会見で異例の発言も

 
 
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秋篠宮さまは、11月30日、53歳の誕生日を迎えられました。

誕生日に先立ち会見に臨まれた秋篠宮ご夫妻は、眞子さまと婚約内定中の小室さんについて、また来年皇嗣という新しいお立場への抱負などを真摯にお話し下さいました。そして、宮内庁長官への不満をも述べられたのです。

皇族減少の中、公務の分担は緊急課題

 
 

まずお話を伺った「新しい立場となる」ことへの抱負は次のようなものでした。

秋篠宮さま:
「これからも様々な公的な仕事をする機会があります。時として、例えば毎年のように行われているものなどについては、どうしても、前年度とか、その前の機会と同じようにすればいいと思いがちです。これは私自身もそうなんですけれども、やはり、それら一つ一つを、その都度その都度考えながら、自分の仕事、若しくは務めを、進めていくようにしたいと思っています」

 今後の公務の分担については、いま宮内庁で整理、検討が行われていることを明かされています。

「私も自分で行っていることがあります。総裁とか名誉総裁をしているものもあります。それらをそっくり誰かに今度は譲る、引き渡すということ、これも、それを受ける先はありません。そのようなことから、今、宮内庁として考えていることは、一旦全て皇太子殿下のお仕事を宮内庁の方で引き取って、それを整理して、それで次に私がどのものをその後を行っていくか、というのを検討しているところです」

これまで皇太子さまが行われてきた7大行啓をどのように分担していただくかについて注目が集まっています。一部は皇太子さまが即位後も続けられるものもあり、また秋篠宮さまが引き継がれ「全国農業担い手サミット」については寬仁親王妃信子さまが引き継がれる方向で調整が続いています。

このように、皇族が減少していく中、公務をどのように分担していくか、緊急の課題となっているのです。

こうしたこともあり、秋篠宮さまは、分担について、時代と共に行い方が変わってきたものがあるとして、皇太子さまと今後もっと話をしていく必要があるとも述べられています。

眞子さまと小室さんのご結婚について

2017年9月3日に行われた婚約内定会見での眞子様と小室さん
2017年9月3日に行われた婚約内定会見での眞子様と小室さん

眞子さまの近況と小室さんとのご結婚の見通しについては、週刊誌などの報道で承知しているとしながら、ご夫妻は次のように述べられています。

秋篠宮さま:
「小室さんからの連絡ですか、どうでしょう。2,3か月に一度くらいでしょうか、時々もらうことがあります。これは、娘と小室さんのことではありますけれども、私は、今でもその二人が結婚したいという気持ちがあるのであれば、やはりそれ相応の対応をするべきだと思います。まだ、婚約前ですので、人の家のことについて私が何か言うのははばかられますけれども、やはりその今お話ししたような、それ相応の対応というのは大事ですし、それから、これは、二人にも私は伝えましたが、やはり、今いろんなところで話題になっていること、これについてはきちんと整理をして問題をクリアにするということ(が必要)になるかもしれません。そしてそれとともに、やはり多くの人がそのことを納得し喜んでくれる状況、そういう状況にならなければ、私たちは、いわゆる婚約に当たる納采の儀というのを行うことはできません」

 「相応の対応」という言葉を使いながら、秋篠宮さまは金銭問題の解決を求めていること、そして、そのうえで、多くの国民が祝福してくれることを望んでいることを示されました。小室さんが何らかの行動を起こさなければいけない、それまで納采の儀は行えないという強いお気持ちも表明されています。

母親としての想い

 
 

紀子さまは母親としての受け止めと、眞子さまの近況を述べられました。

紀子さま:
「昨年の夏から、様々なことがありました。そして折々に、私たちは話し合いを重ねてきました。そうした中で、昨年の暮れから、だんだん寒くなっていく中で、長女の体調が優れないことが多くなりました。そうした状況が長く続き、長女は大丈夫だろうか、どのような思いで過ごしているだろうかと、私は、大変心配でした」

そして、公務に励まれる眞子さまの様子に触れたうえで、母親としてのお気持ちを語られました。

「長女は、美術や音楽が好きなものですから、そして私も好きで、一緒に誘い合って展覧会や音楽会に出かけることがあります。小さい時から、このように一緒に芸術にふれたり、語り合ったりする時間を持ってきましたが、今以前にも増して、このように長女と過ごす時間をとても大切に感じています。家族として非常に難しい状況の中にありますが、私は、長女の眞子がいとおしく、かけがえのない存在として感じられ、これからも、長女への思いは変わることなく、大切に見守りたいと思っております」

お代替わりの行事や儀式について

 
 

この後、悠仁さまや佳子さまについて、この一年を振り返っての感想などの質問に秋篠宮ご夫妻はお答えになりました。予定の質問が終わったあと、ここまでのお答えに対して、記者から関連の質問が行われ、その中で、お代替わりの行事や儀式についてのお考えについて問われた秋篠宮さまはまず次のように応じられました。

秋篠宮さま:
「行事、そういう代替わりに伴う行事で、いわゆる国事行為で行われる行事、それから皇室の行事として行われるものがあります。国事行為で行われるものについて、私が何かを言うことができるかというと、なかなかそういうものではないと思います。そういうものではないんですね。一方、皇室の行事として行われるものについてはどうか。これは、幾つかのものがあるわけですけれども、それについては、ある程度、例えば私の考えというものもあっても良いのではないかなと思っています」

更に、「具体的には」と質問が出た際、驚くようなお言葉が飛び出しました。

 「大嘗祭については、これは皇室の行事として行われるものですし、ある意味の宗教色が強いものになります。私はその宗教色が強いものについて、それを国費で賄うことが適当かどうか、これは平成のときの大嘗祭のときにもそうするべきではないという立場だったわけですけれども、その頃はうんと若かったですし、多少意見を言ったぐらいですけれども。今回も結局、そのときを踏襲することになったわけですね」

「整理の仕方としては、一つの代で一度きりのものであり、大切な儀式ということから、もちろん国もそれについての関心があり、公的性格が強い、ゆえに国の国費で賄うということだと。平成のときの整理はそうだったわけですね。ただ、今回もそうなわけですけれども、宗教行事と憲法との関係はどうなのかというときに、それは、私はやはり内廷会計で行うべきだと思っています。今でも。ただ、それをするためには相当な費用が掛かりますけれども。大嘗祭自体は私は絶対にすべきものだと思います。ただ、そのできる範囲で、言ってみれば身の丈にあった儀式にすれば。少なくとも皇室の行事と言ってますし。そういう形で行うのが本来の姿ではないかなと思いますし、そのことは宮内庁長官などにはかなり私も言っているんですね。ただ、残念ながらそこを考えること、言ってみれば話を聞く耳を持たなかった。そのことは私は非常に残念なことだったなと思っています」

 長官が「話を聞く耳を持たなかった」という言葉で、長官と宮内庁に対し苦言を呈されました。

こうした発言に、宮内庁の山本信一郎長官は「色んな議論を整理してご説明した。そのようにお受け止めになったのであれば申し訳ない」とコメントしています。

秋篠宮さまと宮内庁の隔たり

 
 

私なりに推測すると、例えとして大嘗祭の費用のことを挙げられていますが、この件だけでなく、公務の在り方に対し、また、秋篠宮さまを支える組織についてなど、いろいろと宮内庁と秋篠宮さまのお考えには隔たりが存在しているのだと思われます。

大嘗祭の費用に関しては、一部報道でも出ていた話で、費用が掛かることに対して、どのように国民に理解してもらえるのか、という思いから発信をされたのだと思います。

確かに、陛下が即位された際にも大嘗祭の費用などをめぐり裁判も起きています。国論が分かれることを危惧されたのでしょう。本来なら、秋篠宮さまと宮内庁との間で何らかの合意が形成されるものですが、秋篠宮さまには不満が残り今回の発言へとつながったのでしょうし、自分なりの考え方を伝えられたかったのでしょう。

 
 

また、皇室の方は意見を言う機会はほぼありません。唯一と言っていいのが記者会見の場です。皇室のことは自分たちにも発言させてほしいという秋篠宮さまのお気持ちも理解はできます。

そもそも、秋篠宮家という宮家の立場を優先する秋篠宮さまと皇嗣として次の世に即位される立場を優先する宮内庁との考え方の差もこうした隔たりを生んでいると思われます。

このように隔たりを公にすることが必ずしもいいこととは思えませんが、隔たりがある以上は、秋篠宮家と宮内庁が話し合いを続け、少しでも隔たりが近くになるよう努力を続けていただけるよう願っています。

(執筆:フジテレビ 解説委員 橋本寿史)

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橋本寿史
橋本寿史

フジテレビ報道局解説委員。
1983年にフジテレビに入社。最初に担当した番組は「3時のあなた」。
1999年に宮内庁担当となり、上皇ご夫妻(当時の天皇皇后両陛下)のオランダご訪問、
香淳皇后崩御、敬宮愛子さまご誕生などを取材。