約130年前のレシピで作られたようかんなどの試食会が熊本市で開かれました。ことしは文豪・夏目漱石が熊本にやってきて、130周年となります。甘い物好きだった漱石は、そのレシピのようかんを食べたかもしれません。

(5/28熊本市中央区)
熊本県菓子工業組合の『肥後菓子道場』です。組合員の技術向上を目的に、3カ月に1度、テーマを決めて、菓子を持ち寄り、試食して意見を交わします。今回のテーマは『ようかん』。各店自慢の品が並びます。

【菓子工房かずさ屋 中西弘一さん】
「これから夏ということで、涼しいイメージを(表現しました)。黒糖ようかんには黒糖の歯ごたえが欲しいなと思って、黒糖をつぶして、細かくしてから錦玉(きんぎょく)の中に入れてみました」

こちらの2種類のようかんは、約130年前のレシピで再現されたものです。

(明治二十七年 菓子覚帳 一月六日)

1894年・明治27年の『菓子覚帳(かし・おぼえちょう)』。当時の熊本の菓子職人が記したとみられ、19ページの中にさまざまな菓子のレシピが記されています。

【参加者】
「黒糖(ようかん)は〈結構、味が濃いな〉という印象がありました。黒糖の味が強くて、昔ながらの味かなと思います」
「独特な感じです」

【菓匠たてやま 立山 学さん】
「その時は、これは甘くて、おいしかったんです。それから130年たって、いかに今のお菓子が進んできているかが、よく分かる」

130年前といえば、第五高等学校の英語教師として夏目漱石が熊本にやって来た頃。1897年・明治30年の暮れ、漱石は小天(おあま)温泉へ旅をして、前田家別邸におよそ1週間、滞在。後に、この時の出来事を基に小説『草枕』として発表し、代表作となりました。

玉名市天水町にある草枕記念館では、その旅の様子などが詳しく紹介されています。小説『草枕』には、こんな記述があります。

【朗読/『草枕』の一節】
「余はすべての菓子のうちでもっとも羊羹が好(すき)だ。(中略)あの肌合(はだあい)が滑らかに、緻密に、しかも半透明に光線を受ける具合は、どう見ても一個の美術品だ」

舌で味わうのはもちろんのこと、目でも味わう。甘い物好きで、和菓子の楽しみ方を知る漱石。滞在した前田家別邸でようかんを食べたといいます。

これらのようかんは、6月16日の『和菓子の日』に合わせて、熊本市の鶴屋百貨店で6月10日(水)から始まる『熊本お菓子まつり』で販売されます。

【熊本菓子工業組合 北川 和喜 理事長】
「なかなか、今にこれ(昔の味)が通じるかなというところもあるんですが、130年の間にようかんが変化していったプロセス(過程)をお客さんに体験してもらうのもいいかなとも考えています」

この日は来熊130周年記念事業を進める『漱石文化みらい会議くまもと』実行委員会から商品のパッケージなどに貼るステッカーが県菓子工業組合に贈られました。

漱石と猫を組み合わせたかわいい絵は、熊本デザイン専門学校の学生によるものです。

【熊本デザイン専門学校 内藤 謙一 校長】
「〈夏目漱石の業績を顕彰しよう〉ということで、本校もいろいろ協力することになりました。ぜひ、みなさん盛り上げて、ご購入をお願いします」

【『漱石文化みらい会議くまもと』実行委員会 吉村 隆之 委員長】
「たくさんの人が手に取って、〈これは漱石さんが食べたのかな〉といった機会をつくってもらって、漱石さんの作品を読んでみるのも優雅な感じがします」

130年前のレシピでつくられたようかん。文豪になった気分で味わってみてはいかがでしょうか。

テレビ熊本
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