奈良県にある「飛鳥・藤原の宮都」が世界文化遺産に登録される見通しとなり、地元では喜びの声が広がっています。
専門家はその魅力について、周囲にビルなどの建築物がなく、1300年変わらない景観が残っていることだと指摘。
その背景を取材すると、この長い歴史を守るために陵墓を保護し、時には調査・整備に当たる役人の飲食費など、村の財政を圧迫するほどの負担があっても尽力した地元村民たちの努力が見えてきました。
■世界文化遺産に「登録すべき」も… 遊びに来た子供「バッタ捕りに来ました」
6月6日、ユネスコの諮問機関「イコモス」は、飛鳥時代の古墳や宮殿の跡などが残る奈良県の「飛鳥・藤原の宮都」を世界文化遺産に「登録すべき」と勧告しました。
しかし土曜日の段階では、一気に客足が増えるという状況ではなく…
【遊びに来た子供】「バッタ捕りに来ました。でかいのを捕まえた!」
(Q.世界遺産に登録されるのは知らずに?)
【子供の親】「知らずっすね。本当にそうなんですか?」
まだ観光客は少なく、関西でもその魅力はあまり知られていません。
■「石舞台古墳」「高松塚古墳壁画」…「飛鳥・藤原の宮都」の魅力は
一体、何がすごいのか、宮内庁職員として30年以上、古墳の発掘などに携わってきた関西大学の徳田誠志客員教授に案内してもらいました。
【関西大学 徳田誠志客員教授】「これは正方形の方墳という古墳。石舞台っていう名前はあの上で狐が踊っていたという話があって、石舞台古墳という名前がついたといわれている」
飛鳥時代の豪族・蘇我馬子の墓といわれている「石舞台古墳」に、「大化の改新」の舞台となった飛鳥宮跡。
さらに、およそ50年前、「世紀の大発見」と話題になった壁画、「飛鳥美人」が見つかった高松塚古墳など、歴史的価値の高い遺跡が盛りだくさん。
しかし、徳田客員教授は「飛鳥・藤原の宮都」の真の魅力は遺跡の価値だけではなく、変わらない風景こそが他にはない魅力だと話します。
【関西大学 徳田誠志客員教授】「平城京(があった場所)はビルばっかりじゃないですか。ああいうのではなくて、ここは万葉集に歌を残したような千数百年前の景色が残っているのがいい所だと思いますね」
■古墳守った江戸時代の農民の墓に「陵狂」狂ったようにも見える情熱
1300年の時を経て、これらの風景を残せたのはなぜなのか。それは地元民の努力です。
寺に残されていた、江戸時代に陵墓の保護に当たった農民の墓石には、「陵狂(りょうきょう)」の文字。狂ったようにも見える陵墓への情熱から周囲から、そう呼ばれていたのです。
【常谷寺・元住職 細川文明さん】「徳川幕府が支配していた頃に、御恩があるからと特別に天皇のお墓を綺麗にするとか、天皇陵を守るような、そういう仕事もされた」
その精神は現在にも受け継がれ、今も村民がボランティアなどで遺跡をとりまく自然を保護しています。
【明日香村在住 上田さん(66)】「自然景観を残すのは、そんな簡単なことではないんですけど、やはりこれだけ明日香村民がプライドを持って残している」
■遺跡保護は村の財政を圧迫…それは現在も…
一方で、遺跡保護を巡って村の財政を圧迫していたという歴史もあります
【奈良文化財研究所 竹内祥一朗研究員】「天皇陵の調査とか整備にいろいろ役人の人が調査に来るんですけど、そういったときの飲食費とかそういうものを村で賄っていた。それを書きつけた帳簿です」
こうした状況は現在も変わらず、国が明日香村全域を、歴史的風土特別保存地区などに指定したことで、工場などを建てることができず、税収は厳しい状況にあります。
村民の努力によって守られてきた飛鳥の遺跡と景色。
それだけに、土曜日の朝に届いた待ちに待った知らせに、地元は歓喜に湧いています。
【和菓子店】「正直、手を叩いて喜びました!朝からその話で持ち切りです」
【土産物店】「めちゃめちゃ嬉しいです!グッズいっぱい作りましたよ!前もってこのタイミングに合わせて。これを機会に明日香のことを色々知ってもらえるというのは大変嬉しいですね」
(関西テレビ「newsランナー」2026年6月8日放送)