多くの人が行き交う「札幌駅前通地下歩行空間」通称「チ・カ・ホ」。
東日本大震災の翌日に開通してから15年、札幌の地下の大動脈としてなじみのあるこの場所は、もしもの備えになる「フェーズフリー」の考え方を取り入れた空間だ。

「今イベントでにぎわっているチ・カ・ホのこちらのスペースも災害時は避難施設として活用されます」(川瀬雄也記者)
チ・カ・ホは災害で家に帰れなくなった人たちの一時的な滞在施設になりうる。
2026年1月下旬の大雪の際も、300人以上が一夜を明かした。

「こちらが札幌地下歩行空間で貸し出される毛布です。身長180センチの私でも広々と使えますね」(川瀬記者)
備蓄庫には約1000人分の毛布とビスケットが用意されている。

さらに北海道胆振東部地震の「ブラックアウト」を教訓に非常用発電も整備し、停電になっても最大72時間は、電気が確保できるという。
「チ・カ・ホは駅に近いということで利便性があるということと、すぐ情報が入ってすぐ動けるということが利点だと思います」(札幌市危機管理課 大場智裕課長)
普段目にしている電子看板も災害時には情報を伝える掲示板になる。

日常と災害時、2つの垣根を取り払う「フェーズフリー」。
この考え方を取り入れた最新の施設が、北海道オホーツク地方の小清水町にあった。
2023年に誕生した複合庁舎「ワタシノ」。

建物には役場が入り、町内で初めてとなるコインランドリーが併設された。
さらに町内唯一のフィットネスジムも入り、町の新たな賑わいを生み出している。
「日常を豊かにする機能を設けたうえで、実はそれは非常時にも役立てるんですという検討が入っていくという流れになります」(小清水町 細川正彦総務課長)
「ワタシノ」は災害時には、避難施設に変わり、コインランドリーが無償で開放され、避難生活を支える。

さらに併設されたカフェでは。
「非常時は簡易な炊き出しがあって、ここに避難された方の非常食としてここで出しているポテトであったりを使って非常食で出そうと(考えている)」(細川総務課長)
普段の日も、もしもの時も、町の人たちの居場所として活用される新たな取り組みだ。

フェーズフリーは、私たちの身近なグッズにも広がっている。
札幌市内のホームセンターで見つけた、こちらのスリッパ。

軽くてはきやすそうなこのスリッパだが、木から飛び出たネジを踏んでみるとネジがグニャリと曲がった。
「スリッパの底が釘やガラスを踏んでも貫通しない非常に丈夫な作りになっているのでそのまま避難できます」(ジョイフルエーケー屯田店 新酒英暁副店長)

こちらの電球は蓄電機能が付いており、普段は照明として使い、災害時には取り外して懐中電灯として活用ができる。

このメモ帳は、水に濡れても鉛筆で書くことができ大雨の時なども役立つ。

さらに街の人からは意外なアイデアも。
「最近推し活とかはやっていてペンライト、結構明るいのでライト代わりに使えると思っていました」(札幌市民)
コンサートで振っていたペンライトが、停電の夜には暗闇を照らす希望の光になるかもしれない。
普段使うものが、もしもの備えになる。
「フェーズフリー」の考え方は今後、さらに拡大していきそうだ。
