先月、ポテトチップスのパッケージが白黒になるという衝撃のニュースがありました。
さらに今月2日には不二家もカントリーマアムなどのパッケージを一部白黒にすると発表。
原因は、石油化学製品の原料「ナフサ」の供給不安。中東情勢の悪化が引き金となった、いわゆる「ナフサショック」です。
高市総理は「ナフサは足りている」と話していますが、現場の状況はどうなっているのか。
関西テレビの秦令欧奈アナウンサーが大阪・天神橋筋商店街で、実情を探りました。
■ 街の人の実感は? 「まだ大丈夫」でも動き始めた備え
早速商店街を歩いていた方に話を聞いてみると、返ってきたのは「あんまり実感がない」「スーパー行っても制限されてるわけでもないし、特にない」という声。
日常生活への影響はまだ限定的なようです。
ところが、飲食店を営む女性からはこんな声が。
【店を経営する女性】「ゴミ袋がなくなると捨てられへんから、ドンキに買いに行きました」
30枚入りを15個も”先回り買い”。まだ影響は感じていませんが、これからを見越して動いたのだそうです。
■プリンのカップが来ない! 売上損失は3万円
中には、すでに深刻な状況に陥っているお店も…。
【スイーツ店のスタッフ】「一番困ってるのはプリンのカップが入らない。作れないし売れないし、もうこれでカップがないから終わり」
こちらのスイーツ店では、カップが入荷されるのは金曜日のみに。
取材日は火曜日だったため、今ある在庫が売れてしまえば金曜日までプリンは出せません。その売上損失は約3万円にのぼるといいます。
そんな貴重なプリンを、なんとご厚意でいただけることに…!
【秦令欧奈アナウンサー】「めちゃくちゃ滑らか。口の中でとろけるように濃厚に溶けていって、最後にふわっとピスタチオの香りする。人気の理由がすごく分かります」
【スイーツ店のスタッフ】「カップなんとかしてください!」
どれだけ美味しいプリンでも、カップがなければ売れません…。
■テープは2〜3割高に トランプはまさかの倍額!
続いて訪れた文房具店では、さらに驚きの事実が飛び出しました。
【文房具店・築部健二社長】「発注したものが届かない。発注しても受注停止というのが結構あります。布テープとかクラフトテープとか。2~3割ぐらい(値段)上がってます」
594円のテープが3割上がれば約780円。そしてトランプに至っては…。
【文房具店・築部健二社長】「トランプは値段が倍になりました」
【秦令欧奈アナウンサー】「倍ですか? 倍?!」
880円のトランプが約1600円になる見込みだといいます。
【文房具店・築部健二社長】「対処のしようがないですね。高く入ってきたものをお客さんには申し訳ないけど、上がった値段で販売することになってしまいます」
■接着剤がなくなったら「死活問題」 靴修理店の苦悩
靴やカバンの修理店でも、ナフサの影響がじわりと広がっていました。
【靴修理店 中野敬介マネージャー】「一番影響受けてるのはボンドだったりシンナー。靴に使う接着剤の関連が仕入れられなくなってきているので、それが一番ダメージが大きい」
【秦令欧奈アナウンサー】「修理店ではボンドって絶対使うものなんですか」
【靴修理店 中野敬介マネージャー】「絶対使います。なのでそれがなくなったら死活問題。何もできなくなっちゃうので」
ナフサ不足で接着剤が入手困難になり、月あたりの損失見込みはなんと約150万円!
それでも値上げは抑えるといい、「ちょっとずつ節約しながら使っていく」と中野マネージャーは語りました。
■おにぎり食べ放題の人気店は「ゴム手袋」でピンチ!
次に秦アナが目をつけたのは「日本酒ポニーテール」というユニークな名前の飲食店。
昼はおにぎり食べ放題、夜は肝料理と日本酒の立ち飲みを楽しめます。
多い日には1日200個ものおにぎりを握るこのお店。「握るのは3回まで」というこだわりが詰まったおにぎりに、秦アナも思わず「ふわふわ!美味しい!」と感動です。
しかし、ここにもナフサショックの影が。
【店長・山本桃花さん】「おにぎりで手袋を使うんですけど、『ゴム手袋の在庫がない』って業者さんに言われる」
1日100枚以上は手袋を使うということで、代替品の手袋は100枚あたり400円ほど値段が上がるうえ、破れやすく水も入りやすいためストレスも溜まります。
さらに、破れやすいので消費量は約2倍に…負の連鎖です。
■100年名店「うなぎ じん田」繁忙期に資材高騰!
最後に訪れたのは、100年以上続くうなぎの名店「じん田」。百貨店にも蒲焼きを納品する職人のお店ですが、ここにも影響が出ていました。
【店主・甚田國晴さん】「7月に向けて土用の丑があるので、繁忙期に向けて焼いたウナギを真空してお客さんに渡すんですけど、真空する袋がかなり値段が上がってきている」
真空袋は1ケース(約1万枚)で2000円の値上がり。
父の日からお中元、土用の丑と注文が殺到する繁忙期の7月で比較すると、資材費は去年の月約120万円でしたが、ことしは約135万円と、15万円も高騰する可能性があるのだそうです。
【店主・甚田國晴さん】「ご注文いただいた分に関しては、是が非でも我々は供給しないといけない。色んな業者当たるなり日本全国探してでも代替品となる私財を集めてお客さんに届くようにしたい」
資材不足で、供給することすら困難な日が来るかもしれません。
■「ナフサショック」は身近に迫っている
プリンのカップ、テープ、接着剤、ゴム手袋、うなぎの真空袋。
「ナフサ」という一つの原料が止まるだけで、街のあちこちに連鎖的な影響が広がっていることが今回の取材で浮き彫りになりました。
まだ「実感がない」という声もありますが、お店の裏側ではすでに価格上昇や品不足との闘いが始まっています。
(関西テレビ「newsランナー」2026年6月5日放送)