全国でも珍しい小学校にあるスキーのジャンプ台。老朽化で使えなかった1基の改修に児童が奔走し、1月に生まれ変わった台で授業が行われています。そこは、あのメダリストの原点でもある「学びの場」です。
■半世紀以上続く伝統のジャンプ学習
雪を蹴って勢いよく前へ!白馬北小学校で長年、受け継がれる「ジャンプ学習」です。
ジャンプ台は校庭の一角に大小2基。大きい台は鉄骨製で高さが10メートルもあります。
上ってみると、下から見るよりずっと高くて急でした。
■五輪メダリストも育てたジャンプ台
始まりは半世紀以上前、1968年。
最初の台は、収穫した稲を干す「はぜかけ」に使う丸太を組んだものでした。
5年後には鉄骨製になり、横に、低学年用の小さなジャンプ台もできました。
ノルディック複合の渡部暁斗・善斗兄弟も卒業生です。
4年前の北京オリンピックでは団体で銅メダル。
兄の暁斗選手は、個人で3大会連続のメダルを獲得しました。トップアスリートも親しんだジャンプ台です。
■老朽化で使用不可に…5年生が奮闘
整備は代々、保護者や職員が担当しています。斜面に多くの雪を運んで、踏み固めてバーンを作ります。
一方、ジャンプ台は改修を重ねて半世紀。低学年用の台は老朽化で骨組みがゆがみ、4年前から使えなくなりました。
2025年の授業で高学年の児童は―。
当時4年生(2025年1月):
「1、2、3年生が(ジャンプ台を)飛べていないから、早く飛ばしてあげたい」
立ち上がったのは、古い小ジャンプ台を最後に使った1年生。今の5年生です。
募金活動やクラウドファンディングを行いました。
渡部兄弟のほか、元モーグル選手の上村愛子さんなどオリンピアンも協力。
900万円近くが集まり、ついに12月、新しい台が完成しました。
■ 新しいジャンプ台が完成
復活したジャンプ台。待ちわびた授業が始まりました。
初滑りは、改修に向け奔走した5年生です。
5年生:
「全校でつくったので、皆のがんばり、努力が固まっているようなもの」
5年生:
「飛びやすい。いっぱい飛びたいです」
小ジャンプ台は高さ約4メートル。大きな台の半分ほどですが、傾斜は最も急な所で25度。
5年生:
「がんばれ、がんばれ」
「お先にどうぞ」
仲間と声をかけあい、一歩を踏み出します。
5年生:
「いいよー、オッケー!」
先生も―。
5年生担任・塩原一矢教諭:
「うわーこわい!」
「びびっちゃいましたけど、向こうの中ジャンプ台(大ジャンプ台の途中から)に負けない迫力がありますね」
■1年生もドキドキの初挑戦!
1年生も―。
1年生担任:
「ジャンプの学習です。楽しみな人」
1年生:
「はーい」
さて、1年生は初めての授業です。校庭の土手を滑って練習してから、いよいよ台に上ります。
1年生:
「いきまーす」
ちょっと勇気を出したら、ふわっと浮かびました。
1年生:
「大変」
「とんだ時、心臓がドキッとびっくりした。すべるときに気持ちいい、めっちゃ。風がとおってきて」
転んでも大丈夫!
しりもちも平気!
1年生:
「とぶ瞬間が楽しい。こわくない。(先輩たちにはどんな気持ち?)ありがとう」
■渡部兄弟から後輩たちへエール
渡部兄弟から子どもたちへ―。
渡部善斗選手:
「ジャンプ台の完成おめでとうございます。ジャンプ台のある学校という特別な文化が、皆さんの努力で続いていけること、うれしく思います」
渡部暁斗選手:
「この冬もみんなが元気に楽しくジャンプを飛んでくれることを祈っています。みんな、楽しんでジャンプを飛んでください」
2月6日に開幕するミラノ・コルティナオリンピック。このジャンプ台で育った暁斗選手も最後の大舞台に臨みます。
ジャンプの授業は1月30日までの4日間。子どもたちの「挑戦」の場として、これからも受け継がれていきます。