上皇さまの思いを引き継いで 天皇陛下 令和最初の「終戦の日」でお言葉

天皇皇后両陛下 全国戦没者追悼式にご出席

カテゴリ:国内

  • 「戦後生まれ」の天皇皇后両陛下 全国戦没者追悼式初めてのご出席
  • 「反省」など、 上皇さまの思いを引き継がれたお言葉
  • 昭和、平成、令和・・・受け継がれる非戦の思い

「戦後生まれ」の天皇皇后両陛下 注目されたお言葉は

天皇皇后両陛下は8月15日「全国戦没者追悼式」に出席されました。両陛下にとって即位後、初めてのことです。式典の中で、両陛下は正午の時報に合わせ黙祷。注目されたお言葉は、毎年出席されてきた上皇さまの思いを受け継ぐものでした。

天皇陛下:
本日、『戦没者を追悼し平和を祈念する日』に当たり、全国戦没者追悼式に臨み、さきの大戦において、かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い、深い悲しみを新たにいたします。 終戦以来74年、人々のたゆみない努力により、今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが、多くの苦難に満ちた国民の歩みを思うとき、誠に感慨深いものがあります。戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ、ここに過去を顧み、深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、全国民と共に、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。

「反省」など、 上皇さまの思いを引き継がれたお言葉

天皇陛下のお言葉を昨年の上皇さまのお言葉と比べると、「国民のたゆみない努力により」というのが「人々のたゆみない努力により」に、「苦難に満ちた往時をしのぶとき」が「多くの苦難に満ちた国民の歩みを思うとき」に変わってはいますが、それは少し柔らかくわかりやすい文言になっただけでした。かえって、「反省」「再び戦争の惨禍が繰り返されない」「世界の平和」などのお言葉に、上皇さまの思いが強く引き継がれている印象を受けました。

昭和、平成、令和・・・受け継がれる非戦の思い

この式典は、終戦から7年後の1952年に政府主催で始まったもので、昭和天皇と香淳皇后も出席され新宿御苑で行われています。その後も昭和天皇は毎年出席され、1988年にはがんの手術後、栃木県の那須御用邸でご静養中だった時も、ヘリコプターを使い式典に出席。これが昭和天皇にとって最後の外出してのご公務となりました。

上皇さまも翌年1989年1月のご即位後の8月から毎年この式典にはご出席。節目の年には、思いがこもったお言葉を述べられてきました。
1995年の戦後50年の際には、「ここに歴史を顧み、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い」という前年にはない言葉を述べられました。
2015年の戦後70年には、「戦争による荒廃からの復興、発展に向け払われた国民のたゆみない努力と、平和の存続を切望する国民の意識に支えられ」と前年の「国民のたゆみない努力」という言葉をより具体的に話されたほか、「さきの大戦に対する深い反省と共に」という言葉が加わりました。「反省」という言葉は、このときから加わったのです。

こうした昭和天皇、上皇さまの思いが、天皇陛下に強く受け継がれているわけで、今回、「反省」と非戦の思いをお言葉に記されています。
天皇陛下は、戦争を知らない世代の方です。その方がこうした言葉を使われたのは、上皇さまの「戦争の悲惨さを風化させてはいけない」という思いをご自身も実感し、語り続けていかなければならないという思いの表れなのです。

天皇陛下は、戦後70年に当たる2015年のお誕生日会見で次のように語られています。
「私は、子供の頃から、沖縄慰霊の日、広島や長崎への原爆投下の日、そして、終戦記念日には両陛下とご一緒に黙祷をしており、その折に、原爆や戦争の痛ましさについてのお話を伺ってきました」
「私自身、戦後生まれであり、戦争を体験しておりませんが、戦争の記憶が薄れようとしている今日、謙虚に過去を振り返るとともに、戦争を体験した世代から戦争を知らない世代に、悲惨な体験や日本がたどった歴史が正しく伝えられていくことが大切であると考えています」

上皇ご夫妻はこの日、式典の様子を見ながら、お住まいの吹上仙洞御所で黙祷されたということです。
皇室にとって8月15日とは一年の中でも重く大切な祈りの日なのです。

[執筆:フジテレビ解説委員 橋本寿史]

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