2011年の東日本大震災から間もなく15年となる。2024年に発生した能登半島地震との比較から、地震の性質によるリスクの違いと、それに応じた防災対策の重要性が改めて浮き彫りになっている。専門家は、事前の行動計画「タイムライン」の策定などを呼びかけている。

2つの大地震 揺れ方の違い

2011年3月11日午後2時46分に発生した東日本大震災と、2024年1月1日午後4時10分に発生した能登半島地震。この2つの地震には、揺れが到達するまでの時間に特徴的な違いがある。
東日本大震災では、発生から揺れが到達するまでに数十秒、最大の揺れまでは100秒以上の時間があった。一方、能登半島地震では、震源に近い珠洲市などで発生後すぐに大きな揺れが襲った。

東日本大震災と能登半島地震を比較
東日本大震災と能登半島地震を比較
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防災マイスターで東京大学大学院の松尾一郎さんは、この違いについて、能登半島地震が人々の暮らす地盤の真下で断層破壊が起きる「直下地震」であるのに対し、東日本大震災は沖合のプレートが時間をかけてずれる「海溝型地震」の特徴を示していると説明する。
直下地震では、揺れの立ち上がりが非常に速く、震度5以上に達するまで3秒から4秒程度しかない。しかし、このわずかな時間で命が助かった事例も報告されている。

地域によって異なる地震リスク

住んでいる地域によって地震のリスクは異なる。福島県内で発生した震度1以上の地震の回数を見ると、2011年は東日本大震災の余震も含め非常に多かったものの、年々減少傾向にある。

福島県で発生した震度1以上の地震回数
福島県で発生した震度1以上の地震回数

しかし、14年が経過した2025年時点でも県内全体で揺れは観測されており、場所によっては地震の回数が増えている地域もある。

揺れに備える「感震ブレーカー」

揺れ方が違えば、備えるべきことにも違いが出てくる。能登半島地震では輪島市で大規模な火災が発生したが、消防庁は電気が原因だった可能性が高いとしている。
こうした電気火災を防ぐため、国が設置を推奨しているのが「感震ブレーカー」だ。

自動で電気を遮断 感震ブレーカー
自動で電気を遮断 感震ブレーカー

これは、震度5強相当の揺れを感知すると自動で電気を遮断する装置で、分電盤に後付けできるタイプや簡易的なものなどがある。
福島市消防本部によると、福島市は設置の補助対象にはなっていないが、ホームページなどで設置を呼びかけている状況だ。

季節に応じた防災グッズの確認を

災害への備えは、季節に合わせて見直すことも重要だ。特に冬の避難では寒さ対策が欠かせない。停電に備え、カイロや保温性の高い非常用アルミシートなどを準備しておくと安心だ。カイロには有効期限があるため、定期的な確認と入れ替えが必要だ。
また、火を使わずに食品を温められるフードボックスも役立つ。発熱材と水を使ってレトルト食品などを安全に温めることができ、普段は収納容器としても使える。

防災グッズ 寒さ対策もポイント
防災グッズ 寒さ対策もポイント

松尾さんは、防災グッズの確認とともに、家具の固定も重要だと指摘する。寝室やリビングなど、一日の半分以上を過ごす場所では、家具が凶器にならないよう対策を呼びかけている。

命を守る行動計画「タイムライン」

災害による犠牲者ゼロを目指し、松尾さんが普及に力を入れているのが「タイムライン」だ。これは、災害時に起こりうるリスクを段階的に想定し、「いつ」「誰が」「何をするのか」をあらかじめ整理しておく行動計画だ。
2011年の「紀伊半島豪雨」をきっかけに三重県紀宝町が全国に先駆けて導入し、早めの避難行動が根付くきっかけとなった。

紀伊半島豪雨 当時の被害 (画像提供:三重県紀宝町)
紀伊半島豪雨 当時の被害 (画像提供:三重県紀宝町)

松尾さんはタイムラインについて、「事前に何が命を守るために必要かを考えることができるツール。地震や津波、水害など災害が多発する福島では、命を守る行動を考える道具としてぜひ活用してほしい」と話す。
2025年12月には、青森県東方沖の地震を受け、気象庁などが初めて「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表。福島県沿岸部の市町村にも1週間程度の「特別な備え」が求められた。

2025年12月 後発地震注意情報が発表される
2025年12月 後発地震注意情報が発表される

このような状況を踏まえ、松尾さんが策定したタイムライン案では、家族構成に応じて、平時から災害発生時までの各段階で誰が何を確認・実行するかが具体的に示されている。「命を守るためには日頃からの備えが重要。何をしておくかが命を守ることにつながる」と、平時の取り組みの重要性を強調した。

タイムラインを提唱する松尾一郎さん
タイムラインを提唱する松尾一郎さん

東日本大震災から15年となる今、改めて家族で防災について話し合うことが求められる。
(福島テレビ)

福島テレビ
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