長野県軽井沢町で大学生ら15人が死亡したスキーバス事故からまもなく10年です。事故の捜査を担当した県警の警察官が報道陣の取材に応じ、捜査にあたった当時の胸中などを語りました。

佐久警察署・塩入一清 副署長:
「大型バスが約5メートル崖下に落ちていました。乗客はいるのか、いないでほしいと思いながら急いで崖下に降りました」

佐久警察署の塩入一清副署長。2025年末、報道陣を前に語ったのは、10年前のあの事故です。

2016年1月15日未明、軽井沢町の国道でスキーツアーバスが道路脇に転落した事故。乗客の大学生ら15人が死亡、26人が重軽傷を負いました。

当時、軽井沢警察署の交通課長だった塩入さん。真っ先に現場に向かい乗客乗員の救出にあたりました。

当時、事故捜査を担当・塩入一清副署長:
「車内から出しては崖を這うようにして負傷者を担架から落とさないように慎重に道路にあげる活動を繰り返し繰り返し行った」

その後も遺留品の捜索、再発防止の啓発活動、事故原因の究明とめまぐるしい日々を送ってきました。

軽井沢警察署交通課・塩入一清課長(2016年7月取材):
「時間はかかると思うが、事故原因を特定して真相を明らかにしたいという思いで捜査員一同、捜査している」

バスは転落直前、制限速度を大きく上回る時速96キロが出ていたことが明らかになっています。

県警は、バスの検証や走行実験などを行った結果、運転手が運転操作を誤ってスピードを出しすぎ、バスが制御できなくなったと断定。

また、運転手が大型バスの運転に不慣れだったことや、点呼や運行指示が徹底されていないなど運行会社「イーエスピー」のずさんな管理体制も判明しました。

事故から1年半後の2017年6月、県警は、高橋美作社長と荒井強元運行管理者、死亡した運転手を業務上過失致死傷の疑いで書類送検しました。(*運転手はのちに不起訴処分)

県警本部で指揮をとった松島敏史交通部長は、事故捜査で運行会社を立件した事例は県内で例がなく、困難を極めたと振り返ります。

当時、事故捜査を担当・松島敏史交通部長:
「ハンドルを握っていない管理者に交通事故による人の死傷の結果責任を問う事件は、私は初めてで本当に難しかった。被害者やご遺族、多くの関係者が大変な状況になっているのを目で見て耳で聞いて、絶対に立件するという気持ちで続けていた」

高橋社長と荒井元運行管理者はその後、在宅起訴され、一審の長野地裁は高橋社長に禁錮3年、荒井元運行管理者に禁錮4年の判決を言い渡しました。

2人は判決を不服として控訴し、今も裁判は続いています。

当時、事故捜査を担当・松島敏史交通部長:
「(一審判決は)発生から8年が経過し、ほっとしたのが最初の気持ち。被害者や遺族の気持ちを考えると少しでも早く結論が出たらいいなという気持ち」

事故からまもなく10年。貸し切りバス事業の更新制導入など、事故防止に向けた規制強化は進みました。

ただ、同じような悲劇を繰り返さないためにも、塩入さんは「安全最優先」の意識を持ち続けてほしいと話します。

当時、事故捜査を担当・塩入一清 副署長:
「貸し切りバスの安全性が格段に向上したと感じている、もし10年前、今のような状況なら事故は発生していなかったのではないか。運行管理者には安全はすべてに優先することを再確認し、社員や従業員の運転技能、日々の体調管理や健康管理をしっかり把握してほしい」

長野放送
長野放送

長野の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。