芸術・文化の分野で優れた功績をあげた人たちに贈られる、日本美術協会が主催する高松宮殿下記念・世界文化賞。

34回目を迎えた今回、絵画部門の受賞が決まったのは、アメリカのヴィヤ・セルミンスさん(84)だ。

セルミンスさんは、ソ連軍の侵攻を受け、5歳の時に一家で母国ラトビアを離れ、幼少期をドイツの難民キャンプで過ごした。
1948年、9歳の時にアメリカに移住。
英語を話せなかったセルミンスさんは、絵を描いて過ごし、本格的に芸術の道に進んでいく。

日用品を題材にした油彩画を制作する一方、第二次世界大戦など幼少期の経験を彷彿とさせる作品も発表。原爆が投下された広島を描いた作品もある。

セルミンスさんは「戦争が作品に対しどのような影響を及ぼしたのかはよく分かりませんが、作品は影響があったことをほのめかしていると思います」と述べる。

1960年代後半からは油彩を離れ、鉛筆や木炭によるドローイングを制作。波や空、星、など自然を題材にした緻密で写実的な作品は、現代美術界において独自の世界を切り拓いている。

「私は言葉にできないものを描いていると思います。イメージを用いることで絵の手触りや感触、どう描かれたのか、見ている人に関わってもらいたいのです」

現在はニューヨーク州のアトリエで、雪の作品を制作するセルミンスさん。

今後はガーデニングにも取り組みたいと話していた。

セルミンスさんら今回の受賞者の祝賀式が12日、アメリカ・ワシントンのホワイトハウスで行われ、ジル・バイデン大統領夫人や世界文化賞国際顧問のヒラリー・クリントン元国務長官らが受賞者をたたえた。

授賞式は来月18日、東京の明治記念館で行われる。

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国際取材部
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