2020年に福島県郡山市で起きた飲食店爆発事故。郡山市が災害見舞金などの支払いを求めた訴訟で、裁判所は運営会社側の過失を認定した。「損害の発生を防止するために必要な注意を十分に尽くしていなかった」として、4者に賠償を命じる判決が下された。事故から6年。時間の経過が進んでいるが、被害者にとっては苦しい道のりだった。「前に進めるように」今回の訴訟の行方を見守っていた人がいる。

1人死亡 建物の被害は200超

2020年7月、福島県郡山市島2丁目の飲食店で起きた爆発事故。
国の調べなどでは、調理場に設置されていたガス管が腐食し、漏れ出したガスに引火したとみられている。
この事故で1人が死亡、少なくとも19人が重軽傷を負った。被害は周辺の建物232棟に及び被害総額は12億円にも上った。

郡山市が提訴した裁判

2020年7月郡山市の飲食店でガス爆発が発生し、一人が死亡、少なくとも19人が重軽傷を負った。この事故をめぐって郡山市は、災害見舞金の支給や現場周辺の清掃費など約600万円の支払いを求め、飲食店を運営していた高島屋商店など6者を提訴していた。

4月21日の判決で福島地裁郡山支部の足立拓人裁判長は「ガス管の著しい腐食やさびを認識せず適切な措置をとらなかった」と指摘。「損害の発生を防止するために必要な注意を十分に尽くしていたとは言えない」として、市が訴えた6者のうち高島屋商店など4者に対して責任を認め348万円143円の支払いを命じた。

開店したばかりの店が全壊

「こんなこと起きるの?って思いましたし、言葉にならなかったというか、言葉にできなかった」
こう語るのは、白岩大和さん。近くで起きた爆発によって、オープンしたばかりだった写真スタジオは全壊した。
「再開するまで待ちますというお客様が結構いらしゃって、それが励みとなって奮起したのをなんとなく思い出す」と語る。

個人では…市が起こした裁判の行方に期待

仲間や常連客の支えを受けスタジオを再建したが、補償には限界があった。
基金から引っ越し費用などは支払われたが、休業中の人件費や見込んでいた売り上げは補償されていない。
「今までこれだけ払って来たんだなって。何百万じゃないじゃない。5年間も返済し続けたって、4年目・5年目くらいからボディーブローのように」と白岩さんは話す。

被害額は1000万円以上に上ったものの、個人での提訴は負担が大きいとして、これまで市の訴訟の行方を見守ってきた。
白岩さんは「納得はいかないかもしれないけど、1つ判決が下されることで、1つでも得るものがあって、前に進めるような結果が出て欲しい」と語っていた。

判決の意義

今回の判決で、裁判所は爆発事故は調理場に設置されていたガス管が腐食し、漏れだしたガスに引火したと認めた。
郡山市は店の運営会社など6者を提訴していたが、裁判所が責任を認めたのは4者。「ガス管の腐食の確認」や「点検での見落とし」など、事故を起こさないために必要な注意を尽くしていなかったと、それぞれの過失を認めた。

複数の過失が重なり合って発生したこの事故だが、郡山市が原告となったこの裁判の意義について、郡山市の代理人・滝田三良弁護士は「損害額の問題よりも誰に責任があるのか、どんな責任があるのかそれを早く決めようということでこの訴えを起こした。今回の判決で、我々の目的は達したと思っている」と話す。
責任の所在を明らかにして市民の救済を進めようと市が動き、今回判断が示されたことで被害者救済へのさらなる後押しとなることが期待されるとしている。

この爆発事故では、福島地検が2024年に業務上過失致死傷の疑いでガス点検業者1人を在宅で起訴していて、刑事裁判の行方も注目される。
(福島テレビ)

福島テレビ
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