わからへんねん。触らんようにな」と顔色を変える人も。

■心臓の筋肉を収縮させる 最悪の場合は命に関わる

キョウチクトウに含まれる毒素の名前は「オレアンドリン」。

樹木医の上尾さんによると、この毒素を口に含んでしまった場合、「心臓の筋肉を収縮させる。心不全・心筋梗塞みたいな、そういう症状になりやすい」といいます。

樹液が皮膚についていなければ、触れること自体は特に問題ないとされていますが、万が一、口に含んでしまった場合には、最悪のケースとして命に関わる危険性があります。

また、花や葉だけでなく、枝を燃やした際に出る煙を吸い込むことも危険だとされています。

■「排ガスにも強い」街路樹として選ばれ続けてきた理由

それほどの危険性があるにもかかわらず、なぜキョウチクトウは街中に植えられ続けているのでしょうか。

その理由をこう説明します。

【樹木医 上尾正美さん】「やっぱり花がきれい。結構強い。どこでも生きていける、非常に生命力は強い」

暑さ、寒さ、乾燥、潮風。これらすべてに強い耐性を持つキョウチクトウ。

さらに上尾さんが特に強調したのが、排気ガスへの強さです。

【樹木医 上尾正美さん】「排ガスにも強い。街路樹で必要なのは、排ガスに強い植物が一番いい」

管理に手がかからないという点も加わり、街路樹の花として長年にわたって各地で選ばれてきた背景があります。

■尼崎市では有毒なのに「市の花」に指定

兵庫県尼崎市では、キョウチクトウが特に多く見られます。

それには街路樹としての優秀さだけではなく、もう一つの理由があります。

尼崎市は、キョウチクトウを「市の花」に指定しているのです。市内のマンホールのデザインにも採用されています。

毒性のある植物がなぜ市の花なのでしょうか。

その疑問に、尼崎市公園計画・21世紀の森担当の冨田聡一郎課長が答えました。

【尼崎市・冨田課長】「キョウチクトウが生き残って、花を咲かせていた。”復興のシンボル”っていうんですかね、勇気づけたみたいなお話があって」

■台風被害ですべてが枯れる中で咲き続けた

1950年ごろ、尼崎市は度重なる台風による甚大な被害を受けました。

台風が引き起こした高潮の影響で、植物が軒並み枯れていく中、花を咲かせ続けたのがキョウチクトウだったといいます。

【尼崎市・冨田課長】「大きな被害を受けた中で心が折れそうな時に、みんなの心を勇気づけるような存在だったのかな」

千葉市や広島市など、キョウチクトウを市のシンボルとして位置づけている自治体は他にも存在します。

猛毒を持つこの植物が、各地で「希望の象徴」として人々の心に根づいてきた側面があるのです。

■「普通にお花をめでて」 ただし正しい知識を持って

危険な花であるとともに希望の花でもあるキョウチクトウ。

【尼崎市・冨田課長】「毒性があるといっても、たくさん食べたりというようなことがなければ、普通にお花をめでていただくような形で楽しんでいただけたらなと思います」

キョウチクトウの花言葉は「危険な愛」。

その名の通り、美しさと毒性という二つの顔を持つこの植物は、街角のあちこちで静かに、そして力強く花を咲かせています。

(関西テレビ「newsランナー」2026年6月24日放送)

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