国会の会期末が17日に迫る中、日本維新の会が「改革のセンターピン」としていた議員定数削減法案は、成立が困難な状況となりました。

その背景には、野党の反発だけではなく、『1年後の自動削減』の文言に抵抗感のある自民議員も多く、与党内の“温度差”もあるようです。

共同通信の太田昌克さんは、議員定数削減案について「何かしらの結論、アイデアがおそらくゴールデンウィーク明けに出てくるはずだ」とし、場合によっては「解散カードも」と述べ、今後の政局について解説しました。

■維新幹部「来年が勝負になる」「この国会での成立はもう無理だ」との声

取材を続けている犬伏記者は現状について次のように説明します。

【関西テレビ 東京駐在 犬伏凛太郎記者】
自民党と日本維新の会の連立合意では、「臨時国会での成立を目指す」と明記されていましたが、高市総理と維新の吉村代表があす=16日夕方、党首会談を行い、成立の見送りを確認する方向となりました。

党首会談では吉村代表が高市総理に対し、来年の通常国会での成立を求めるものと見られます。

党首会談を前に、ある維新の幹部に話を聞くと、「この国会での成立はもう無理だ」とした上で、「来年が勝負になる」と話し、早くも、すでに次の国会を見据えている様子でした。

■『1年後の自動削減』の文言に“抵抗感”のある自民議員も多く、与党内での温度差が

【吉原キャスター】「この国会では成立が見送られるということになり、維新からすると野党が足を引っ張ったということになるのでしょうか?」

【犬伏記者】
実はそうとは言い切れない連立与党の状況も垣間見えています。野党が『乱暴』と批判した『1年後の自動削減』という法案の文言がありますが、これに納得していない“抵抗感”を感じている自民党議員も多く、与党内での温度差を感じます。

また、ある維新の議員からは、『自民党のやる気がない。議員定数削減法案が審議入りしないのは、野党のせいというよりむしろ自民党のせいだ』と怒りをにじませた声も聞かれます。

■来年の通常国会での法案成立は不透明な状況

【犬伏記者】
さらに維新の中には、いまだに法案が成立しなければ『連立離脱だ』という強硬論もありますが、先ほど取材に応じた吉村代表は『高市さんは約束を守ってくれている』と、連立離脱については否定をしました。

与党が一枚岩とは言えない状況が続いていて、来年の通常国会での法案成立は不透明です。

■『やり方が荒っぽい』、『維新に振り回されてる』自民党内から不満噴出

自民党の有力者を取材したという共同通信社の太田昌克さんは、「今回は定数削減を目指すと連立合意文書に書いてあるわけです。ですから、法案提出をもって一応『目指す』はクリアされた。それが自民党の大方の認識だと思うんですね」と解説します。

一方で、自民党内からも『やり方が荒っぽい』、『維新に振り回されている』とやはり不満が噴出しているということです。

【共同通信社編集委員 太田昌克さん】「特にトリガーは、野党が『政治とカネ(の問題)』が決着しないと、“てこでも動かない”ということで、今回は1回国会を閉じてクールダウンしようという方向だと思いますね」

■「5月から6月の通常国会会期末」に「定数削減」の結論出るのでは 場合によっては「解散カード」も

また、太田さんは「各会派が参加する衆院選挙制度協議会があり、すでに議論している」とし、「定数削減案はゴールデンウィーク明けにアイデアが出て、来年夏前に大きな政局が訪れる」と今後の政局の動きを予想しました。

【共同通信社編集委員 太田昌克さん】「国勢調査もやりましたから、区割りを見直さなきゃいけないんですね。さらに、定数削減もこれだけ世論の支持※がありますから、触らないわけにはいかない。何かしらの結論、アイデアがおそらくゴールデンウィーク明けに出てくるはずです。

その上で、5月から6月の通常国会会期末に、この定数削減をやるかやらないのか、これが大きな政治の山を作っていく」

(※…先月22日・23日に実施したFNN世論調査の結果では、議員定数削減法案について約8割の人が賛成)

また、場合によっては高市総理が「解散カード」を出す可能性があると述べました。

【共同通信社編集委員 太田昌克さん】「高い支持率それに定数削減を求める世論の声を背景に、場合によっては野党に“解散カード”をちらつかせながら定数削減で何とか結論を出すんだという、おそらくそういうシナリオを高市政権、これから考えていくのではないか。来年夏前、この問題をめぐって大きな政局が訪れる。そう考えていいと思います」

(関西テレビ「newsランナー」 2025年12月15日放送)

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