2005年3月20日に発生した福岡県西方沖地震から21年。福岡県内を走る活断層のリスクをあらためて検証する。

警固断層南東部 地震周期の満期に近い?

福岡県西方沖地震。福岡都市部や玄界島では激しい揺れに見舞われ死者1人、負傷者1087人の人的被害のほか、住宅の全壊・半壊が合わせて377棟に及ぶなど、建物にも大きな被害が出た。

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西方沖地震を引き起こしたのは、玄界灘から福岡市の中心部を通り、筑紫野市付近まで伸びる活断層の警固断層だ。活断層は、繰り返し活動すると考えられ、規模によっては深刻な被害をもたらす。

活断層がきっかけとなった2016年の熊本地震では、地表に現れたズレ、地表断層に近いほど家屋への被害が集中していたことが明らかとなった。

長年、活断層の調査・研究を続ける産業技術総合研究所(経済産業省所管)の宮下由香里さんは「西方沖地震のあとに福岡都市部の警固断層南東部でトレンチ(掘削)地層調査を行った。その結果、警固断層は約4000年に1回ぐらい地震を起こしていたことが分かった。警固断層南東部は、地震を起こす周期の満期に近い状態かもしれない。注意してほしい』と警鐘を鳴らす。

福岡都市部を通る警固断層は、21年前の西方沖地震で陸側の南東部にズレが生じていない。南東部の断層は、将来のリスクが大きいと指摘する。

地震リスクの評価に繋がる調査最前線

大きな地震を引き起こす可能性がある活断層。県内の警固断層以外の活断層についても詳しい調査が進められている。

県北部に位置する福津市。2026年1月、県内にある主な活断層のひとつ、西山断層の掘削調査が、宮下さんらの研究チームによって行われた。掘る深さは、予定では3.5メートル。見たい地層が出る深さまで掘りたいという。

西山断層は、全体の長さが約110キロ。長い断層が連動して動くと強い地震が起こると考えられていて想定される被害も甚大だ。

西山断層のように都市近郊に存在する活断層について位置や形状、活動性を詳しく分析することで防災・減災に繋がる地質データを取得するのが調査の狙いだ。

地面を掘削するトレンチ調査。事前のボーリング調査で断層の場所はほぼ特定できていたが、実際に掘ってみると状況は違っていた。

「途切れると思っていた黒い地層が、予想と違う分布をしていた。地層の中に液状化の跡のようなものが見える。どうなっているのかな』と話す宮下さん。長年の経験をもってしても掴みにくい地層の変化がある。

更に、地中の作業で最も厄介な地下水の湧出。急きょ、ポンプを設置して排水しながら調査を続けることになった。

掘削調査2日目。作業は最終段階だ。斜面が安定しているとの判断から地中での撮影が許可された。

水平であるはずの地層が上下に大きく変化

「見て分かるように断層がある。良く分かります。黒い地層と白い地層の境目。ここから上に抜けていて、活断層が通っていることが分かった」と解説する宮下さん。水平であるはずの地層が、上下に大きく変化した地層のずれ。遥か昔、西山断層が引き起こした地震の痕跡だ。

「黒い地層の上に火山灰がある。おそらく7300年前の火山灰。その地層が変形していることで、それより後に地震があったということだろう」(『産業技術総合研究所』宮下由香里さん)。

西山断層は、過去の地震の時期や活動周期などはっきりと分かっていないことも多く、宮下さんらの研究チームは現地で採取した砂を年代測定するなどして実態を解明していきたいとしている。

「今回は、いつ地震を起こしたかを知って、いまが、西山断層帯の地震を起こす周期の中のどのあたりになるのか。地震が切迫していると思われるのか。それともしばらく安心と言える段階なのかが分かってくる」(『産業技術総合研究所』宮下由香里さん)。

どこまで進んでいる?福岡県内の耐震化

2023年の元日に発生し、最大震度7を観測した能登半島地震。国のまとめでは、震災による住宅被害のうち旧耐震基準以前の木造建物で被害が無かったのは、僅か12%余りだった。こうした背景からも住宅の耐震化が急がれている。

木造住宅の耐震工事は、専門家の診断のもと壁や屋根などの強度を測定。基準を満たした木材フレームや壁などで補強し、揺れに強くするというものだ。

住宅の耐震工事を請け負うリフォーム会社『ダイニチ』(福岡市中央区)の耐震事業部、前田修部長は「能登半島地震以降に耐震工事が、約80件あった。福岡市の補助金が、かなり充実していて、その効果もあってすごく多い」と話す。

県内の耐震化は、現在どこまで進んでいるのか。県住宅計画課の松本賢次補佐は「福岡県の木造戸建て住宅の耐震化率は、2023(令和5)年時点で約82%となっている。戸数に換算すると木造住宅で約16万戸、耐震性の低い可能性がある住宅が残っている」と話す。

耐震化が進む一方で、耐震性の低い住宅もいまだ多く残る現状。県では、耐震診断アドバイザーの派遣や改修工事の補助金など、推進事業を行っていて積極的に利用して欲しいとしている。

(テレビ西日本)

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