JR北海道の「快速エアポート」の混雑は解消するのだろうか?
新千歳空港へのアクセスを増強する案が浮上している。
国が検討を始めたが、課題はその財源だ。

新千歳空港アクセス「快速エアポート」混雑解消なるか
「『快速エアポート』が到着し、スーツケースなど荷物を持った人で改札口はとても混雑しています」(木村洋太記者)
大型連休のUターンラッシュ。
空港を利用する人でごった返すJR新千歳空港駅。

「座れなくて、ずっと立っていた」
「いつも以上にぎゅうぎゅうで、隙間ないぐらい混んでいた」(いずれも快速エアポートの利用客)

中には、ぐったりとした子どもの姿も。
「酔っちゃうんだよね、座っていないと」(快速エアポートの利用客)

北の空の玄関口、新千歳空港を利用した旅客数は、2025年度には2600万人を超え過去最多となった。
その約半数が空港へのアクセスに列車を使っているという。
「快速エアポート」の利用者は1日当たり約6万5000人で、混雑が日常化している。

南千歳-新千歳空港間が単線…増便阻む壁
「南千歳駅ー新千歳空港駅間が単線なので、輸送力が日中に1時間6本で限界です」(JR北海道 綿貫泰之社長)
「快速エアポート」が運行する札幌駅と南千歳駅の間は、上りと下りの線路が別々になっている複線区間で、列車がすれ違うことができる。

しかし、その先の南千歳駅と新千歳空港駅の間は線路が1本しかない単線区間だ。

列車がすれ違うことができないので、交互に行きかうしかない。
そのため「快速エアポート」は1時間に最大6本しか運行できないのだ。
この状況を、鉄道インフラに詳しい専門家は。

「構想していた新千歳空港駅のキャパを大幅に超えるようになり、計画変更をしないまま使っているのが原因でパンクしている」(北海道教育大学 武田 泉 准教授)
札幌市と新千歳空港を結ぶ大動脈の鉄道は、輸送力と速さが求められてきた。
1980年代後半に浮上した「リニア構想」
かつては、こんな構想も。

「新千歳空港と札幌市の間45kmをリニアで結ぼうというもので、所要時間はわずか8分となります」(1988年のニュース映像)
1980年代後半に浮上したのが、札幌市と新千歳空港をリニアモーターカーで結ぶという案だ。
北海道へのリニア導入に向け盛り上げようと、札幌駅前にはミニリニアが登場。

機運は高まったが、建設費などのハードルが高く実現には至らなかった。
アクセス増強へ浮上した2案
そして、現在。
「千歳線はキャパオーバーしている。これをどう解消するかが大きな課題」(綿貫JR北海道社長)
国は新千歳空港へのJRのアクセス増強に向け、調査費を計上し検討を始めた。

主な案は2つ。
1つ目は「複線化」。

現在、線路が1本しかない南千歳駅ー新千歳空港駅間に線路を増設し複線化する案だ。
これにより列車がすれ違えるようになり、増発が可能になるというものだ。
2つ目は「ループ化」。

現在、行き止まりとなっている新千歳空港駅から線路を伸ばし、千歳線の札幌駅方面への線路に接続する案だ。
新千歳空港駅に入ってきた列車は一方通行で通り抜けることになるので、待ち合わせの必要がなくなり本数を増やすことができる。
課題は事業費と財源確保
空港の関係者や利用客は。

「便数が増えれば来る客も増えると思う。地元の客の利便性を考えても使いやすいと思う」(北海道空港 伊藤博隆さん)
「座れるのであれば、30分だけでも座れた方がいい」(快速エアポートの利用客)
日常的に続く混雑の打開策となるのか。
課題は数百億円規模に上るとみられる事業費だ。

「誰がやるかという事業主体と、どういう財源でやるかが大事。国(北海道開発局)が責任を持って鉄道を支援するような仕組みを作り、予算面でも事業費を出すような方向にしない限りうまくいかない」(武田准教授)
最先端半導体メーカー「ラピダス」の進出もあり、JRの利用者はますます増えると見込まれている。
空港へのアクセスは改善されるのだろうか。
国が検討を進めている主な案は、この2つだ。

<複線化>
・南千歳‐新千歳空港間に線路を1本増設
・列車がすれ違えるように
<ループ化>
・新千歳空港から線路を延伸し、千歳線の札幌方面に接続してループ化
・一方通行で通り抜けることになるので、列車の待ち合わせの必要なくなる
これらの改善策が実現すれば、快速エアポートの増発が可能となる。
鈴木知事も2026年3月に国交大臣を訪ね、国の財政支援などを求めた。今後の動向が注目される。