福島市の住宅街に現れ、男女4人を次々と襲って工場内に居座ったクマ。
約40時間がたった3日深夜、自力で工場の窓を開けて逃げ出しました。
居座り先の工場を取材すると、逃げ出す際にクマが突き破った網戸がそのまま残されていました。
OKIシンフォテック・丹治典久執行役員:
鍵を開けて窓を開けて網戸をぶち破って外に出たらしい。あちこちにクマが触ったような油がついたところはありました。
クマは窓の鍵を自力で開け、窓ガラスをスライドさせて逃走したといいます。
現場の写真を見ると鍵の近くには爪の痕とみられる傷がありました。
居座る中で建物を出たり入ったりを繰り返していたクマは、別の窓ガラスを破壊していました。
OKIシンフォテック・丹治典久執行役員:
あちら側から走ってきて(窓ガラスを)突き破ってここから出たようですね、いったん。
居座り中には、さらに驚きの行動が目撃されていました。
クマが前脚を蛇口に当て水を飲んでいたというのです。
水を飲もうと爪で蛇口をひねったのでしょうか。
一方で、工場内に仕掛けられていた箱わなには目もくれなかったようです。
クマは3日午後10時50分ごろ、居座っていた溶接フロアの窓から脱出。
そのまま敷地内を移動し、西門を乗り越えて工場から立ち去ったといいます。
まさかの居座りで工場は4日間の操業停止を余儀なくされました。
OKIシンフォテック・丹治典久執行役員:
そこまで山に隣接していない工場でもクマの被害が出るのはすごく恐ろしい。クマに対する考え方もいろいろ変えなくてはいけないと思った。
姿をくらましたクマはどこに潜んでいるのでしょうか。
立てこもっていたクマが3日に逃げたあと、約2km離れた水田では5日朝にクマが目撃されるなど、周辺では新たなクマの目撃が相次いでいます。
クマへの警戒感が再び高まる中、クマが居座った工場から約300メートルの場所にある小学校では通常授業が4日ぶりに再開され、保護者が車で児童を送り届ける姿が見られました。
保護者からは「子どもたちの命を最優先で守っていけたらいい。動物のクマさんという感じで子どもたちは危機感をあまり持っていないのは事実」という声が聞かれました。
自ら窓を開け、蛇口で水まで飲んだという驚きのクマ。
そうした知能の高いクマは各地で目撃されています。
秋田・湯沢市で2025年10月、消防本部に現れたクマが自動ドアを開けて建物に入り込むと、出る時もドアが開くのをしっかり待ってから外に飛び出していきました。
さらには、餌にありつこうと人間の想像を超える行動をとる場合もあります。
岩手・紫波町では、1頭のクマがリンゴの保管倉庫の前に現れ、目の前に張り巡らされた電気柵の下の土を前脚を使って掘り始め、そのまま、電気が流れるワイヤに触れないよう土を掘って隙間を作ると、クマは電気柵の奥へと侵入していきました。
専門家は今回の福島市に現れた居座りクマは非常に賢い個体だと指摘します。
果たして、本当にクマが蛇口から水を飲むことは可能なのでしょうか。
岩手大学農学部・山内貴義准教授:
やっぱり非常に適応力があるというか器用。食べることに関する執着は非常に強いので、喉が渇いたら、水は匂いですぐ分かると思うので、たたいたりとか色々しているうちにおそらく蛇口が回り偶然水が出た。
では、鍵のかかった窓についてはどう開けたのでしょうか。
岩手大学農学部・山内貴義准教授:
早くここから出たいと色々(触り)、たまたま鍵のところに手がかかり開いたのではないかと思う。手先が器用なのはツキノワグマの特徴の一つ。
居座りクマが逃走し、緊張が続く福島市。
3日ぶりに外出したという近隣住民は「一切外には出なかった。出てはダメと家族から言われた。やっと郵便局に来た。危険、あまりにも大きかった」と話します。
他の近隣住民からも「不安。いつもここを(犬の)散歩するので、2、3日できなかったから困った。どこに(クマが)行ったかわからない。それも心配」「本当にいつまた(クマが)出るかわからない。これからが心配」などの声が聞かれ、周辺の地域は不安に包まれています。