南海トラフ巨大地震で甚大な被害が予想される宮崎県日向市の清正区。区のほぼ全域が津波で浸水すると想定される中、住民たちが自力で広大な津波避難場所「防災広場」を完成させた。雑木林の土地購入から整備、備蓄倉庫やトイレの設置までを地域主体で実施。定期的な訓練を通じて子供たちの防災意識も高まっており、宮崎県から顕彰を受けるなど、自主防災の先進事例として注目を集めている。
約500人が暮らす宮崎県日向市の細島港に近い清正区は、南海トラフ巨大地震が発生した際、区のほぼ全域が津波で浸水すると想定されている。
清正区には、標高17.8メートル、面積約460坪の避難場所「清正区防災広場」がある。この場所を整備したのは行政ではなく、地元の住民たちだ。整備の中心となった建設業を営む甲斐希貴さんは、早急に避難場所を確保する必要性を感じていたと話す。
(清正区自主防災会 甲斐希貴会長)清正区自主防災会 甲斐希貴会長:
南海トラフ巨大地震がいつくるか分からない状況の中で、早めにそういう場所を提供しないといけないという思いで造ってきました。
広場が完成する前は、付近には市が整備した避難階段しかなかった。周辺が雑木林であったため、避難できる人数に限りがあることが課題となっていた。
そこで甲斐さんは8年前に広場の整備を立案。
甲斐さんと区が土地を購入し、建設会社の従業員や住民が協力して少しずつ作業を継続し、2年前にほぼ完成した。
広場には3基の備蓄倉庫が設置されており、住民から寄付された布団や水、救急箱などが保管されている。長時間にわたる避難も想定した備えだ。
また、断水時を考慮して山から水を引き、下水道が停止しても使用可能な浄化槽付きのトイレも完備した。
子供たちの意識も変えた訓練
清正区ではこの広場を活用した避難訓練を定期的に実施している。
その成果は実際の地震発生時にも発揮された。
2025年1月に日向灘で最大震度5弱の地震が発生し、津波注意報が発表された際、区の子供たちも率先して近隣住民に避難を呼びかけ、誘導を行ったという。
清正区 黒木英子区長:
子どもたちが近所の人たちに「上にあがるよ」と言って声をかけたりして、一緒に避難してくれた。みんなの意識が高まってきたと思う。
こうした住民主体の活動が評価され、清正区は「宮崎県地域づくり顕彰」で優秀賞を受賞した。自ら行動を起こして安全を確保する清正区の姿勢は、多くの地域にとって防災のモデルケースになるだろう。
(テレビ宮崎)
