食の分野の最先端技術『フードテック』。新潟を、世界と戦えるフードテック企業の集積地としようとする取り組みが本格的に稼働した。その旗振り役の一つで食品大手『オイシックス・ラ・大地』の高島宏平社長は「県民の参加がこの事業のカギを握る」と話す。新潟を拠点に何が起ころうとしているのか、取材した。
新潟が“フードテック”の拠点に「日本でも一番向いている場所」
4月16日に発足した『新潟フードテックタウン実行委員会』。
新潟を食の最先端技術が集まる“フードテックタウン”にすることを目指し、産・学・官、そして金融機関で構成される実行委員会だ。

共同委員長を務めるオイシックス・ラ・大地の高島宏平社長は、設立総会で「私たちのこの取り組みは新潟のスタートアップを応援しようという取り組みではありません。フード領域でのスタートアップが成功するには、新潟に来てもらったほうが成功確率が上がる、そういう環境を新潟につくっていこうという取り組みであります」と呼びかけた。
なぜ、“新潟”だったのか…
プロ野球ファームリーグ・オイシックス新潟アルビレックスBCの会長でもある高島社長は「野球をやらせていただいている。しょっちゅう新潟にお邪魔しているというのもあるが、やはり新潟の食は非常に素材としての魅力も高いし、それから食品技術もすごく高い。大きな大企業も、食品の企業も大きな中堅がいっぱいいらっしゃるし、日本でも一番向いている場所の一つかなと思う」と語る。
高市内閣も重要視するフードテック「千載一遇のチャンス」
“食=フード”と“技術=テクノロジー”を掛け合わせた造語『フードテック』。
例えば、近年、日本の沿岸で減少している海藻に着目したスタートアップ企業が生産しているのは、“青のり”だ。陸上栽培もされているが、しっかりと磯の香りが感じられ、その存在感は想像を超えるという。
こうした“食”を核にしたスタートアップ企業を多く創出するため、企業、大学、自治体などと連携し、起業支援を強力に進めていく新潟フードテックタウン実行委員会。
このフードテックを政府の重点戦略分野の一つとする高市内閣。設立総会には、総理自らメッセージを寄せた。
「フードテックは食料安全保障に関する危機管理投資であり、先端技術を活かした大きな国際展開の可能性を有する成長投資でもある」
政府も重要戦略にこのフードテックを挙げている点について高島社長は「これから規制緩和とか様々な政策的な部分での対策が必要なときに政府も注目いただいているのは千載一遇のチャンスかなと感じている」と話す。
「スタートアップのサービスをどんどん使ってほしい」
この日は、フードテック分野のスタートアップ企業が、自治体や事業者・学生などと交流していた。

参加者:
どういう業種で参入する方が多いのか。
スタートアップ企業:
陸上の栽培は良くも悪くも習熟した技術がいらない。
参加者:
スタートアップする人たちは人と人でつながることが大事だと思うので、すごくありがたい場だと思う。
参加者:
新潟は食のポテンシャルが高くて、それが新潟からどんどん世界につながり、大きくなることはいいことなのではないか。
高島宏平 社長:
シリコンバレーがそうであるかのように、食で起業するなら新潟がいいんじゃないかと。10年後であれば、少なくとも日本国内では思ってもらいたい。一方で新潟市民の方々に10年後こうなっていただけるとうれしいなというのは、シリコンバレーやサンフランシスコの方がそうだが、新しいスタートアップのサービスをどんどん使う、市民の方々が。
世界で戦える日本の食「産業レベルで盛り上げていく必要ある」
新潟で生み出される新しい食べ物を県民にどんどん食べて評価し、スタートアップ企業を鍛えてほしいと話す高島社長。その先に見据えるのは食で世界と戦える新潟の姿だ。

「世界中で日本の食は非常に信頼性が高く、期待値も高い。一方で産業としてそんなに大きくなれていない。世界で戦える。文化レベルだけでなく、産業レベルとしても日本の食を盛り上げていく必要があると強く思っている」
食を軸に人と企業を呼びこみ、世界と肩を並べる新潟へ。大きな一歩を踏み出した。
