19日、東京・北区の小学校で発生した火災についてお伝えします。
当時の緊迫した状況が徐々に分かってきました。
ここからは元東京消防庁の警防部長・佐藤康雄さんと解説していきます。
今回、火事があったのは東京・北区の滝野川第三小学校です。
警視庁によりますと児童の数は341人です。
教員は25人ほどで、校舎は4階建てで校舎の4階の音楽室の隣にある準備室から今回、出火したとみられています。
佐藤さんによりますと今回、あっという間に火が広がった原因として「初期消火の難しさ」、そして「最上階の怖さ」の2つを挙げられています。
消防によりますと5年生が音楽室で授業中に隣の準備室から焦げ臭いにおいがした、これで火事に気付いたということです。
榎並大二郎キャスター:
ここまで、短時間で燃え広がった要因はどんなところにあると考えていますか?
元東京消防庁 警防部長・佐藤康雄さん:
いくつかありますけれども、まず1つ目がやはり学校ということで消防用設備等の規制が緩い。どういうことかといいますと、スプリンクラー設備はよくついていますが、学校については普段からあまり不慣れな人が使わない建物ということで、非特定といいますが、そういうことで規制も緩くなっています。ですから、学校では基本的には11階以上でないとスプリンクラーはつけないということになります。ですから、もしスプリンクラーがあれば自動消火していたんですが、それがなかったということです。
それから、20メートルごとに必ず消火器はあるんですが、先生方がお一人に対して生徒さんが多いのでなかなか誘導の方にとられて初期消火に手が回らなかったことが考えられます。
榎並大二郎キャスター:
児童の避難誘導を優先させたが故に初期消火に人手が回らなかったということですか?
元東京消防庁 警防部長・佐藤康雄さん:
それから今回燃えたところの状況を見ますと、かなり発見が遅くなったのではないかということで、音楽室という構造から、周りが音響効果を考えて、木が張ってありそういう可燃性のものがあって、分厚いカーテンがある。そういう縦型に燃え広がるような可燃物がたくさんあったということも考えられます。
榎並大二郎キャスター:
煙も多く出ていた印象ですが、これも何か学校特有の要因はありますか?
元東京消防庁 警防部長・佐藤康雄さん:
学校特有の要因というのもありますが、4階建ての4階部分で燃えているということに大きな特徴があります。煙は熱いので上のほうに上がっていくスピードが速いです。ですから、普通は10階建てくらいの建物の4階だったら、その煙は上のほうへ逃げてくれますが最上階なのでそれが上に逃げ場がない。
そして、まだ窓ガラスが割れるまで燃え広がっていない時は廊下に出てきますが、学校とか病院は廊下を少し広く作ってあります。ですから、そこに煙が一気に流れ込んでたまってしまったということが考えられます。
ですから、ひさしのところに生徒さんが逃げていたというのは、気が付いた時には廊下に出られなかった状況ではないかと推察されます。
榎並大二郎キャスター:
火事といいますともちろん火も怖いですが、やはり煙で命を落とすケースもありますか?
元東京消防庁 警防部長・佐藤康雄さん:
おっしゃるとおりで、火に焼かれるまで人間が待っていることはありませんので、まず煙でやられてしまうということですね。
それで、煙については怖さがありますが、実は昔の煙は本当の木が燃えただけなので、吸ってものどが痛い、鼻が痛い、涙が出るで済みましたが、今はプラスチック製の樹脂が燃えたりしますので一口、二口吸うと卒倒してしまう恐れがあります。
それともう1つ、煙自体が例えばここ4階で燃えて4階の廊下に出ている煙ですので、煙自体に熱を持ってるんですね。
私も現職の時にシミュレーションを作ったんですが、大体煙って上にたまって廊下でも上から下に下りてくるんですが、下から1.8メートルぐらいまで下りてきますと、その煙の放射熱で大体人は倒れる。こういった想定でシミュレーションなんか作っています。ですから、相当熱気があって毒性がある、それが充満していると考えていただくのがいいかと思います。
山崎夕貴キャスター:
今回の小学校に関しては300人以上の児童がいるということで、こういった点からも避難の難しさというのはありますか?
元東京消防庁 警防部長・佐藤康雄さん:
災害弱者、幼いお子さまたちですのでこれを少ない先生方が誘導しなくてはいけない、大変難しいものがあろうかと思います。ただ、今回は命を落とされた方はいなかったということで先生方の避難誘導がとても的確に素晴らしくできたのだろうと思います。
そして、火事発生直後の際に撮影された映像に当時の緊迫した避難の様子が記録されていました。
大きな黒煙が上がる中、校舎の外にいたのは逃げ遅れたとみられる児童たちの姿です。
映像からは、児童らがいる同じ階の教室から火の手が上がっているのが分かります。
消防隊がはしごを使って救助活動を行いますが、その際にすぐそばで燃えた建物の一部が崩落してしまいます。
撮影を始めてからわずか10分ほどで辺りを黒煙が覆い尽くしました。
榎並大二郎キャスター:
こうした窓の外に避難をさせる行動、これは火災の状況がどうなっていたからだと考えられますか?
元東京消防庁 警防部長・佐藤康雄さん:
この映像がまさに今回の火災の特徴をよく表していると思いますが、先ほど4階部分の4階で最上階で燃えたので煙の充満速度が早かったということで、先生素晴らしいと思いますが、機転を利かせてこれだけの児童を廊下を伝って逃げることができないということで、外を見た時にひさしがあったんだと思います。それで、ここに逃げるようにということで、多分、一人一人の安全、転落しないような安全防止をしっかり先生が見ながら移して、先生自身もこのひさしの上にいて転落防止等の安全を確保していたんだと思います。訓練ではこんなことしませんから、先生の機転で素晴らしかったと思います。
普通、このひさしは我々消防では「スパンドレル」というんです。どういうことかといいますと、下の火災が上に延焼しないようにひさしが出ているんですけれども、これはスパンドレルというのでは短く、もっと幅が長くないと炎が防げないので、構造的なひさしだろうと思うんですが、そこでもひさしの上に乗って落ちたら大けがしますが、先生がしっかりと指導して座って落ち着いて待たせたというのは素晴らしい判断だったと思います。
