週末にも西日本を中心に大雨が予想されていますが、線状降水帯の予測精度を上げるため、気象庁は新たな取り組みを始めました。
ここからは災害対策チームの粕尾祐介記者に聞いていきます。
ポイントは「『線状降水帯』予測精度は」「的中率向上へ“水蒸気にレーザー”」です。
山崎夕貴キャスター:
まずは1つ目のポイント。
気象庁が新たに始めた線状降水帯の直前予測ですが、初回の予測精度はどうだったんでしょうか。
災害対策チーム・粕尾祐介記者:
今回新たに分かったのは、導入されたばかりの線状降水帯の直前予測の的中率に課題が残りました。直前予測は発表された地域に2時間、または3時間後に線状降水帯が発生する見込みを知らせる情報です。台風6号に伴う今回の大雨では全国7カ所で直前予測の情報が発表されましたが、3時間以内に線状降水帯が発生したのは3カ所で、的中率は43%と気象庁が想定していた50%には今回届きませんでした。
従来から気象庁が発表している半日前予測の2025年の的中率については14%にとどまっています。
気象庁の担当者は、予測が外れたとしても大雨が予想されることに変わりはないため、予測が出たら大雨に備える防災行動をとってもらいたいとしています。
山崎夕貴キャスター:
新しい情報として前進ではある一方で課題が残っているということですね。
では、2つ目のポイントです。
その精度を向上させるために気象庁は新たな取り組みも始めるということですね。
災害対策チーム・粕尾祐介記者:
線状降水帯の発生源となる海上の観測に2026年の夏から本腰を入れます。実は予測が難しい背景には、海上は陸上に比べて観測手段が少ないという観測上の限界がありました。そこで気象研究所は、観測船「啓風丸」にレーザー装置を載せ、2026年の7月から海上の水蒸気の量と高度を精密に観測する初の試みに乗り出します。
方法として、レーザー光を1秒間に1万回以上上空に照射します。レーザー光は上空にあるちりなどに反射して戻ってきますが、照射した上空の水蒸気量が多ければ光が水蒸気に吸収されるため戻ってくる量が少なくなります。反射して戻ってくる光がどのくらい弱くなったのかや、戻ってくる時間などを観測して水蒸気の量を調べるとしています。
山崎夕貴キャスター:
予測精度向上が期待されますが、実用化まではどれくらいかかるんでしょうか?
災害対策チーム・粕尾祐介記者:
今後3年かけて試験観測を行い、将来的な実用化と的中の底上げを目指す方針です。また、海での観測網を増やすための取り組みとして、水蒸気量を観測する「ウェーブグライダー」という観測装置の設置も始まりました。気象庁はこうした取り組みで、線状降水帯の予測精度を向上させていきたいとしています。
山崎夕貴キャスター:
予測精度の向上にはもう少し時間がかかるということですね。現状の精度の限界も理解した上で情報が出たら、まずは命を守る行動をとることが大切です。