2022年に北広島市の生活困窮者向け共同住宅に火をつけて男女2人を殺害した罪に問われた男性の裁判で、一審の無罪判決を支持し、検察側の控訴を棄却した札幌高裁の判決を受けて札幌高検は上告を断念し、男性の無罪が確定しました。
住所不定・無職の男性(70)は2022年9月、北広島市の生活困窮者向け共同住宅に火をつけ、男性(71)と女性(51)の計2人を殺害した現住建造物等放火と殺人の罪に問われていました。
裁判の争点は「刑事責任能力の有無」でした。
2025年9月から始まった1審で検察側は「男性のせん妄(一時的な意識障害)の影響は限定的で、意思決定の自由は残っていた」と主張し「社会として許容できるものではなく非難に値する」として有期刑の上限となる懲役30年を求刑しました。
一方の弁護側は「幻覚や妄想などの圧倒的な影響でしてはいけないことがわからず、行動を止められなかった」として無罪を主張。
札幌地裁は「責任能力が失われていたとの合理的な疑いが残る」として男性に無罪判決を言い渡しました。
この判決を不服として検察側が控訴。
札幌高裁で4月21日に開かれた控訴審判決で中桐圭一裁判長は当時の男性の精神状態を「妄想の影響で合理的な思考が困難であり犯行を制御抑制できない状態だった」と指摘。
そのうえで、「心神喪失の状態にあったとの合理的疑いを否定できない」として、1審の無罪判決を支持し、控訴を棄却しました。
この判決を受けて札幌高検は5月7日「適切な上告理由が見当たらない」として上告を断念したことを発表し、男性の無罪が確定しました。