えん罪被害者を救う唯一の道となりえる、裁判のやり直し、“再審”。これを規定した「再審法」の見直し法案が7月までの現在の国会に提出されるかどうかが注目されている。
自民党の一部の議員が、再審開始までが長期化する原因となっている検察による不服申し立てを禁止するよう求めているものの、法務省側はこれに応じていない。
法務省は7日、検察の不服申し立てを「十分な理由がある場合を除き、原則禁止」とする案を自民党側に提示した。
しかし法務省が示した案は、法令の本体である「本則」ではなく、付随する「付則」に入るものだった。
自民党の一部議員は「原則禁止」でも、「本則に入れば了承しよう」という形でまとまっていたとみられますが、それも法務省が応じなかった形で、結論は出なかった。
関西テレビは、これまで先陣を切って法務省に意見してきた稲田朋美元防衛大臣を単独取材。「検察が過ち認められられないところに問題がある」と指摘した。
■逮捕から半世紀…死後に開始決定…長時間かかる再審=裁判のやり直し
判で有罪となった人が求める「再審」=裁判のやり直し。
逮捕から半世紀以上を経て、再審で無罪が確定した袴田巌さんなど多くの人を救済した。
関西でも、42年前、滋賀県日野町で起きた強盗殺人事件で無期懲役が確定し、無実を訴えながら病死した阪原弘さんついて、ことし2月、最高裁が最新の開始決定を出した。
弘さんの長男・阪原弘次さん:とうちゃん、長い間かかってすまんな。38年もかかってしまった。
現在の再審を定めた法律・再審法では、一度地方裁判所などが再審の開始を決定しても、検察が高等裁判所・最高裁判所へと不服を申し立てることで、えん罪被害者の救済に時間がかかってしまう。

■「不服申し立て禁止」求めた稲田元防衛大臣「検察が過ち認められられないところに問題」
これについて、一部の自民党議員は再審法の改正に当たって、不服申し立てを全面禁止にすべきと主張していた。
これに対し法務省は、不服申し立てを維持する姿勢を示したため、自民党議員が猛反発。
法務省が修正案を示す、7日の会議を前に、これまで先陣を切って法務省に意見してきた稲田朋美元防衛大臣を単独取材した。
稲田朋美元防衛大臣:開始決定に対して、検察官が機械的に、それから何回も抗告をすることによって(再審開始が)延びている。
検察官がやったことは公益の代表者として許しがたい、そして刑事司法の信頼を損なってるんだというところまで言われても、なかなかその過ちを認められられないところに問題があるかなと思います。
また、もうひとつ議論となっていた証拠の開示については…
稲田朋美元防衛大臣:検察官が持っている証拠を、ちゃんとリストとして開示してもらえれば、何が関連してるかがわかるんですけど。裁判所の裁量でも出せって言えるっていうことは、私は重要だと思ってます。

■国会前では父親の再審開始が決定した阪原弘次さんも声をあげた
日野町事件では、遺族が行った再審請求で、捜査機関による証拠の捏造ともいえる事態が判明し、それが、新たな証拠となり再審の道を開いたのだ。
7日、国会前では父親の再審開始が決定した阪原弘次さんも声を上げた。
阪原弘次さん:父のような、人間を二度と生むことなく進めていくには、検察官の抗告(禁止)、それから証拠開示。これは絶対に必要です。

■法務省が示した案「不服申し立て原則禁止も」盛り込むのは「付則」
7日、示された修正案は、検察の不服申し立てについて「決定を取り消すべき十分な理由があると認める場合でなければしてはならない」と「付則」に盛り込むものだった。
しかし、自民党議員側は法律の核となる「本則」に明記することを最低条件としている。
ある自民党議員は、「抗告禁止を『付則』に盛り込む修正案ならきょうで終わらせられない」と述べた。

■取材記者「法案として提出されるのかどうか、見通しは立たない状況」
再審法を巡る動きについて取材を続けている、関西テレビ・司法キャップの水本翔記者が解説します。
水本記者:
今回法務省が提示した案で、不服申し立ての「原則禁止」が盛り込まれる「付則」というのは、あくまで手続き規定などを定めるもので、稲田議員らは法令の本体的部分=「本則」で定めるように求めていました。しかし、法務省・検察サイドはこれを頑なに拒んでいるということになります。
(Q.この法案がこの国会で提出される可能性はある?)
自民党で法務省案に反対の声を上げていた議員は当初、“広い範囲の証拠の開示”と不服申し立ての「全面禁止」を求めていました。
しかし直近では、不服申し立てに絞って争い、「原則禁止」でも、「本則に入れば了承しよう」という形でまとまっていたようですが、それすら法務省に蹴られていて、今日はこの会議で結論は出なかったということです。
この後、今国会に法案として提出されるのかどうか、見通しは立たない状況となっています。

