富山には、それぞれのこだわりと物語を持つパン屋がある。情報誌「Takt」の特集「パン日和」から、ついつい立ち寄りたくなる2軒を紹介する。

朝6時から営業、香る焼きたての誘惑

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富山市向新庄町、朝6時。焼きたての香りが漂うなか、「パンとピエルロ」がオープンする。2022年12月にオープンしたこの店には、100種類以上のパンがズラリと並ぶ。

オーナーの沢崎ゆみさんがパンに魅了されたのは、フランス留学中のことで、「焼きたてでちょっとあったかいバゲットを毎日買いに行って」と当時を振り返る。

驚いたのは沢崎さんのバックグラウンドで、実は沢崎さんはフルート奏者であり、2年間の留学では音楽院を首席で卒業。現在も富山県内を中心に定期的にコンサートを開いている。パンの修行はしていないそう。では、どこで技術を磨いたのかといえば——「フランス人のパン職人のYouTubeを見て、勉強させていただきました」。

その言葉に思わず笑みがこぼれるが、実際の味は本格的だ。看板商品のバゲットはフランス産の小麦粉と天日干しの荒塩を使用。外はカリッとハードだが、中はモッチリしていて、小麦の香りして非常に美味しい。

音楽もパンも、気になったらとことんやる。その姿勢の根っこには、幼い頃に祖母からもらった言葉があるという。

「『食べることは生きるっていうことなんだ』っていう、おばあちゃんの言葉がありまして。生活に密着した、主役にはならない、生活の一部、あって当たり前みたいなそういうパンを作っていけたらなと思っています」

飾らない言葉の中に、パン作りへの真摯な想いが詰まっている。

創業80年、伝統を塗り替える「12層のクロワッサン」

富山市桜町にある「PAIN D'OR(パンドール)」は、今年で創業80年を迎える老舗だ。現在は5代目の山崎達也さんが、長年のファンに愛される味を守りながら、より良いレシピへの探求を続けている。

その象徴が、改良を重ねたクロワッサンだ。かつては折り目が18層だったが、現在は12層に変更。層を減らすことで、バターの風味をより強く感じられるようにした。生地には水を使わず、牛乳・卵・ルヴァン種のみ。さらに低温で一晩以上じっくりと発酵させる「低温長時間発酵」を取り入れ、バター100%で毎日仕込む。

バターの良い香りがするそのクロワッサンをひと口頬張ると、サクサクで生地は軽やか。ほんのり甘さも感じられる。外はサクサク、中はしっとり。長年のファンにもその変化は好意的に受け入れられ、売れ行きはさらに伸びているという。

もう一つ注目したのが「ベーコンエピ」だ。食べ応えのある生地に2枚重ねのベーコンが挟まれた一品は、パンの香ばしさもあり、ベーコンの塩味が程よく利いていた。

伝統を守るだけでなく、進化させていく。山崎さんはその先をまっすぐ見据えている。「今年で80周年になるので、これから長く90周年、100周年迎えられるようにおいしいパンを長く作っていきたいと思います」

富山のパンシーンは、まだまだ奥深い

フランスの街角で感じた美味しさの衝撃を富山へ持ち込んだ「パンとピエルロ」と80年の歴史に磨きをかけ続ける「パンドール」。どちらも一度足を運べばまた行きたくなる店だ。

情報誌「Takt」の特集「パン日和」では、このほかにも富山県内のおすすめパン屋が紹介されている。焼きたての香りを求めて出かけてみてはどうだろうか。

(富山テレビ放送)

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