石破さんの負け方が大事

自民党総裁選がようやく始まった。
出陣式の出席者は安倍さんの方が300人以上、石破さんは40人で、議員票で圧倒的にリードする安倍さんの勝ちは動かないだろう。
でも石破さんは負け方が大事。
経済・外交安保で違いなし

二人の演説や会見を聞いていると、経済や外交安保で大きな違いはなかった。
側近によると、石破さんは元々は安倍さんより財政均衡論者だったが、その後修正して、アベノミクスを否定しない、ということにしたらしい。まあそうするしかないだろう。
もう1つの、外交安保、というか憲法9条の改正で2人は対立しているように見えるがそうだろうか。
9条改正については、僕は石破さんの言ってることの方が正論だと思う。でもそれでは改憲できないだろうなあ、とも思う。だったら安倍さんの妥協案の方がいいのかもしれない。
まあこれは政策の大きな違いではない。2人とも自衛隊員に気持ち良く働いてもらうにはどうしたらいいか、という事を言ってるのであって、決して対立してはいないのだ。これを対立と煽って喜んでいる人達がいるので、くれぐれも引っかからないで頂きたい。
安倍さん圧勝なら改憲案提出か

ただ安倍さんは、非常に低姿勢で丁寧に答えていたが、3選されたら、参院選の前に憲法改正する、という強い意欲をひしひしと感じた。
もちろん党員票が接戦だったら、石破さんの党内影響力は残り、安倍さんは憲法改正案を出しにくくなる。
ただ安倍さんが党員票を7割以上取って圧勝したら、秋の臨時国会に、憲法改正案を提出するのではないか。
その場合石破さんは反対票を投じて離党する、ということはないのだろうか。確かに、今回の総裁選で完敗したら石破さんの党内での居場所はなくなる。一方の野党はトップがいなくて困っている。だから石破離党論を言っている人が何人かいるが、あれは明らかに自民党を分断しようとして言っている。
石破さん!だまされちゃいけないよ。
安倍さんももし総裁選で勝っても石破さんを離党させてはいけない。追い出してはいけません。
(執筆:フジテレビ 解説委員 平井文夫)
(イラスト:さいとうひさし)