公園のグルグルと回る遊具で楽しそうに遊ぶ子供たち。
よく見ると、段差がなく車椅子の子供も乗っています。

今こういった、障がいがある子もない子も一緒に遊べる「インクルーシブ遊具」を設置する公園が広がっています。

利用する家族や設置に向けた道のりを取材しました。

公園で楽しそうに遊ぶ子供たち。
一番人気はグルグルと回転する遊具です。

輪の真ん中にいたのは車椅子に乗った男の子。

これは車椅子に乗ったままでも回転を楽しめる遊具。
障害があるなしにかかわらず、誰もが一緒に楽しむことができることから「インクルーシブ遊具」と呼ばれています。

その種類は増えていて、全国で広がりを見せています。

「なかなかこういう機会がないので、すごくうれしい」という話が聞かれた一方、遊具があるだけでは足を運びにくい事情も。

「障害がある子も公園で遊びたい」。
家族の願いと実現へのハードルとは。

取材班が訪れたのは都内に住む清野さんのお宅です。
出迎えてくれたのは小学4年生の友弘君。

成長につれて筋力が落ちていく福山型先天性筋ジストロフィーという難病を患っています。

友弘君の母・緑さん:
拘縮といって(関節が)固くなっていくのが進行していく。股関節と膝がこれ以上伸びない。

自分の力で歩くことができず、車椅子が欠かせない友弘君。
公園で遊ぶのは簡単なことではありません。

友弘君の母・緑さん:
(昔は)抱えてブランコに乗ったり、抱えて滑り台の階段をのぼって一緒に滑ったりしていて、本人は「もう1回、もう1回」って言うんですけど、「ママ疲れたからもう終わりでいい?」「ごめんね」って。

公園を避けることもあったという母・緑さんですが、最近は友弘君が大好きな公園に通っているといいます。

母・緑さん:
公園遊びに行く?グルグルのやつ。栗山公園行く?

友弘君:
ダ。

母・緑さん:
よし行こう!

近所にある公園へ、準備をしていざ出発します。

しかし、車がすぐそばを走ると、音に敏感な友弘君は大きな声を出す場面も。
わずか数分の距離も長い道のりです。

到着したのは東京・小金井市の栗山公園。
2026年2月にリニューアルし、2種類のインクルーシブ遊具が設置されました。

自分で体を支えられなくても乗ることができるブランコ。
周囲の音に敏感な子も楽しむことができます。

友弘君のお気に入りは、ぐるぐる回る回転遊具。
乗り場に段差がなく、車椅子に乗ったまま遊ぶことができます。

友弘君の母・緑さん:
乗ってもいい?

遊具で遊ぶ子供たち:
いいよー!ゆっくり回そう!

この日、公園で初めて会う子供たちが友弘君を気遣う様子が。

遊具で遊ぶ子供たち:
待って!速い速い!!(ゆっくり回して)これをキープしよう!

同世代の子供たちと思いっきり遊ぶ友弘君の表情も楽しそうな様子。

友弘くんの母・緑さん:
普段は特別支援学校で(放課後は)デイサービスに連れて行って、その後、家まで送迎してくれるので、平日の日中に地域の子供たちと触れ合える機会がない。

遊具で遊べるだけでなく、地域の子供たちと触れ合う場にもなっているこの公園。
実現の裏では様々な工夫がなされてきました。

公園を管理する小金井市は、車椅子でも周囲を気にせず通れるように園路を拡張。
その他にも、車がないと移動が難しい人のために駐車場を新設するなど、アクセスしやすい環境作りを行いました。

しかし、一番の課題は…。

小金井市環境政策課・小林勢さん:
色んなインクルーシブ公園ができても、なかなか障がいのあるお子さんが遊んでいない状況を見ていた。

障害のある子を持つ保護者にとって、公園を利用するハードルとなっているのは「周囲の理解」だといいます。

友弘くんの母・緑さん:
息子はちょっと叫びがちですし、どうしても、どこかで世間の目を(親が)1人で受けなきゃいけないところが。心配して見てくれている人もいると思うんですけど、不安というか、しんどいので。親が連れて行きたいと思えないと行けない所が多い。

市がアンケート調査を行ったところ、「インクルーシブ」という言葉を知っていると答えた市民は、わずか16%にとどまっていたといいます。

そこで、障害への理解を深めるために市内の小学校で出張授業を実施。
障害がある人とない人が一緒に楽しめるイベントやワークショップなどを定期的に開催してきました。

小金井市環境政策課・小林勢さん:
障がいのある方の理解を広めたり、地域が支え合うような街作りにつながればいいなと。

この日、公園には知的障害の子供たちのグループも遊びに来ていました。

軽度知的障がいの子を持つ母は「子供にとっては公園が社会なので、そこに入って行けているのは本人にとってもすごく貴重な経験だろうなと」と話します。

障害がない子供を持つ親も「一緒に遊べていいと思います。自然と輪になっている感じ」と話していました。

公園がリニューアルして約4カ月、友弘君のお母さんは「(一緒に遊ぶことで)子供たち同士、分かり合えてきている気がして、本当に地道になんですけど、小さな経験を積み重ねて、一緒に大人になっていけたらいいなと感じます」と話しました。

母・緑さん:
どうだった?一緒にぐるぐる遊べて楽しかった?

友弘君:
ダ。

母・緑さん:
楽しかったみたいです。ね!