鹿児島県いちき串木野市出身の若きアーチャーが、全国の舞台でも実力を証明した。串木野高校アーチェリー部1年の中袴田遊選手が、静岡県で開催された全国高校選抜大会で3位入賞を果たした。2025年の県総体・九州総体を制した「地元の星」が、いよいよ全国区へと羽ばたきつつある。

鹿児島・九州を席巻した1年生

中袴田選手は2025年の県総体と九州総体において、団体・個人の両部門で優勝を飾った。さらに国民スポーツ大会の少年男子の部でも個人4位という好成績を収めており、1年生ながらすでに地域を代表するアスリートとして注目を集めている。

アーチェリーは、70メートル先の的をめがけて矢を射ち、その合計得点を競うシンプルながら極めて精密なスポーツだ。最高得点の10点エリアは手のひらよりも小さく、約2キロある弓を持ちながら3分の制限時間内に6本を射つセットを12回繰り返す——合計72本の矢すべてに高い集中力と技術が要求される。

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休日は600〜700本、ひたすら射ち続けた小学生時代

中袴田選手がアーチェリーを始めたのは小学校1年生のころ。学生時代にアーチェリーに打ち込んでいた父・学さんの影響を受けてのスタートだった。

「小1からだったので、伸び伸びと楽しく射ってくれたら、その方が伸びるかなというのもあった」と学さんは振り返る。父は監督として厳しく管理するよりも、息子の自主性を尊重する方針をとってきたという。「自分でやっていく節もあったので、『ああだこうだ』言うよりも自分でやった方が伸びると思った」。

中袴田選手を指導する父 学さん
中袴田選手を指導する父 学さん

その言葉通り、中袴田選手は自ら練習量を積み重ねてきた。「小4のときにめちゃくちゃ本数を射っていて、その時に当たる感覚を掴んで。休日とかは600本、700本、500本くらい」と本人は語る。幼いころから体に染み込ませた「当たる感覚」が、今の技術の土台になっている。

「射った瞬間に10点と分かった」

いちき串木野市の自宅に併設されたアーチェリー場での練習では、矢が次々と10点エリアを射貫いていく。そして中袴田選手は驚くべき感覚を明かした。「今も射った瞬間に矢が的に着いてなくても10点と分かった」——矢が飛んでいる間に、すでに結果を感じ取れるほどの精度と感覚を身につけているのだ。

正確なフォームを維持するために欠かせないのが、体幹と背筋の強化だ。「弓を引く時に、背筋がないと反ってしまったり、倒れてしまったりする。それをなくすために背筋を鍛えている」と中袴田選手は説明する。華やかな競技成績の裏には、地道な筋力トレーニングの積み重ねがある。

父・学さんは監督として的確な指摘を行う。「今、手で抜きにいってるから」。中袴田選手もその言葉を真摯に受け止める。「自分がここダメだったかなというところを指摘されるので、そこをちゃんと直していきたい」。親子の信頼関係が、技術の向上を支えている。

静岡で全国3位、次は世界へ

3月28日まで静岡県で行われた全国高校選抜大会。中袴田選手は予選を12位で通過し、決勝トーナメントへと駒を進めた。準決勝では敗れたものの、ブロンズメダルマッチを制して3位入賞を果たした。鹿児島から全国へ——その実力は確かな結果として刻まれた。

将来の夢について、中袴田選手はこう語っている。「皆さんが仕事をしているように自分もアーチェリーのことを常に考えている。一流のアスリートになってオリンピックで金メダルをとれるような世界レベルの選手になりたい」。

鹿児島を制し、九州を制し、全国で表彰台に立った。次なる目標はオリンピックの金メダル。串木野の若きアーチャーは、きょうも自宅のアーチェリー場で矢を放ち続けている。

【動画で見る▶「休日は600〜700本」“高校1年”アーチャー中袴田遊、九州王者の“異次元”練習量とは 】

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